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【前編】原田泳幸×世耕弘成 「偏差値と仕事への貢献度は無関係。グローバル社会が求めるリーダーを目指せ!」

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Kindai Picks編集部

2015.12.26

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ビジネス
オリジナル記事
KINDAIサミット

日本マクドナルドを7年連続既存店売上高マイナスから7年連続プラスの大転換に導き、現在はベネッセホールディングスの代表取締役会長兼社長として教育業界を牽引する、日本を代表する経営者、原田泳幸氏。そして、元・近畿大学理事長であり、現在は内閣官房副長官、参議院議員として、日本の中枢でリーダーシップを発揮する世耕弘成氏。両者が考える、世界で活躍する日本人のリーダーに求められることとは?
<KINDAIサミット2015第1部全体会「近大発リーダーに望むこと」より>

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スピーカー

原田泳幸(はらだえいこう)
1948年長崎県佐世保市生まれ。1972年日本ナショナル金銭登録機(現・日本NCR)に入社し、その後は横河・ヒューレット・パッカード、シュルンベルジェを経て、1990年にアップルコンピュータジャパン(当時)に入社。米国アップルコンピュータ社の副社長に就任し、1997年にはアップルコンピュータ代表取締役社長に。2005年日本マクドナルドの会長兼社長兼CEOに就任。7年連続で売上マイナスであった同社の業績をV字回復させ、数少ない日本の「プロ経営者」として注目されるようになる。2014年、社外取締役を務めていたベネッセホールディングスの会長兼社長に就任し、現在に至る。

世耕弘成(せこうひろしげ)
1962年大阪府大阪市天王寺区生まれ。1986年日本電信電話(NTT)に入社。在職中にボストン大学コミュニケーション学部大学院へ留学。1998年11月参議院議員に。2011年には近畿大学の第4代理事長に就任。現在は、近畿大学校友会名誉会長、内閣官房副長官、参議院議員。




【世界基準の価値観を身につけろ】


”Think Global, Act Global”最初から世界を目指せ!


世耕:グローバル企業で活躍されてきた原田さんから見た日本人の課題は?


原田:業界にもよりますが、ICT業界は“Think Global, Act Global”と言って、アメリカのベンチャー企業は最初からグローバルマーケットを考えてスタートするのですが、日本人は、まず日本でやってみて、上手くいってから「さあ次はどこに行こうか」と考える。大きいことをやって世界を変えようという考え方が身についていないんです。これには小さい時からのグローバル教育が必要不可欠なんです。


世耕:日本は経営も政治もガラパゴスだと言われていて、幸か不幸か、日本の中にいたらそれでなんとかなってしまうんですよね。大企業でも世界に飛び出していこうという迫力があまりなかったりする。一方で、韓国の企業は国内マーケットが小さすぎるから世界に行かなければいけないと認識している。こういう違いは大きいですよね。


原田:それに、「異文化を知る」ということも必要ですね。グローバル化の議論では、多様な人材を集めることばかりが強調されていますが、ただ海外から人を呼びこむだけではダメで、そういった人たちにしっかり力を発揮してもらう経営者の意識改革が欠かせません。国籍が違えば、褒め方などのマネジメントも変わりますから。


日本を学び、異文化と学びあう


原田:アップルで日本のマーケティング責任者だった時は「アメリカの本社はなぜこんな変なことをしているんだ?」と思っていましたが、その後、アップル本社に移って世界のマーケティング責任者になったら、世界の中で一番おかしいことをしているのは日本だということがわかりました。もちろんすべてがダメだというわけではありません。日本人の課題も強みも、海外に行って初めて発見できるのだと思います。


世耕:近畿大学で2016年4月から始まる国際学部では、語学・グローバル人材育成企業であり、ベネッセグループでもあるベルリッツコーポレーションと連携して、1年生の後期から全員留学という、これまでになかった新しい取り組みを行います。入学したらすぐ英語漬けの毎日、1年生の後期から1年間の海外留学、そして戻ってきたらまた英語の授業。どんなに立派なことを勉強しても、海外でコミュニケーションを取れないと話になりませんので、近大では実践で使える英語を4年間かけて徹底的に身につけさせます。


原田:日本人は、英語は習っていますが、英語の使い方は習っていないですからね。英語を話せるだけではコミュニケーションは取れません。1年目から海外留学するのは、とても良い取り組みだと思います。私自身は学生時代のいろんなアルバイトでの体験から「顧客目線でものを考える」という商売の原点を学びました。ぜひ留学するだけではなく、留学先でもいろんな経験をしてほしい。いいところだけじゃない。世の中には見たくないものもたくさんあるが、それも見るくらいの積極性を持てば、本当に人間力が上がっていくと思います。





世耕:そのような人間力を近畿大学のカリキュラムの中でどのように身につけさせればいいのでしょうか。


原田:何故アメリカ人がこれだけ世界中で活躍するのか。例えば日本人ができないことにコンストラクティブディベートがあります。これは直訳すると「建設的な討議」ということなのですが、アメリカ人というのは、違う意見をもっているものはきちんと尊重し、学びあう。そのためのディベートなんです。アメリカの大学院のクラスでも、ディベートを通じて学生同士で学びます。先生が一方的に教えない。


世耕:なるほど。


原田:海外からの留学生と違う文化を持ってディベートする。そして、日本の文化を知って、日本人の強さを知って初めて異文化を学ぶ。グローバル教育というのは、まず日本の教育をまずやることだと思います。日本を最も教育する近大。そして異文化で学びあう近大。これができたら素晴らしいと思います。



国内のブランドや価値観は世界では全く通用しない



世耕:私が近畿大学の理事長を辞任して官房副長官になった時、「5年から10年で関関同立を追い越そう」という言葉を残していったのですが、これを実現するためのヒントがあれば教えていただけますか。受験者数日本一というところまでは来ているのですが…。


原田:経営者の立場で言えるのは、まず、社員の出身大学の入試偏差値と仕事への貢献度はほとんど相関がないということです。偏差値というのは知識力を一つのものさしで測った指標に過ぎないわけで、仕事では知識力よりも、自分で課題を認識して、自分で成長していくことの方が重要です。それに、世界の大学ランキングを見てみると、日本の大学の入試偏差値とは全く相関がないことがわかります。お勉強の評価ではなく、卒業生が社会人としてどれだけ活躍したかが一番のポイントだと思います。


世耕:私たちは関関同立というブランドと戦っているけど、よく考えたら、海外では関関同立なんて誰も知らないわけですからね。関関同立を相手にしないで、グローバルな舞台で求められている人材を輩出し、世界ランキングを目指していく。“世界ランキングの中では近大の方が上である”ということが、目指すべき一つの方向性なのかも知れないと思いました。





グローバル人材を育成するために、「最初から世界を目指す」ことの重要性を熱く語った原田氏と世耕氏。後編では、世界に通用するリーダーに必要な「人間力」について、さらに議論を深めます。
<→「偏差値と仕事への貢献度は無関係。グローバル社会が求めるリーダーを目指せ!」【後編】に進む>




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