2017.12.20
TOEIC下克上!400点だった私たちが一年で900点取れた理由
- Kindai Picks編集部
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2016年春、近畿大学に新設された国際学部。専攻は、グローバル専攻と東アジア専攻に分かれ、どちらを専攻しても1年次後期から2年次前期まで留学する。2年次や3年次に留学、または希望者・選抜メンバーだけが長期休みを利用して短期留学する大学が多い中、近畿大学では1年次に学生全員が留学するという、珍しい教育課程を編成している。
準備期間は十分だった?1年次に留学するって早くない?結果は出るの?TOEICのスコアが伸びたとか言って実は最初から勉強できたんじゃないの?などなどの疑問を、9月に留学を終え帰国したてのグローバル専攻4名にぶつけてみた。
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座談会に参加してくれた、国際学部 国際学科 グローバル専攻の4名はこちら。
東 綾香(あずま あやか)
留学先:ケンタッキー州 イースタンケンタッキー大学
滞在先:寮
TOEICスコア:420点(留学前)→850点(留学後)
内田 峻介(うちだ しゅんすけ)
留学先:ミネソタ州 セントトーマス大学
滞在先:ホームステイ
TOEICスコア:410点(留学前)→810点(留学後)
福田 麻友(ふくだ まゆ)
留学先:ミシガン州 グランド・バレー州立大学
滞在先:ホームステイ
TOEICスコア:445点(留学前)→845点(留学後)
久岡 大悟(ひさおか だいご)
留学先:ニュージャージー州 ラトガース大学カムデン校
滞在先:寮
TOEICスコア:400点(留学前)→925点(留学後)
経験者に聞く、TOEIC400点以上アップの秘訣
―― まずはじめに、TOEICについてみなさんの経験を聞かせてください。
今まで2回しか受けていませんが、1回目に受けた時は、わからなさすぎて時間が余ったというか…。実は、途中であきらめて爆睡してたんです(笑)。でも、留学後の2回目は、時間が足りなかった…!それって英語にきちんと取り組めている証だと思うので、我ながら「成長したな」と。
私も2回です。TOEICは時間との勝負なので、私の場合は時間配分を事前にしっかり計画して受けたら、最後まで解けました!
僕も、留学前は圧倒的に英語力不足だったけど、留学したおかげでリーディング力はじめ、全体的にレベルアップしているからか、最後まで解くことができましたね。
えー、みんな最後まで解けたのか……!でも、私は、2回目のTOEICを受けたことで自分の弱点もわかったんですよ。私の場合、最後まで解ききれなかったから、リーディング力が弱いことに気付けました。
――みなさん、TOEICの点数が留学後に400点以上伸びていますが、理由として考えられることは?
やっぱり、リスニング力とリーディング力は、留学で伸びたと思います。ELSではレベルが110以上になると、「マスターズ」というクラスになり、アメリカの大学生と同じ教科書を使って授業が行われるんです。これが鬼のように難しい!!
でも、それを毎日のように読んでいたことでかなり力がつきました。
※ElSは、大学および大学院に海外の学生を進学させている世界最大の英語学校のこと。
でも、難しすぎて、それだけでカバーできなかった部分もありません……?
そうなんです。僕も実際、語彙力不足を感じていたので、帰国後はまず、語彙の勉強に取り組みました。文法やリーディング力などはすでに身に付いていたので、語彙力を付けたことで、自然にTOEICのスコアもアップした感じがします。僕以外の人も、こんな感じで結果が伸びたんじゃないかなぁ。
――語彙力アップはどうやって?
通学、往復4時間の電車の中で単語集を開いて、気合いで覚えます。
まじか!すげぇ…!っていうか、往復4時間って、家遠過ぎ(笑)。僕は単語集だけだと暗記できないので、クイズ形式で学習できるアプリを使っています。
私は、単語帳を自分で作っています。ホストファミリーや友人たちとの会話で出てきたわからない単語をメモして、後で調べて意味を理解して覚えました。あとは、久岡さんと同じようにアプリですね。
私は高校の時から語彙はそれなりに勉強していたので、語彙力に対して不安は少なかったのですが、TOEIC用に別の単語集を使って覚えました。それはそうと、内田さん家遠すぎ(笑)
国際学部ではどんな授業をしているの?
―― TOEICを受けて、学校で習ったことや留学中の会話で出た内容だ!と思ったものはありましたか?
