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雑学・コラム

2026.10.20

秋は髪が抜けやすいって本当? 皮膚科医に聞く「抜け毛」のウソ・ホント

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
奈良病院
抜け毛

シャンプー後の排水口や、朝起きたときの枕を見て「最近、髪が抜けている気がする……」と不安になったことはありませんか? 特に秋は「抜け毛が増える季節」ともいわれますが、本当なのでしょうか。 そもそも髪は1日にどれくらい抜けるものなのか、ストレスや睡眠不足、シャンプーの仕方は関係するのか。 抜け毛について気になる疑問を、皮膚科の専門家に聞きました。

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【プロフィール画像】大磯 直毅 教授
大磯 直毅(おおいそ なおき)

近畿大学奈良病院 皮膚科 教授
専門:皮膚科一般、白斑、アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症、色素異常症、遺伝性皮膚疾患、免疫の関与する皮膚疾患について、診療と研究をしている。病態に基づいた新規治療法開発をめざしている。
教員情報詳細



そもそも髪の毛はなぜ抜ける? 何本までなら正常?


――そもそも髪の毛はなぜ抜けるのでしょうか? 健康な人でも毎日抜けるものですか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
はい、健康な人でも毎日髪は抜けます。髪には生えてから抜けるまでの「ヘアサイクル」というものがあり、成長期、退行期、休止期を繰り返しています。休止期を迎えた髪は自然に抜け落ちる仕組みになっています。


――1日に何本くらいまでなら正常なのでしょうか? シャンプーの時によく抜ける気がして不安になります。

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
一般的に、1日50〜100本程度の抜け毛であれば正常な範囲内とされています。シャンプー時にたくさん抜けるように感じるのは、すでに休止期に入って「抜ける準備」ができていた髪が、洗髪の摩擦などによってまとまって落ちるためです。抜け毛の本数そのものよりも、「以前と比べて急激に増えていないか」「抜けた髪が細く短くなっていないか」という変化に注目することが大切です。


「秋は抜け毛が増える」って本当?


――特に秋は「抜け毛が増える季節」ともいわれますが、本当なのでしょうか? 医学的根拠はあるのですか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
動物の換毛期の名残として秋に抜け毛が増えるという説もありますが、人間における医学的な根拠は明確ではありません。しかし、実際に季節によって抜け毛の量が変化すると感じる人は多いようです。


――それはなぜでしょうか? 夏の紫外線や暑さ、夏バテなどは関係しますか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
おっしゃる通りです。秋の抜け毛の主な原因として考えられるのは、夏の間に受けた紫外線や暑さによる頭皮へのダメージです。また、夏バテによる食生活の乱れや栄養不足が、秋になって「抜け毛」という形で現れることもあります。もし季節的な要因による抜け毛であれば、生活習慣を整えることで数ヶ月(秋から冬にかけて)で自然に落ち着いてきます。


ストレス、寝不足、ダイエット……抜け毛の原因になる?




――ストレスや睡眠不足などは、抜け毛の原因になりますか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
原因になることがあります。過度なストレスは自律神経を乱し、頭皮の血流を悪化させるため、抜け毛の原因になり得ます。徹夜や睡眠不足もよくありません。髪の成長に必要な成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるため、睡眠不足は髪に悪影響を与えます。


――ダイエットや食生活、運動不足はどうでしょうか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
急激なダイエットや偏った食生活は、髪を作るためのタンパク質やミネラルなどの栄養不足を招き、抜け毛が生じやすくなります。運動不足も全身の血行不良を引き起こし、頭皮に十分な栄養が届きにくくなるので要注意です。


――遺伝や男女の違いはありますか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
遺伝は抜け毛(特に男性型脱毛症など)に関係することがあります。男性は遺伝や男性ホルモンの影響が大きく、女性は加齢によるホルモンバランスの乱れなどが原因になることが多いとされています。


毎日シャンプーするとハゲる? 「髪のウワサ」を専門家が判定


――ここからは「髪のウワサ」について先生に判定をお願いします。まず、「毎日シャンプーすると抜け毛が増える」「朝シャンは髪によくない」というのは本当ですか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
毎日シャンプーすると抜け毛が増えるというのは根拠がありません。頭皮を清潔に保つために、毎日頭皮と髪に優しくシャンプーすることをおすすめします。朝シャン自体が悪いわけではありませんが、夜のうちに一日の皮脂や汚れを落としてから寝る方が、頭皮環境には良いと言えます。


