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雑学・コラム

2022.06.28

身近になった帯状疱疹。コロナ禍で帯状疱疹は増えた?ストレスやワクチン接種も影響?

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
医療
帯状疱疹

最近よく耳にするようになった「帯状疱疹」。その発症の原因や治療法について、帯状疱疹に詳しい、近畿大学医学部 皮膚科学教室主任教授の大塚篤司先生に聞きました。

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大塚篤司(おおつかあつし)

医師/博士(医学)/近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授

専門:アトピー性皮膚炎の治療、悪性黒色腫の治療、乾癬の治療
皮膚科専門医・アレルギー専門医・がん治療認定医
がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。
Twitterは@otsukaman
Voicy
近畿大学医学部皮膚科学教室
近畿大学病院




いま、よく耳にする帯状疱疹とは


――帯状疱疹とは、どんな病気なのでしょうか?

人によって症状は異なりますがチクチクやピリピリ、ズキズキした神経痛を伴い、体の右側か左側のどちらかに水ぶくれを伴う発疹が帯状に発生します。
多いのは胸から脇腹にかけてですが、頭皮や顔、耳の中、下半身まで発疹は身体のいたるところに現れます。

――どうして発症するのでしょうか?

「水ぼうそう」と同じウイルスが原因です。水ぼうそうが治った後もウイルスは体の中に潜んでいて、加齢、睡眠不足やストレス、不規則な生活または病気などで免疫の機能が低下するとウイルスが再び活性化して、帯状疱疹を発症します。

ストレス

――一般的にどんな方が発症しやすいのでしょうか?

患者さんは50歳以上の人が多く、80歳までに3人に1人が発症すると言われてます。
また、生活習慣病のある方や、免疫機能が低下している方、疲れやストレスなどで体調を崩している方は若い世代であっても発症する可能性が高く注意が必要です。


――若い世代にも増えている印象はありますか?

当院では高齢者の方が多いのですが、昨年は20代の受診もあり珍しいなとの印象を受けました。

帯状疱疹の治療法


――どんな治療法で、一般的にどれくらいの期間で治りますか?後遺症はありますか?

飲み薬を一週間内服していただき治療します。また、重症の方は入院し点滴治療をします。一部の方は帯状疱疹後神経痛と言われる痛みが1~2ヶ月程度残る場合もあります。


――どんな症状がでたら帯状疱疹を疑うべきでしょうか?

帯状に赤いぶつぶつや水ぶくれが現れ、発熱やリンパ節の腫れ、頭痛などの全身症状を伴うことがあります。
ぶつぶつが出ないで先に胸や背中、内臓などの痛みが現れた場合、他科を受診した際に帯状疱疹と診断されず発見が遅れたり、適切な治療を行えない事もあります。体の一部に痛みが生じたり、赤いぶつぶつや水ぶくれが出てきた場合は帯状疱疹の可能性がありますので、皮膚科を受診してください。

お薬

――発症したら、何に気を付ければいいでしょうか?

高齢者だけではなく若い人も注意が必要です。特徴的な痛みや痒み、皮膚の赤みなどが出た場合などは、早めに受診し早期治療が望ましいです。
 

――予防法はありますか?

発症率が高くなる50歳以上については、任意のワクチン接種が2種類あります。
「不活化ワクチン」と「生ワクチン」です。まだ結論は出ていないようですが、「不活化ワクチン」の方が効果が高いとされ、接種から8年目まで高い効果が報告されている論文もあります。

「不活化ワクチン」の場合は、2回の接種が必要となり、任意ワクチンの接種費用は自費での負担となります。自治体によっては補助を行っている地域もあるようですので、お住まいの自治体へ確認してみてください。

学生や若い世代の方も、ストレスをためず、睡眠や食事をしっかり取り規則正しい生活をすることを心がけると良いと思います。




――子どもの頃に水ぼうそうの予防接種を受けたことがある、水ぼうそうに罹患したことがあるなどは、発症に何か影響を与えるものでしょうか?

水ぼうそうの予防接種を受けた方は、大人になり水ぼうそうに対する免疫機能が弱くなることで帯状疱疹が発症する可能性があります。
子どもの頃に水ぼうそうに罹患した人は全員、帯状疱疹になるリスクがあると言えます。


――コロナに感染した50歳以上の人は、帯状疱疹の発症リスクが高まるリスクがあるという研究結果(グラクソ・スミスクラインのチームが、米医学誌に発表)が発表されたと聞きました。
なぜ、発症リスクが高まると考えられますか?

関連性に関してはまだ原因がわかっていません。
コロナ感染による免疫機能の低下のほか、ストレスの影響も考えられます。


――近大病院では帯状疱疹の患者数は、コロナ前とコロナ発症後で変化はありましたか?

去年の夏頃に、コロナ禍以前のおよそ1.5~2倍くらいの患者さんが受診された時期がありました。
コロナ感染による免疫機能の低下に加えて、コロナ禍のストレスで免疫機能が低下したことも原因の一つとして考えられます。

――ワクチン接種との関連性はあるのでしょうか?

コロナワクチン接種に伴い、帯状疱疹が増加するとした報告を発表している論文もあります。ワクチンによる強い免疫誘導が原因しているかもしれませんが、因果関係はまだ不明です。



参考資料1 帯状疱疹ファクトシート


企画・編集:Kindai Picks編集部

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