日常会話に関しては結構ありましたね!実際に英語圏で生活していないと、知らない言い回しも出てくるんですよね。「日本の授業では教えてくれないのに理不尽かよ!」って思う。
4択問題とかだと、考えなくてもすぐわかるんですよね。感覚で。
留学先でほぼ毎日ライティングの授業があったんですが、それで正しい文章力が身に付いたと思います。おかげで、問題を見た時に「変だな、これ」って気付ける。
そうそう、感覚的にわかるようになるんだよね〜。
―― ライティングってどんな授業?
僕の留学先の学校では、先生からその日その日に与えられるトピックを、15分程で書いたりしていました。内容は、「日本とアメリカの文化の違い」などの比較スタイルや、「原因・結果」スタイルのライティングです。
セメスター(1つの学期)ごとに、比較、原因・結果など、学ぶスタイルが決まっていて、それを学習してきたことで、どんな文章でも読み書きができるようになったと思います。
実際、留学ってどうでした…?
――留学してみてどうでしたか?
すごく大きな経験になりました。留学後は、将来についてじっくり考えるようになって…。これは、1年次という早い段階で留学に行ったおかげだと思います。あと、他の大学に行った友だちより先に留学から帰って来る優越感がありますね(笑)。
僕は自分のパーソナリティが海外でも受け入れられるのかを試してみたくて留学したんですが、実際に飛び込んでみたところ、ちゃんと受け入れてもらえて。その経験が強みになって、自分に自信がつきました。
行ってみないとわからないことってたくさんあるな…と思いました。アメリカって、ニューヨークのような都会的でおしゃれなイメージしかなかったんですが、私が留学したケンタッキー州は、車が無いと生活できないようなド田舎で。でも、逆にそれが楽しかったので、行って良かったなーと思います。
――現地で日本人以外の友達はできましたか?
できました。アメリカではチャーチ(教会)に行くことが多かったんですが、僕はチャーチで出会って友達になったスペイン人に、サッカーをしている別のチャーチを教えてもらって、そこに行くようになってから交友関係が広がりました。
僕の場合、エレベーターで乗り合わせた人に思い切って声をかけてみたのがきっかけです。アジア系っぽかったので、「この人いけるんじゃない?」と思って。それがきっかけで、どんどん友達が増えました。その内の一人は先日、インターンシップで東京に来たので、大阪で再会しました。
私も出会いは、教会でした。教会にインターンシップに来ていた子と友達になって、その子のご両親にも良くしてもらって、ホストファミリーができたみたいで嬉しかったです。
私は、お姉ちゃんみたいな存在の人ができました。ELSでクラスが一緒になった5歳くらい上の韓国人なのですが、アメリカであちこち連れて行ってくれたりしました。その人とは、帰国した今でも連絡をとっています。
――留学中に勉強して来たことが活きているな!と思った瞬間はあった?どんな時?
ありました!僕は、日本の文法重視の勉強スタイルが嫌いだったのですが、行ってみてわかりました。実は、文法の勉強はめちゃめちゃ大事!!アメリカに2年住んでいる中東からの留学生がいたんですが、その子は2年経ってもまだ時制を間違えてしまったり……。そのとき、「文法をちゃんと勉強して来ていると伸び率が違うな〜」と感じました。「文法の勉強をやってきてよかったな」、と思いましたね。
たしかに。留学先の先生いわく、「日本人はライティングスキルが高い」と評価してもらえているらしく、スピーキングを優先的に学習するようすすめられました。
――留学前に、スピーキングの授業ってあったんですか?
スピーキングという授業はないんですが、ディスカッションの授業があり、突然「じゃあ、今から英語でディスカッションして!」と言われて、普通に始まります。その間はずっと英語で話しっぱなしです。
先生方も、日本語が全然わからない先生が多いから、必然的にコミュニケーションが英語になるんですよね。
英語の初心者からすると恐怖でしかないですよね……。でも、クラスの生徒の人数も少なくて、日本語で話すとみんなにばれてしまうので、「英語でしか話せない環境」を強制的に作り出していることも、語学力アップの要因として大きいのかも。
――他に、留学前にして行ったことで役に立ったことはありますか?
授業のスタイルについてなんですが、近大の授業スタイルが留学先と同じだったので、スムーズに授業に入って行くことができました。
――具体的にどんな授業スタイルですか?
先生が1人に対して、生徒が最大15人の少人数制のクラスで、授業はオールイングリッシュ。近畿大学と留学先の大学で違うのは、授業時間だけです。日本の大学は1授業90分というしばりがあるので、近畿大学も同様に90分ですが、アメリカの大学は1授業が50分です。それ以外は、全てアメリカの授業と同じ形態になっています。
そう、留学先に準じた授業形態で授業をしてくれるんですよね。そのため、留学直後の「まず授業形態の違いに慣れる」という時間的、精神的なストレスが大幅に軽減されて、めっちゃ効率的。
宿題をやって来ないのは日本人だけ
―― 現地の学生は勉強してる?
