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2017.02.07

京都が寺なら、こっちは「お笑い」 これがワシらの大阪観光戦略!

Kindai Picks編集部

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【村松秀信/東映取締役×上窪弘晃/ティー・ワイ・オー代表取締役副社長×片岡秀介/よしもとクリエイティブ・エージェンシー取締役×世耕石弘/近畿大学広報部長】
“怖い”“キツイ”“品がない”そんなんほんまの大阪ちゃいますわ。今回は関西を代表するエンターテイナーが、本当の大阪の魅力を語り尽くす!

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●スピーカー
村松秀信/東映株式会社 取締役
1985年に近畿大学法学部を卒業し、東映株式会社に入社。関西支社次長兼映画営業室長、関西支社長代理、本社映画営業部長、執行役員映画営業部長委嘱を経て、取締役に。2014年から日本アカデミー賞協会実行委員長を務める。

上窪弘晃/株式会社ティー・ワイ・オー代表取締役副社長
1992年に近畿大学商経学部を卒業し、株式会社富士銀行に入行。2002年、株式会社ティー・ワイ・オーへ転職し、経営企画部部長、取締役経営戦略本部長、常務取締役経営戦略本部長などを経て、2016年から現職。

片岡秀介/株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー 取締役
1994年 近畿大学商経学部経営学科卒業し、吉本興業株式会社に入社。大阪マネジメント部、東京マネジメント部を経て、2012年 株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー執行役員、2015年 株式会社 KATSU-do代表取締役社長、2016年より現職。

●モデレーター
世耕石弘/近畿大学広報部 部長
大学卒業後、近畿日本鉄道株式会社に入社。ホテル事業、海外派遣、広報担当を経て、2007年近畿大学へ。入学センター入試広報課長、同センター事務長を歴任した後、2015年広報部長に就任。

<KINDAIサミット2016 第2部分科会C「観光立国の実現~”お笑い”大阪復活へ~」より>


●京都がお寺でくるなら、大阪は「お笑い」や!

世耕:大学案内のパンフレットを作る時に、すごく苦労することがあるんです。それはイメージ写真。京都にある大学は、清水寺平安神宮の写真を使うんですよ。あとは祇園祭大文字の送り火。神戸の大学は、必ずが出てきますし、異人館もよく使われていますね。異人館ってちょっとグローバルな香りがするんですよね。

そんな中、我々は大阪の何を写真にするか。必ず出てくる意見は大阪城で、次に通天閣や道頓堀。でも、あのグリコの看板出すのも大学のパンフレットとしてはちょっと違いますからね。特に夜はネオン街ですから。

そこで私たちが考えたのが「お笑い」です。近大のポスターって、必ずお笑いの要素が入ってるんですよ。




大阪が中途半端な歴史文化で勝負しても、京都の清水寺には勝てないので、私たちはこういった「お笑い」でいく。

片岡:ポスターでツッコミをさせるっていうものは、すごくいいですよね。テレビでも、大阪の番組ってツッコミどころ満載なんです。

上窪:あと、大阪の特徴と言えば「大阪弁」ですよね。以前、銀行で働いていた時はエセ標準語を使っていたんですけど、転職してからはもっと関西弁を使っていこうと思って。これが功を奏して副社長ですよ(笑)



村松:映画制作という点では、正直申し上げますとハイソサイティな作品は、大阪ではあんまり人気が出ない(笑)。反対にヤクザ映画だったりとか、ユーモアのあるちょっとお下劣な作品ですと、関西のシェアがグンと上がるんです。

世耕:学生募集のために全国の高校を回っていた時期があるのですが、例えば鹿児島から明治大学に行くような子って、たぶん最初に「東京に住みたい」というのがあって、そこから自分の学力に合う大学を探すんですよね。京都や名古屋、福岡あたりも同じでしょう。でも大阪はそういうのがない。

実際、東京の人から「東京の学生を大阪に呼ぶなんて無理。大阪に住みたいなんて思う人はいないよ」と言われたことありますから。たしかに、まず大阪に住むと決めてから、じゃあ近大にしようか関大にしようかみたいに考えていく人ってあんまりいないような気がするんですよね。


●大阪弁は喜怒哀楽を表現しやすいだけ。悪意はない(笑)



今日ここにいる近大生の中で、大阪以外の出身の人います? ちょっと前に出てきてもらってもいいでしょうか。

学生:よろしくお願いします。

世耕:出身はどこ?

学生:福岡です。

世耕:なんで近大に来たんですか?

学生:母が勝手に願書出して…(笑)

世耕:それすごいね(笑)。大阪にはどんなイメージを持っていました?

学生:高校生の時、テレビで『半沢直樹』を放送していて、あの東大阪のネジ工場を見て「こんなとこに住むのか!」っていう感じでした(笑)。『半沢直樹』の一部が東大阪で二部が東京だったじゃないですか。両方見たので格差を感じましたね。

世耕:つまり、大阪に対してあんまりポジティブな印象は持っていなかったと。

学生:はい、下宿先に来た時、正直「はぁ、ここに住むのか…」ってなりましたね(笑)。道は狭いし。

世耕:大阪の人と喋ってみてどうでした?