――洗浄力の強いシャンプーは避けた方がいいですか? ドライヤーより自然乾燥の方が髪にいいという説もありますが……。

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
洗浄力の強いシャンプーは避けるほうが良いです。頭皮が乾燥し、頭皮がダメージを受ける可能性があります。自然乾燥は頭皮に雑菌が繁殖しやすくなります。ドライヤーで素早く乾かす方が頭皮が安定します。ドライヤーを髪に近づけすぎた状態で長時間使用すると髪にダメージを与える可能性があります。ドライヤーを適切に使用することも大切です。


――これからの秋冬の季節、ニット帽などをかぶり続けることも多いですが、ずっとかぶったままにするのも髪によくないのでしょうか? ワックスなどの整髪料や頭皮マッサージについてはいかがですか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
帽子は紫外線対策になりますが、汗で蒸れたまま不衛生にしていると頭皮環境が悪化し、抜け毛の原因になります。ワックスや整髪料も適切に洗い落とせていれば問題ありませんが、毛穴に詰まったまま放置すると悪影響を与えます。頭皮マッサージで血行が良くなります。私は、物理的な刺激が発毛・育毛を促進する可能性があると考えています。有効性の評価は今後の研究が必要です。




抜けた髪の「毛根」を見れば危険度がわかる?


――抜けた髪の根元についている白いものは何でしょうか? 「毛根ごと抜けたからもう生えてこない」と不安になる人もいるようです。

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
根元についている白いものは毛根鞘(もうこんしょう)や皮脂であり、正常な抜け毛でも見られるものです。「毛根が抜けたからもう生えてこない」ということはありません。毛根が抜けても、髪の毛を再生できる幹細胞が残っていればまた新しい髪が生えてきます。


――抜けた毛を見て異常を判断することはできますか? 細く短い毛が抜けるのは注意が必要ですか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
はい、十分に成長しきる前の「細く短い毛」が多く抜ける場合は、ヘアサイクルが乱れているサインです。抜けた毛が極端に細い、毛根のふくらみが全くないなどの場合は、頭皮トラブルや脱毛症の可能性があります。


育毛シャンプー、育毛剤、発毛剤……何が違う?


――育毛シャンプー、育毛剤、発毛剤など色々な商品がありますが、何が違うのでしょうか?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
目的が違います。「育毛」は今ある髪を育てて抜けにくくすること、「発毛」は新たに髪を生やすことを指します。育毛剤は抜け毛予防や髪の成長促進を目的とした医薬部外品が多く、発毛剤は有効成分を含む医薬品で、新たな毛を生やす効果が認められています。


――スカルプシャンプーやサプリメントで髪は生えますか? 医療機関の治療とは何が違うのでしょう?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
スカルプシャンプーはあくまで頭皮環境を整えるためのものであり、シャンプーだけで髪が生えるわけではありません。サプリメントも栄養補助であり、直接的な治療薬ではありません。医療機関では、症状に合わせた内服薬や外用薬の処方など、医学的根拠に基づいた治療が行われる点が大きく異なります。


「そのうち戻る」で大丈夫? 病院へ行くべき抜け毛とは


――「そのうち戻る」と放置してはいけない、病院へ行くべき抜け毛のサインはありますか? 何科を受診すればいいのでしょう?

大磯先生の写真
皮膚科医・大磯
以下の症状がある場合は、自己判断せずに病院へ行くべきサインです。
・急に抜け毛の量が異常に増えた
・円形など、一部分だけがごっそり抜ける
・地肌が急に目立つようになった
・髪全体が細くボリュームがなくなってきた
・頭皮に赤み・かゆみ・痛み、フケの異常などがある

抜け毛や頭皮のトラブルを感じたら、まずは「皮膚科」を受診しましょう。


まとめ

抜け毛そのものは誰にでも起こる自然な現象です。本数だけを気にするのではなく、「以前と比べてどう変わったか」という変化を見ることが重要です。もし急激な変化や頭皮の異常を感じた場合は、一人で悩まずに早めに皮膚科などの専門家へ相談してください。


取材・執筆:近畿大学広報室

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