めちゃくちゃしてますよ!!!!
僕がまずびっくりしたのは宿題の量。「これ1日で読むの?」というぐらいの量の宿題が出される。でも、みんなちゃんとやって来てるんです!それで、当然宿題をやって来ている前提で授業が進むから、やって来ていないと当てられても答えられないし、「おいおいやってこいよ〜(笑)」って雰囲気にもなるし……。
宿題やって来てないのって、日本人だけだったよね(笑)
うん、うん。
宿題がどれだけ多くても、みんなちゃんとやって来ていて、「勉強に対する意識が違うな〜!」と。
―― 他に、留学先で驚いたことはありますか?
びっくりなことだらけですよ!!一度、アメリカ人だけでサッカーをしている所に一人で行って、遊びだと思ってまぜてもらったんですけど、実はめちゃくちゃ本気でプレーしていて、「死ぬから!その感じで来たら死ぬから!!!」って勢いでぶつかって来られて(笑)。あと、アメリカ人同士が胸ぐらをつかみあってケンカし始めたり。めちゃくちゃビビりました。
わかる〜!!僕も教会でサッカーをしてた時、試合中にケンカしていた二人が、試合が終わったらめっちゃ仲良くなってるんですよ。「割り切りがすごいな」と思いました。
私は、知らない人に気軽に話しかけられることが多くて驚いたかなぁ……。エレベーターの中で居合わせた人に突然、「その服めっちゃカワイイね!」と言われてびっくりした。あと、「褒める文化」というのをすごく感じました。それは、日本人としてもぜひ見習いたいところです。
あと、向こうの大学のジムの設備がすごかった。
そうそう。無料で使えるデカいジムがあるよね!
あったあった……!バスケットコートとかもあって、とにかくすっごくデカい!
アメリカ人もデカいけど、ジムもデカい。だから僕も鍛え出したんですけど。周りの人の体格がデカいから影響される。
さっきから「デカい」しか言ってない(笑)。でも、私も日本では走ってないけど、あっちでは走ってたな〜。「留学したら突然身体を鍛え始める」は、留学あるあるかも!SNSに筋肉の写真アップしている子も多かったですよね。
ジムも、良い出会いの場所なんですよ!僕も通い始めて半年ぐらい経ってから、知らない人に「お前、デカくなったな!」って声をかけてもらったり、上腕二頭筋を鍛えている最中に「ねぇ、中国のことどう思う?」とか話しかけられたり(笑)。
それ、上腕二頭筋を鍛えながら答えるの?
無茶振りだよね(笑)。でも、そうやって会話が始まるのは、すごく楽しい。人の集まる所に行けば、何かしら出会いはあると思います。とりあえず、チャーチかジム!
高スコアをマークできた本当の理由
―― モチベーションはどうやって保っていましたか?
留学したての頃、訪れたチャーチに居た人たちが、つたない僕の話に真剣に耳を傾けてくれたおかげで「伝えようとすることから逃げている自分」に気付いたんです。それまでは、うまく話せないと途中で自信をなくして、最後まで言わずに終わらせてしまいがちだったんですが、その人たちが「聞きたいから最後まで言って!がんばって!」と根気強く聞いてくれたおかげで頑張れました。「もうダメだ!」と思っても、それを受け入れてくれる環境があったから、常にモチベーションが高いままだったんだと思います。
それ、わかります。私も上手く伝えられなくて自信をなくすことはたくさんあったけど、最後まで諦めないことって大事ですよね。
実は僕、帰国後のTOEICに向けて、帰国する3か月前から現地で継続的にTOEICを受験していたんです。受験する度に、どんどんスコアが上がって、それが面白くて。勉強してスコアが上がる、嬉しいからまた勉強する。その繰り返しでしたが、それがモチベーションを高く保てた理由です。
マジか…!!それ、毎回自分で受験料払ってたってこと?
そうですよ。しかも、周りには秘密で受験していたので、みんなから見たら僕は結構イヤな奴なんですが(笑)
近大国際学部はぶっちゃけどう?
―― 近畿大学国際学部で留学に行って良かった点は?