学生:怖いです。「しょうとか「ほんまに?」とか言われて…。いまだにイントネーションがつかめなくて、ホントやめて!って感じですね。

世耕:あ、今「しょう↑」って言ったのは「しょう↓」のこと?

学生:それです。

一同:(笑)

世耕:大阪に来て、“よしもと”とか見に行きました?

学生:行ってないです。怖いです。

世耕:いやいや、これが現実なんですね。なるほど、わかりました。ありがとうございました。

今の話にもありましたが、やっぱり大阪って「怖い」というイメージがあると思うんですよね。大阪府が予算1億円つけて、東京からのIターン就職で150人連れて来ようとしたんですけど、結果はなんと6人。来ない理由は「治安が悪いから」だそうです。

村松:実際は、大阪のミナミの街よりも東京の歌舞伎町の方がよっぽど怖いですよ。社会人で東京から大阪へ転勤してきた人に聞くと「もう二度と大阪なんて住みたくない」という人が半分ですけど、もう半分は「定年したら大阪に住んでみようかな」と答えます。東京は良くも悪くも周囲の人に無関心ですけど、大阪って、おばちゃんに代表されるように”おせっかい”ですからね。「あんたちょっとご飯でも食べてきいや」みたいに(笑)



片岡:私は、高いお金払って海外に行って英語の勉強するくらいなら、大阪に住んでコミュニケーション術を学んだ方が、よっぽど役に立つんじゃないかなと思ってるんですよ。大阪弁って、英語と違って365日24時間使えますからね。

世耕:東京って、駅員さんへの暴力も本当に多いんですよ。大阪の人は言葉はキツイかもしれませんが、暴力を振るうわけじゃない。キツイ言葉でストレス発散しているだけじゃないかな(笑)

村松:映画館で映写機が止まってお客さんをお待たせすることになってしまうと、東京では「どうしてくれるの私の時間?」とかしつこく言われるんです。大阪は「兄ちゃん金返してぇな!」とかキツイ言葉で言われますけど、ちゃんと対応したら帰る時には「また来るわ!」とか言ってくれたりする。そういう意味では、大阪の方が優しいんじゃないかな。

上窪:大阪弁は強弱があって、喜怒哀楽をそのまま表現できる。怒る時のイントネーションはすごいですが、逆に人を励ますときの大阪弁って非常にきれいですよね。愛情表現たっぷりで。

上窪:吉本さんとコラボして、近大で大阪弁の講義をやってみては? コミュニケーション教育として。

世耕:ぜひやりたいですね!


●大阪を‟体感”して欲しい。



世耕:観光って、基本的には「建物」「食べ物」「景色」の3つですよね。ここに「お笑い」「大阪弁」というのがあってもいいんじゃないかなと思うのですが、いかがでしょう? 京都の料亭だと女将さんが京都弁使ってますけど、大阪のホテルって標準語ですよね。

村松:「おいです」とかいらっしゃい」とか言ってもらえると、関西に来たという実感が持てますよね。
新幹線も、新大阪に到着する時のアナウンスは大阪弁にする。飛行機は、東京に行きは標準語で、大阪行きは大阪弁で。

上窪:吉本さんのおかげで、今では大阪弁はメジャーな方言になっていますからね。昔は会社の中でも大阪弁を話しにくい雰囲気がありましたけど、今は全然そんなことない。

片岡:今は逆に、関東人がエセ関西弁を喋り始めるパターンも多いですね。イラっとするんですけど(笑)

一同:(笑)

村松:形のない大阪の文化でお客さんを呼んで喜んでもらうのはすごく大事で、ブロードウェーみたいにするのがいいのかもしれませんね。お笑いを中心としたエンターテインメント都市。

世耕:ニューヨークはミュージカルだけど、大阪はお笑い。いいですね。

片岡:道頓堀は元々、大阪のブロードウェーみたいな街だったので、吉本でもそういうことはしないとなぁという話が出ていて、今チャレンジしているところなんです。

上窪:広告の世界でも、今はインターネットで何でも買えるようになりましたが、実はもう飽きられてきてるんですよ。実際にモノを触ってもらうであるとか、体験してもらうであるとか、
体験型の広告手法に見直されている傾向にあります。音楽でも、CDやDVDは売れないけど、実はライブハウスは毎日満員ですからね。

世耕:YouTubeで動画を見るのではなく、実際に生で吉本新喜劇や漫才を観てもらう。それが大阪全体の良さを知ってもらうことに繋がりますし、そうしたら「大阪で学びたい」という学生も増えていって、さらに大阪が活性化されます。

今日は「お笑い」と「大阪弁」というテーマで大阪の魅力についてのお話でしたが、多くの人に、イメージで大阪を語るのではなく、実際に訪れて大阪を‟体験”していただきたいですね。

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