Kindai Picks

研究・教育

2018.12.14

NEM JAPAN 古賀大喜とPoliPoli 伊藤和真が仮想通貨の未来を語る!『ブロックチェーン101』レポート

Kindai Picks編集部

1063 View

tag
オリジナル記事
研究
生活
産学連携

11月26日(月)、近畿大学にてNEM.io財団 Japan主催の『ブロックチェーン101』が開催されました。同財団のカントリーリーダー・古賀 大喜氏、NEMブロックチェーン技術を活用したアプリを手がける株式会社PoliPoli代表・伊藤 和真氏の2名が登壇。最先端の事業をはじめ、ブロックチェーン技術に関するさまざまなテーマを語りました。



後半には学内のプログラミング勉強会『近もく会』からメンター・中川祥平さん、代表・中原雄太さんも加わってのトークセッションも。約3時間にわたるイベントの様子をお届けします。

古賀大喜(こが ひろき)
NEM.io 財団 Japan Country Leader
1976年生まれ、福岡県出身。オーストラリア Swinburne University of Technology卒業。2003〜2016 adidas Japan 開発本部で働きながら、当時まだ認知度が低かったフットサルの普及活動を黎明期から行う。2016年に起業、2017年よりNEMブロックチェーン技術推進のためのMeetupなどを全国各地で開催し、2018年11月28日に一般社団法人NEM JAPANを設立。

伊藤和真(いとう かずま)
株式会社PoliPoli CEO & CMO
慶應義塾大学2年生の19歳。F Ventures東京アソシエイト、iOSエンジニア
東洋経済の「すごいベンチャー100」に選ばれる。
元政治家事務所広報責任者。
大学1年生の時に俳句投稿アプリ「俳句てふてふ」をつくり、それをきっかけに起業やスタートアップに興味を持つ。慶應義塾大学の現役学生らを中心に政治ベンチャーPoliPoliを立ち上げ、政治家と市民を近づける政治プラットフォームアプリ「ポリポリ」を開発、政治や行政の世界にイノベーションを起こす。

中川祥平(なかがわ しょうへい)
徳島大学大学院において知能情報工学を専攻し、音声認識技術、機械学習を使った感情識別を研究。2013年に京セラ株式会社のグループ会社へ入社し、情報機器の組み込みソフトウェア開発、開発ディレクションに従事。在籍中趣味でiOS/Androidアプリの開発を行い、個人アプリを数本リリース。その後アプリ受託開発のベンチャーへ転職。2017年末にブロックチェーン技術に出会い、世の中を変えれる技術だと確信し、ブロックチェーントークンを使った健康促進アプリ『FiFiC』の開発を進めている。

中原雄太(なかはら ゆうた)
近畿大学経営学部経営学科 4年
プログラミング勉強会『近もく会』代表
学生と卒業生をファンディングで繋ぐアプリの開発を進める。


講演①「仮想通貨とは? ブロックチェーンとは?」




古賀:みなさんこんにちは。NEM.io財団の日本支部代表をしております、古賀大喜と申します。NEM.io財団はシンガポールに拠点を置いて、ブロックチェーン技術を使って教育やビジネスなど、何かを新しく始めようという方々の技術の普及やサポートなどを行なっている団体です。


世界中でキャッシュレスの流れが生まれている
まずはブロックチェーンとは、というお話から始めますが、たとえばキャッシュレスにも密接に関係しています。今、スウェーデンでは現金使用率が1.7%以下。現金を使うと会計が高くなるお店が出てくるなど、支払う手段としてすでにチップを体に埋め込んでいる人まで出てきています。

日本でも飛騨高山市が地域通貨を導入しています。歴史的な街として海外から観光客がたくさん入って来ている一方、過疎化の問題を抱えている。そこで導入されたのが、電子マネーの土台にブロックチェーンの技術が用いられた『さるぼぼコイン』です。使い方は簡単で、携帯にアプリを入れて、お店でQRコードを読み込んで支払うだけ。導入店舗はすでに700店を超えていて、使う人はポイントが貯まったり、キャンペーンに参加できたりと利点がたくさんあります。



もうひとつ事例を紹介させていただくと、先日NEM.io財団とUAE(アラブ首長国連邦)政府が協定を結びました。どういうことについて今後実現を目指していくのかというと、たとえば投票。今まではわざわざ投票所に行って一票投じていましたが、これからはデジタルの時代です。ほかにも、今は紙で発行している証明書などもどんどん電子化されていきます。