やはり他の大学と比べて、早い時期に留学に行けたのが良かったと思います。普通の大学1年生は、よくわからないままサークルに入って、バイトして、授業受けて…、となると思うんだけど、僕らは無駄な時間無く、留学に放り込まれて、ガッツリ勉強して、足りない部分も早めにわかったし、将来のこともよりしっかり考えられるようになったので、本当にこの大学を選んで良かったと思う。
「語学教育センター」を利用するのもおすすめです。単位には関係ないのですが、センターでもいろんなレッスンがあって、受けたいレッスンがあれば、いつでも参加が可能なんです。
僕はELSに行けたことが、近大の国際学部で留学に行って良かった点です。他の学校の子と話していて思うんですけど、やっぱり近大はELSの先生がしっかりしているし、レベルが高い。他には、自習室が24時間あいていること!僕は家に帰ると絶対勉強できないので、バイトが早く終わる日は、自習室を予約して「勉強せざるを得ない状況」を作っています。
ストイックだな〜!私は、プログラムが良いと思う!他の大学では、留学に向けて1年とか1年半勉強してから行くと思うんだけど、そのとき私たちはすでに留学を終えた状態にあるので、留学以外のことに目を向けられるんですよね。いろんな興味のある活動にも参加できるし、早くから将来のことも考えられる。そこがとても良いところだな〜と。
あと、近大の留学後のTOEICの授業がめちゃくちゃ役に立ちました。問題の解き方、捨て方までも教えてくれるので。
あれはまじめに受けた方がいいですよね!TOEICの受け方のコツとかも教えてくれるし……。
うんうん。本当に無駄が無い授業だと思います。
僕もそれわかるなぁ……。TOEICを受けている時も「あ、先生が言ってたところ出てる出てる〜!」って思いながら受けてました。日本では出回っていない海外の問題集からの問題を授業で解いたりすることもあるので、すごく新鮮で、タメになるんですよね。
―― これから留学する後輩へのアドバイスをお願いします。
近大に入学できるレベルの人たちなら、基礎学力はあると思うので、あと身につけるべきなのは「語彙力」。留学中は何でも良いから単語集を持って行って、継続的に語彙を増やす勉強をした方がいいと思います。
留学先では日本人同士かたまるのではなく、積極的に自分から動くのはとても大事!歩き回っていたら、誰かと会って話せる。特にチャーチに行けば、経験上みんな優しいので、話を聞いてくれると思います。困ったら、とりあえずチャーチに行け!!!
推すねー、チャーチ(笑)
「困ったらチャーチ(教会)に行け!」(一同爆笑)
興味があっても無くても、いろんなことに挑戦することは大事ですよ!
あとは、何か目標を一つ持って留学にいくこと。「僕の場合はTOEICで結果を出す」ということだったけど、その目標があったからこそ、いろいろなことに挑戦できたと思います。
「誘われたら、とりあえず行ってみよう」。交友関係は、そこから広がるから!!
―― 最後に、国際学部の高木教授からコメントをいただきました!
高木 宏幸 (タカギ ヒロユキ) 教授
国際学部 国際学科(グローバル専攻)
TOEICスコアがこれほど伸びるとは、私も、おそらく他の多くの先生方も想像していませんでした。皆さんは1年間で400以上、グローバル専攻全体の平均も700です。ELSの授業、現地での英語体験、そして、学生の皆さんのチャレンジ精神が全部うまくかみ合って達成できたことだと思います。
内田さんがおっしゃるように、文法をしっかり固める日本の英語教育は、実は効率的に高い知識をつける優れた方法だと私も思います。ただ、それを「実践」のレベルにまで引き上げる手段がこれまでなかったことが問題でした。そこをしっかりやろうというのが国際学部のプログラムです。一期生の皆さんがそれをうまく活用してくれて、とても嬉しいです。
しばらくして「あれがピークだったな」ってならないように、ますます上を目指してがんばってくださいね。
―― 高木教授、国際学部グローバル専攻のみなさん、ありがとうございました!
いかがだったでしょうか?
実際に国際学部のグローバル専攻で行われている授業や、TOEICでの失敗談などもあって、今後国際学部への進学や留学を考えている方にとっては、かなり内容が濃い座談会だったのではないかと思います。
まだ新設されたばかりの国際学部ですが、これから先、近畿大学から世界で活躍する優秀な人材が生まれることも期待できそうですね!
結論
一見、早すぎるとも思える段階で留学することによって、英語力UPはもちろん、自分の将来と向き合うことで、他の人たちより一歩も二歩も人生の先手を打てる。近畿大学国際学部では、無駄のないプログラムで、そんな学生たちが頑張れるようサポートする環境が整っている。あとは、自分がどれだけ頑張れるか。留学を終えた学生たちの成長は加速する。
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取材・文: 多田梓
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