2017.06.13
6、7月は危険エリア。梅雨時から始める熱中症対策
- Kindai Picks編集部
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熱中症というと真夏を想像するかもしれませんが、6月に入ったころから熱中症患者は急激に増えるといいます。
暑熱環境と上手くつきあって熱中症にならない方法を、近畿大学経営学部でスポーツ医学を専門とする木下理恵講師に話を聞きました。
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【プロフィール】
木下 理恵(きのした りえ)
医師。近畿大学 経営学部 教養・基礎教育部門 講師
専門はスポーツ医学。スポーツの楽しさや必要性、そして競技力向上などを、医学的な見地から研究している。
現在は近畿大学メディカルサポートセンターにて、定期的に外来も行っている。
―梅雨時でも熱中症になると聞いたのですが
熱中症の発症時期は梅雨明け後7月中旬から8月上旬にかけてピークを迎えます。発症時刻は12時および15時前後の日中が多いです。
しかし、気温が高く湿度が高く無風の場所では熱中症が発症しやすいため、梅雨時にも十分注意が必要です。
多湿、高温、無風の環境下において、熱中症は発症しやすいのです。必ずしも、直射日光下で熱中症が発症するとは限らないことを知っておいてください。
梅雨入りし晴れの日が少なくても、熱中症は発症しています。
高温、多湿、無風!
このキーワードを知っておいて下さい。
―そもそも熱中症とはどういうものですか
運動や労働に熱い環境が加わった場合、体温が上昇し汗をかきます。
汗は熱を逃がし体温調節をするのですが、かき続けると体内の水分や塩分が少なくなります。
その状態で運動や労働を続けると体温調節が難しくなり、血圧低下となり循環障害、意識障害を起こし、場合によっては心肺停止となることもあります。
このように、高温多湿の環境下で、体の調節機能がうまく働かず、体調を崩している状態のことを熱中症といいます。
―症状は?
めまい、失神(立ちくらみ)、生あくび、大量の発汗、 口渇が激しい、筋肉痛、筋肉痙攣(こむら返り)、 頭痛、嘔気、嘔吐、下痢、倦怠感、虚脱感、意識障害、痙攣、せん妄、小脳失調(指示行動ができない)、高体温等の諸症状があります。
―どのような措置をしたらいいですか?
高体温は直ちに体温を下げる必要がありますが、脱水を助長するので解熱剤は使用しないで下さい。冷却のみです。
早期に発見し早期に治療すれば重症化を防ぐことができます。強いては死に至ることを防ぐことができます。
特に三つの重要な症状は、「意識障害」「体温40°C以上」「発汗停止」です。
これらの症状が出現した場合、熱中症は重篤です。直ちに救急搬送の準備に加え頭部、太い動脈が通る、首、脇の下、太ももなどを冷却して下さい。
冷却時はアイシング、氷がない場合は流水をかけるだけでも違います。この時、可能な限り衣服を緩めてあげましょう。
意識がない、もうろうとしている傷病者には、誤嚥の原因となりますので飲み物を与えず、直ちに救急搬送の準備を始めて下さい。
心肺停止になったら直ちに一次救命処置を行いましょう。
一方、意識のある傷病者には市販の経口補水液などの飲み物を摂取させて下さい。
スポーツ飲料は熱中症の予防になりますが、塩分量が少なく、糖分が多いということを知っておいて下さい。
あと、真水のみだけでは汗で失われたナトリウムを摂取できません。ナトリウム不足になった場合、痙攣など様々な症状が出現しますので、真水の水分補給は注意を払って下さい。
こうした様々な応急処置を行う場合、傷病者のプライバシーを守るようにしてください。
―この時期にイベントを開催する場合、注意することはありますか?
先ほどお伝えした、高温、多湿、無風のキーワードを意識してください。
曇りの日でも風がなく、湿度が高い場所で熱中症は発症しており、場所も屋内外に関わりません。
熱中症予報など気をつけて情報を収集するようにして下さい。
暑さ対策をしていない、飲み物を用意していない、飲水できない場合は熱中症の症状がひどくなるので気をつけて下さい。
夏のスポーツイベント、作業を企画する場合は、もしも!のことも考えておきましょう。
近畿大学の生涯スポーツでは暑さ指数(WBGT※)を用いて測定し、運動強度を調節しています。
暑さ指数(WBGT・湿球黒球温度)とは
Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。
暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。
※環境省 熱中症予防情報サイトより
―予防方法はありますか
無理せず、エアコンは適度に使用して下さい。高齢者でエアコンの使い方に慣れていない方には目配りが必要です。
また、熱中症の予防にはお味噌汁など塩分、ミネラルを含んだものを食事に加えるのも効果的です。
暑熱環境に多少は慣れることも必要です。日頃からしっかり汗をかく体づくりをしておきましょう。
汗をかけば体の熱を発散させることができます。体の熱がこもった場合、熱中症になりやすいです。
日頃、スポーツなどを定期的に行い、暑さに負けない体づくりをしましょう。
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