お金の歴史
そもそもなぜ今、仮想通貨やデジタルマネーが注目されているんでしょうか? お金の歴史をひも解くと、通貨の始まりは大昔、物々交換に代わって石とか貝殻が扱われるようになったことですよね。やがてコインが発明され、紙幣が生まれていく。次は大金を持ち歩くのが大変ということで、小切手やクレジットカードが生まれた。そうやって進化する過程で、もはや現金を持っていなくてもカードを持っていれば買い物ができるようになった。クレジットとは、「信用」という意味で、お金の本質の部分でもあります。


ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは「改ざんできないデジタルデータ」の技術です。今まで人類が到達できなかった新しい発明です。取引履歴がチェーン状に積み重なっているため、誰かにお金を送り、また次の人へ送る時、履歴を全部データで見ることができるんですね。資金の流れが透明になっていること。さらに大きな特長は管理者なし(非中央集権)で成り立っているということ。ネットワーク上で可視化されていますので、ネットワークに繋がっているみんなで管理しましょうということです。




仮想通貨で実現できること
銀行から現金を引き出したり送金する時は手数料がかかるし、土日は銀行が閉まっていたりしますよね。ドイツなんかは、出金だけで手数料が500円くらい引かれることもあるそうです。仮想通貨は種類によって違いますが、手数料が1円以下のものもあります。手数料の壁がなくなると少額からの送金が可能になり、発展途上国など、小さい経済圏のお金が国境を超えて回り出すんですね。暮らしが豊かになったり、新しいビジネスが始まったりとさまざまな可能性を秘めています。


ビットコインとは
なぜビットコインが注目されるのかというと、世界中で使える、形のない通貨という意味合いがあるからです。日本人には実感しにくいかもしれませんが、たとえばベネズエラはインフレがすさまじいし、インドでは何年か前に高額紙幣が廃止となりました。政府からある日突然「今週から5000円札と1万円札が使えなくなります、紙くずになります」と発表されたらみなさん、どうなると思いますか? こんな風に、現金を持っていると損をする、自国の通貨が信用できないという国があります。「安全な日本円や金を持ちたい」という人に新しい選択肢として飛び込んできたのが仮想通貨です。



NEMとは
NEM(ネム)も仮想通貨のひとつで、そしてNEMのブロックチェーン技術を使用することで簡単にサービスやアプリなどを開発できてしまいます。すでにコミュニティの中でブロックチェーンを使ってる人がたくさんいて、またNEMのロゴはフリー素材であるため、個人でグッズを作ってNEMの通貨であるXEMで売ったりしています。NEMのブロックチェーン技術は開発しやすく、エンジニアなどにも人気があり、コミュニティがとても強いのが特徴です。


講演②「ブロックチェーンを使ったアプリで政治の世界にイノベーションを」




伊藤:はじめまして、伊藤です。まず自己紹介すると、現在19歳の慶應大生なんですが、不登校気味で留年しそうな感じです。東洋経済の「すごいベンチャー100」に選んでもらったのに経済学の授業の単位を2年連続で落とすくらいの劣等生で。僕は遊びと仕事を切り替えるタイプじゃなくて、普段は一日中、仕事しています。

僕はもともと俳句が好きで、18歳で『俳句てふてふ』というアプリを作りました。僕みたいな若者でも価値を発信できる、数千人が参加してコミュニケーションするようなサービスを作ることができるとわかった経験でした。




ブロックチェーンを使った『ポリポリ』というアプリでは、たとえば「このあたりの治安が悪い」「道路が狭い」など、アプリを通して身近な課題を政治家や行政に訴え、解決を目指しています。以前、渋谷駅前の喫煙所を問題視したユーザーがいて、区議会議員がそれを取り上げて議会に上げたこともあります。こういう感じで、政治と人々の距離を近づけられたらいいなと思っています。




アプリには独自通貨を簡単に発行できるNEMのモザイクを使っていて、ユーザーは参加すればスコアとかインセンティブがもらえます。僕らみたいなスタートアップ※だとセキュリティの問題があるんですけど、NEMには健全性があって、良いプラットフォームだと感じてます。

僕が起業した理由は、カッコつけて言うなら「こういう価値観とかあったらいいじゃん」っていうのを作りたかったからなんです。大人って未来に投資せず現状維持……ってイメージだったんですが、以前いたベンチャーキャピタルで、起業家はみんな未来志向でかっこいいなと思いました。起業にはコネもお金も全く必要なくて、実行し、それを継続できるかどうかが一番大事だと思います。

