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2015.12.21

近大発!起業家座談会 「失敗してもやり直せる。やりたいことがあるなら、すぐに動き出せ!」

Kindai Picks編集部

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近畿大学は、スポーツ選手や芸能・文化人だけでなく、多くの起業家も輩出している。今回は、その中でも特に近年注目を集めている3人に、起業のきっかけや会社を経営する醍醐味について、近畿大学広報部部長の世耕石弘が話を聞いた。

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【対談者プロフィール】
近大出身&会社設立から10年以内の起業家3名

山下智弘(平成9年 近畿大学理工学部卒業)
リノベる株式会社 代表取締役社長
1974年生まれ。ゼネコン、デザイン事務所、家具工房などでの勤務を経て、2003年にデザイン事務所field、翌年には株式会社esを設立。さらに2010年には、中古住宅のリノベーション事業を行うリノベる株式会社を設立。現在はリノベーション住宅推進協議会の理事も務める。

上村一行(平成14年 近畿大学法学部卒業)
株式会社アイアンドシー・クルーズ 代表取締役社長
1977年生まれ。近畿大学在学中に起業してオリジナルパソコンの製造と販売を行う。卒業後は、デロイト・トーマツ・コンサルティング株式会社(現アビームコンサルティング株式会社)に入社。2005年にはベンチャー経営者支援を行う株式会社ジェイブレインに役員として参画。2008年に株式会社アイアンドシー・クルーズを設立。

森健志郎(平成21年 経営学部卒業)
株式会社スクー 代表取締役社長
1986年生まれ。2009年株式会社リクルート・リクルートメディアコミュニケーションズに入社。この時自身が使ったeラーニングに不満を感じたことがきかっけで、2011年に株式会社スクーを設立。翌年オンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」をリリース。




「こういうのがあったらいいじゃん!」という純粋な気持ちが、起業の動力源に。



世耕 本日は、お集まりいただきありがとうございます。まずは、それぞれどのような経緯で起業したのか、また現在はどのような事業をされているのかを教えていただけますでしょうか。


山下 大手ゼネコンで働いていた時、新しいビルやマンションを建てるために、それまでその土地に住んでいた方に立ち退きをお願いする仕事をしていたのですが、中には泣く泣く立ち退く人や、立ち退いたことを後悔する人もいて、自分のやっていることに疑問を持つようになりました。

それで、「現在ある建物をもっと活用すればいいのでは?」と考えて立ち上げたのが、リノベる株式会社です。事業内容はその名の通りリノベーション、つまり中古の建物を工事することで価値を高めるためのサービス提供です。


世耕 具体的にはどのようなサービスがあるのですか?


山下 自分で部屋をアレンジしたいと思っている人は、まず手頃な中古物件を探す必要がありますし、場合によってはその物件を購入するためにローンを組むことになりますよね。もちろんデザイナーや工事業者への依頼も必要です。リノベるでは、こういったリノベーションに必要なすべてをのサービスを用意しています。実際には、当社が物件を売ったりローンを貸し出したりするわけではなく、そういったサービスを提供している人や会社をマッチングさせるわけです。


世耕 設立してわずか5年で、従業員数は100人にまで増え、ショールームは全国20箇所に出されているそうですね。


山下 ありがとうございます。今後は海外にも積極的に進出していく予定です。


世耕 上村さんはいかがですか?


上村 私は、最初にコンサルティングファームに就職して経営のことを学び、次に知人が立ち上げた会社へ誘われて役員に。その会社では人材・組織・投資などの面で起業家支援を行っていました。そして、2008年に親戚の会社を継ぐために退社したのですが、1年後にはその役割を終えたので、今度は自分で会社を始めようと思い、株式会社アイアンドシー・クルーズを設立しました。


株式会社アイアンドシー・クルーズ 上村一行 代表取締役社長

世耕 どのような事業を始めたのですか?


上村 以前から、「次の世代に残していきたいと思えるような商品やサービスを提供しよう」と決めていましたので、それに合致する事業として、例えば太陽光発電システムの紹介サイトを運営しています。太陽光パネルなどを扱う会社が増えている中で、導入する側が安心してスマートライフを始めるためのプラットフォームが必要だと感じていましたので。

他にも人材紹介や自動車情報のキュレーションメディア運営など、幅広い事業を手がけており、リノベーション事業立ち上げ支援サービスでは、実はリノベるさんと業務提携しているんですよ。


世耕 そうだったのですね!企業の成長性や成功を知る上での重要な指標である「日本テクノロジー Fast50」や「アジア太平洋地域テクノロジー Fast500」にも入賞されているようで、今後のさらなる事業展開が楽しみですね。森さんはいかがでしょうか?


