2016.11.10
流行には理由があった。今すぐ知っておくべき麻疹(はしか)のこと
- Kindai Picks編集部
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この夏、関西を中心に多くの感染者を出した麻疹。近年再び流行の兆しを見せている麻疹について、近畿大学医学部の川田暁教授に聞きました。
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【プロフィール】
川田 暁 (かわだ あきら)
近畿大学医学部皮膚科教授、医学博士
1955年東京生まれ。1979年東京医科歯科大学医学部を卒業。
防衛医科大学校皮膚科講師、米国留学、帝京大学医学部附属病院皮膚科助教授、近畿大医学部皮膚科助教授を経て2004年から現職。
専門は光生物学、乾癬、レーザーなど。
麻疹とはどんな病気ですか?
麻疹は麻疹ウィルスによる感染症です。空気感染・飛沫感染・接触感染による強い感染力があります。また重症の場合は死亡することもあります。患者さんの年代は0~4歳の乳幼児、特に0歳と1歳の割合が大きいです。
感染症はたくさんありますが、その感染のしやすさや重症度によって、5種類に分類されています。麻疹は5類感染症です。
5類は患者さんの全数を把握する疾患ですので、診断した医師は7日以内 (できれば24時間以内に) に保健所に届けなければいけません。また学校保健安全法では2種の感染症に分類されていて、熱が下がってから3日を過ぎるまでは出席停止となっています。
どんな症状が出るのですか?
ウィルスが体の中に入ってから10~12日くらいして症状が現われます。初期の症状としては発熱、咳、のどの痛み、しろめ (眼球結膜)の充血、目やになどです。これらをカタル症状いいます。
この症状が数日間続き、少し熱が下がった後にまた高熱 (38-40度くらい) が出ます。
このとき口の中をみるとコプリック斑という白い斑点がみられます。
そして全身に赤い発疹が出てきます。最初は小さい点のようなものから始まり、次第に体全体が赤くなります。かゆみはほとんどありません。
その後5~7日たつと熱が下がり、発疹も茶色い色となって治ります。
合併症として多いのが肺炎と中耳炎です。また脳炎も合併することがあり、注意しなければなりません。
麻疹に感染したらどうしたら良いの?
麻疹が重症の場合には特定の病院(入院受け入れの可能な病院は限られています)に入院して治療を受けることになり、重症ではない患者さんは自宅で安静しての治療になります。
空港での拡散の様子からも分かるように、麻疹は感染力がとても強い病気です。流行している地域への不必要な外出はやめましょう。特に電車・コンサート会場・体育館など多数の人が集まる場所は感染の危険性が高いです。
予防接種は受けるべきですか?
結論から言うと、予防接種はするほうが良いです。麻疹に感染する患者さんの95%以上が予防接種を受けていない方です。
日本では1歳になったら1回、小学校入学前の1年間にもう1回、の計2回ワクチンを接種することが推奨されています。
体の中に麻疹に対する免疫 (抗体) が作られることで、麻疹ウィルスが体の中に入ってきても、麻疹にかからないか症状が軽くすむのです。
最も感染の恐れが大きいのは、現在の20~30代の方々です。この年代の多くは、1回しか麻疹ワクチンを受けておらず、免疫の獲得が十分ではありません。
一方、50~60代の方は子供の頃に既に麻疹にかかっていて免疫をもっている人が多いです。
今回の流行の背景には、この免疫が十分でない方の影響が考えられます。
ですので、1回だけの方もそうですが、一度も受けていない方はなおさら、これからでも2回のワクチンを受けた方が良いでしょう。
また医療従事者や学校関係者は麻疹に感染する危険性が高く、他の人に感染させる可能性も高いため、ワクチン接種をおすすめします。
既に抗体が十分ある人は接種する必要はありませんので、まずはかかりつけの医師と相談してください。
もし麻疹が流行したら?
今回の流行は海外から渡航した人や帰国した人がウィルスを持ち込み、空港関係者が感染し、その後一般の人に感染が拡大した可能性が考えられています。
家族・学校・職場に麻疹がかかった人がいたら、前述したような症状の有無に気をつけてください。もし症状が出たら早めに医療機関を受診して診察を受けてください。
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