※スタートアップ:「スタートアップ企業」のこと。企業形態を指す言葉ではなく、新たなビジネスモデルの開発を目指し、市場を開拓する段階にある企業を指す。


トークセッション「ブロックチェーンの今とこれから」




NEMのブロックチェーン技術を使ったアプリを開発中のエンジニア・中川さんと『近もく会』のリーダー・中原さんも加わり、4名でトークセッションを行いました。

中川:僕は今、フリーランスでモバイルアプリの開発やブロックチェーン関連の仕事をしつつ、NEMブロックチェーンを使った健康促進アプリ『FiFiC』を作っています。簡単に言いますと、万歩計の機能と連動していて歩いたら歩いた分だけトークン※を手に入れることができ、お店のサービスと交換することができるというものです。
※トークン:ブロックチェーン上で発行される代用貨幣

古賀:『FiFiC』の面白いところは、歩くのって結構嫌ですよね。初めて近大に来た時、キャリーバッグを持って駅から歩いて来たのですが、とても大変でした。でも、辛いことでポイントが貯まったら面白い。近くの商店街でポイントが使えたりしたら「歩くのが逆に楽しくなりますよね?」。




古賀:伊藤くんの『ポリポリ』についてですが、政治というのは有権者から意見を募るのが難しく、政治家も思いを伝えるのは街頭演説など手段が限られています。『ポリポリ』で何ができるかというと、いい意見に対して『Polin』というトークンを投げ銭という形で送るんです。Facebookで「いいね!」を押す感覚ですね。そして、みんなが「いい」と思う意見に対して、政治家がアクションを起こしてくれるんですよね。

伊藤:誹謗中傷とかをするとスコアが下がってトークンをもらえなくなったりもします。有権者側も政治家側も一緒に社会を良くしていこうよ、みたいなサービスですね。お金とか評価とかがもらえるなら、ゲーム感覚で参加してくれる人がいるんじゃないかなと思ってやっています。

古賀:「政治で世の中を変えよう」って言うとすごく遠回りな感じがしますが、アプリを使って「変えることができる」ってなるとみんな使ってみようってなりますよね。では次に、中原くんも自己紹介をお願いします。

中原:近畿大学4年生で『近もく会』というプログラミングの会をやっています、中原雄太です。

古賀:「こういう話を聞いてみたいと言う人」はいますか?

(挙手)

学生:さきほどスウェーデンのキャッシュレスのお話を聞いて気になっているのですが、日本で完全なキャッシュレスは実現できるのでしょうか。

古賀:完全キャッシュレスは厳しいでしょうね。というのは、日本はもともと便利な国ということもあり、みんなその有り難さをわからないというところがあるからなんです。中国がキャッシュレスになった理由の一つは『WeChatPay(ウィーチャットペイ)』というアプリをみんなが使っているからです。中国はネット規制が厳しくて、国民はFacebookも、Googleも、LINEも使えない。「でも『WeChat』は使っていい」という形にしたんですよ。全員がそのアプリを使うことでキャッシュレス化ができた。日本ではそのあたりに壁がありますね。

伊藤:東京だと、僕は携帯だけ。現金は使わないですよ。実家のある愛知に帰ると使えなくて「嘘だろ」ってなりますけど。なので徐々に広がっていくと思います。

学生:地震とかが起こるとインフラが崩れるじゃないですか。その時は……

伊藤:スマホの電力さえあれば誰でも決済できるので、電力さえ確保できれば解決できると思います。使ってみないとわからないところも多いと思いますけどNEMは本当に使いやすくて、支払いの際に自分のウォレット(アプリ)を起動して、相手側のQRコードを読み取って送金するだけで終わりなんですよ。携帯だけでいいので災害時もむしろ安心だと思います。

中川:POSレジ※を持つ必要もないんで、商品に応じてQRコードを印刷しておいたら、あとは購入したい人がそれを読み取るだけで決済できます。中原くんは今、アプリを作ってるんですよね。実現したい夢とかありますか。
※POSレジ:在庫状況や複数店舗のデータなどの販売情報を管理できる『POS機能』を備えたレジ




中原:今作っているのは、学生と卒業生をファンディングで繋ぐアプリ、簡単に言えば学生がやりたいことに対して卒業生が支援するというものです。世代間の溝を埋めて未来に投資する、みたいなサービスができたらと思っています。