 私は新卒で入社したリクルートで広告の制作や営業をしていたのですが、その時にユーザーとして使用したeラーニングに疑問を持ちまして…。というのも、長々と一方的に講師がお話をしているだけでして、「インターネットで学べる」ということに期待していた私は、ちょっとがっかりしてしまったんです。それで、自分でなんとかしようと思って立ち上げたのが、株式会社スクーです。

学びたい人が、学びたいことを学べる。そしてインターネットを介して、生徒と講師、生徒同士がコミュニケーションを取りながら学べるというのが大きな特徴です。スクー(schoo)というのは、学校、つまりスクール(school)の最後の一文字を取った造語で、「世の中から卒業をなくす」という想いが込められています。


世耕 ただインターネットで学ぶというだけでなく、そこに人がいるというのが大きな特徴なんですね。ユーザーや講座はどれくらいまで伸びているのですか?


 おかげ様で、ユーザーは18万人、講座は2,000本以上のサービスにまで成長しました。



大学時代の出会いが、今に繋がっている。



世耕 ところで、みなさんはなぜ近畿大学に入学されたのでしょうか?


山下 中学生の時からラグビーをしていて、大学でもラグビーができることを優先して選びました。それに実家がキャンパスに近かったので、子供の頃から近畿大学の活気は感じていたというのもあります。


世耕 入学後はやっぱりラグビー中心の生活でしたか?


山下 そうですね。でもアルバイトや飲み会などはしていましたし、それなりにラグビー以外のキャンパスライフも楽しんでいましたよ。親からは大学進学を反対されていたので、絶対に留年はできないなと思って、勉強もきちんとしていました。


世耕 その後もラグビーは続けていますか?


山下 大学卒業後、ラグビーの強豪社会人チームを持っている企業に就職したのですが、全く通用しませんでした。それまでは自分で自分のことをラグビーの天才かも知れないと思っていたのですが…(笑)。そこで建築関係の仕事をしている先輩に誘われて建築現場でのアルバイトを始めたのが、今のリノベるの事業に繋がる最初のきっかけになっています。


リノベる株式会社 山下智弘 代表取締役社長

世耕 人生、どこにきっかけがあるかわからないものですね。上村さんはなぜ近大に?


上村 私は中学卒業後に大工として働き始めたのですが、18歳の時に大学に入ることを決心して、いわゆる大検を受けました。その時は地元の北九州にいたのですが、知人が大阪に行くと言うので私も大阪で大学を探し、合格したのが近畿大学でした。


世耕 上村さんは、実は近畿大学在学中に一度起業されているんですよね?


上村 そうなんです。仲間数人でオリジナルパソコンを組み立てて販売する会社を作りました。それと、ホームページの制作も行っていました。しかし事業を大きくするための方法がわからず、ビジネスを勉強するために卒業後はコンサルティングファームに就職したというわけです。近大に入ってその時の仲間たちと出会っていなかったら、今の道には進んでいなかったのかも知れませんね。



世耕 森さんはいかがですか?


 私は近畿大学附属の小学校に通っていたので、小さい頃から親しみを感じていました。そして、大学受験では指定校推薦で近大を選びました。経営のことを学びたいと思っていたのですが、実際にゼミで組織や人のことを学ぶことができて、その時に身についた考え方や価値観は、今のスクーの事業に活かされているところもあります。

大学生活はすごく居心地が良かったという印象が残っていますし、今でも大学時代からの友人とはすごく仲がいいです。



世耕 森さんは教育事業をされていますが、今の近畿大学を見ていて何か感じることはありますか?


 すごく面白い取り組みをされているなと思っていて、これからさらに学生がやりたいと思うことを支援してあげられる「近畿大学ならではの」仕組みができるといいなと感じています。


世耕 貴重なご意見、ありがとうございます。これからもどんどん新しい取り組みをしていきますので、ぜひ楽しみにしていてください。



失敗しても、すべてを失うわけじゃない。



世耕 みなさん、どの会社も急成長しているようですが、これまで苦労もあったのではないでしょうか?


 私の場合は、勢いだけで始めたところがありまして、最初はマーケットのことをきちんと考えておらず、銀行口座の残高が数円になってしまったことや、3日間アメ玉だけで過ごしたことがありました。


世耕 アメ玉だけで3日間……。なかなか壮絶ですね。


 このプレゼンで受注できなかったら会社が立ち行かなくなるということもあって、あれはなかなか痺れましたね(笑)


山下 私はリーマンショックの時が特に大変でしたね。不動産業界は特にわかりやすいくらい仕事に影響が出ましたから。電話が繋がらなくなったお客さんもいました。新しいオフィスに移って「さあ、これからもっと頑張るぞ!」という時だったのに。


上村 私の場合、リーマンショックが起きたのは起業して1ヶ月後で、人を採用して増やそうと思っていたのにそれどころではなくなってしまいました。さらに東日本大震災でも同じような厳しい状況を経験しました。元々、「背伸びした環境を用意することで人は成長していく」と考えていたのですが、以前と比べて4倍も広いオフィスに移動したところで震災が…。


世耕 みなさん、そんな過酷な状況を経験しているにもかかわらず、自分で事業を続けるのはなぜでしょうか?


 なんか、「生きてる」という感じがするんですよね。


株式会社スクー 森健志郎 代表取締役社長

山下 それはあるよね!


上村 あるある。何もトラブルがないと、むしろ「ちょっと暇だなー」なんておもっちゃったり(笑)。それで、トラブルが起きたら「きたー!」


一同 (笑)


山下 まあ、どんなことが起きたって、生きていくことはできますしね。


上村 私も、最後の最後はトラックドライバーに戻ればなんとかなるかな、と思ってました。


世耕 たしかにそうですよね。すべてを失ってしまうわけではないのに、キャリアのことを考える時、リスクを過大評価してしまうことはよくありますよね。


山下 もちろん勢いだけでやればいいと言うつもりはなくて、例えばマーケット調査をするなど、綿密な計画作りも必要です。でも、最終的には自分がそれを続けたいかどうか、続けようという気持ちを持てるかどうかの方が大事だと思います。



動き出さないとわからない。自分の人生だから、チャレンジして欲しい。



世耕 みなさんの、今後の事業の展望や、やりたいことについて教えていただけますか?


山下 世界中にある面白いことを、全部やりたいですね。そのためには、まずリノベるの海外展開を成功させて、会社も上場させることを狙っていきます。そして、まずはこれらを実現するための仲間をもっと増やしていきます。


上村 太陽光発電のマーケットは、これからもっともっと伸びていくはずです。私たちは先駆者としてこのマーケットを引っ張り、スピードを落とさないように「次の一手」を打ち続けたいですね。もちろん、新しいサービスもどんどん手がけていきますよ!


 私もまだまだやりたいこと、やれることはありますので、一つずつ確実に実現していきます。例えば、個人の遺伝子レベルでの才能に合わせた教育目標や学びの方法を提供したいなと考えています。そして、自分の才能を活かせる場所や機会に出会わせる仕組みも作りたいですね。


世耕 ありがとうございます。では最後に、読者のみなさん、特に若いビジネスパーソンやこれから社会に出て働く学生に向けて、メッセージをお願いします。


上村 自分の好きなことや興味のあることには、躊躇せずに挑戦してみて欲しいですね。まだそういったことが見えていない人は、まずいろんな場所に行って、いろんな人に会ってみてください。きっと、何かが見えてきますから。


山下 当社が大切にしている価値観をまとめた「リノべる。バリュー」というのがあるのですが、その中に「明るいバカ」という項目があります。自分のことを賢いと思うと、そこで成長は止まってしまう。でも、バカだと思ってる人はその分頑張れるんです。そこに「明るさ」が加われば、成長できる人材になると思いますよ。


 私の同世代には、起業に失敗してもまた新しいビジネスを立ち上げている人がいます。それに、実は起業経験者を積極的に採用する会社だってあります。人生は一度きり。失敗を恐れずに、やりたいことがあるなら、それにチャレンジしてみてください。


世耕 近畿大学としても、そういった「挑戦する人」を応援するための施策を考えていきたいと思います。みなさん、本日はありがとうございました。

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