伊藤:革命起こせますよ。ファンディングって資金調達を民主化できるというか。今までだったらちゃんとした手続きを踏んでベンチャーキャピタル※から調達してましたけど、いろんな人がお金を出すサービスを作ったら、その人たちが一緒に作っていく仲間にもなる。そういう時代の流れでクラウドファンディングって流行り出したんですよね。結局ICO※も同じで。僕らって最初プロの投資家に投資してもらって上場して、ってやりますけど、ICOって誰でも作れるんですよ。今は少し盛り下がってますけど、僕は時代の流れ的には来るはずだと思っています。
※ベンチャーキャピタル:優良企業や成長の見込みがある企業に資金の提供を行い、投資先企業の成長を実現することにより、利益の獲得を目指す職業のこと
※ICO(Initial Coin Offering):仮想通貨を利用して行う資金調達。ICOには交換業登録が必要。

古賀:みなさんがスタートアップに興味があるかわからないのですが、以前は株で出資者を募ってお金を集めてましたが、これからの時代はトークンと呼ばれるデジタルマネーでも集められる、ということですね。僕も昔、会社を作った経験があるのですが、株主のビジネススキルが高すぎてお飾りの社長みたいな感じで。株を持ってる人に口を出されると、自分の思ってることがなかなかできなかったりしました。株は参入障壁が高くて、株を買おうとしてもとても高いお金がかかりますが、今はICOやクラウドファンディングがあり、経営者に資金調達をする選択肢も増え、出資者も安い金額から資金調達ができたりしますね。株主総会が必要なくなって、口出しされるなどのリスクも少なくなったりしていますね。

伊藤:ICOって資金調達だけが目的じゃなくて、いろんな人を巻き込むことで、その人たちがコアユーザーになってインセンティブを得ることができるし、使われれば通貨の価値も上がる。今後はもっとコミュニティごとにいろんな通貨ができて、選べる時代になるんじゃないかなと思います。

古賀:時間の使い方や人の体験など、価値観が少しずつ変わってきてますね。今までは「株でいくら儲かるか」というリターンを期待していたわけです。でも仮に、中原くんが近大の中でカフェを開くとするじゃないですか。それに出資する人にとって成功するか失敗するかは実はどうでもよくて、頑張ってる彼を応援したくて投げ銭をする、というのがこれからの時代に起きてくるんですよ。

伊藤:クラウドファンディングってあったかいんですよね。やりたいことはあるけどお金がないっていう人の資金調達が簡単になったら、もっと素敵な世の中になるんじゃないかなと思います。




古賀:NEM.io財団では今、宮古島に力を入れています。住民が5万人規模の島なのですが過疎化が進んでいるなど、何とかしないといけないとみんなが思っていて。日本は、たとえばW杯で勝つと渋谷が大変なことになったり、ハロウィンもすごかったじゃないですか。宮古島くらいの規模だと何かきっかけがあると一気にイノベーションを起こす取り組みができたりするんです。5万人規模のみんなが前のめりになることができたら、新しい経済圏を作れると思います。中原くんは、卒業したらどうしようと思ってますか?

中原:起業したいですね。

古賀:僕も会社員だったので「何歳になったら」とか「いくら貯まったら」とか思っていたのですが、成功してる人たちはもうやっちゃっているんですよね。とりあえずバッターボックスに立つという感じで。

伊藤:キャリアのひとつとしてありですよね。今は本当に起業しやすいですよ。

中原:今日は伊藤さんのような同世代で、プログラミングという武器を使って世界をちょっとずつ変えていこうっていう人のお話を聞けて参考になりました。

伊藤:『ポリポリ』には今、全国に200人くらいボランティアがいて、各地で選挙を手伝ってくれたり「もっとこういう機能がほしい」って企画してくれたりしています。もし今日興味を持った方がいれば、ぜひご参加ください!

古賀:今日はありがとうございました。


実際の事例を交えながら、仮想通貨やブロックチェーン技術についてふんだんに語っていただき、充実したイベントとなりました。今回に引き続き、12月19日(水)には第2回『ブロックチェーン101』を開催! 応援するスポーツチームや選手にファンが直接“ギフティング(投げ銭)”を届けることで活動をサポートする“コミュニティ”を運営するエンゲート株式会社の代表取締 役・城戸幸一郎氏が登壇。「スポーツチーム運営の助けになる新ブロックチェーン・サービス」をテーマに、NEM JAPAN 代表理事の古賀大喜氏、近畿大学体育会水上競技部監督の山本貴司氏とともに、ブ ロックチェーン技術を活用したスポーツ振興についてトークイベントを行います。興味のある方はぜひ、参加してみてはいかがでしょうか。



(終わり)


文:山森佳奈子
編集:人間編集部


MENU

FOLLOW US

  • facebook
  • twitter