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雑学・コラム

2016.07.12

あの新十両・志摩ノ海も食べた! 近大相撲部に代々伝わる秘伝ちゃんこ

Kindai Picks編集部

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新入生向けに近大にある部活を紹介するYouTubeの『近畿大学新入生勧誘ちゃんねる』。2016年も相撲部が昨年に続き再生回数で1位になりました。→1位を獲得した相撲部紹介動画はこちらから
今回はそれを記念し、卒業生の新十両・志摩ノ海も食べた相撲部のちゃんこ作りに密着取材しました!!
※ページの最後に秘伝レシピあり!

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近畿大学体育会相撲部
1925年創部。近大で1番長い歴史を持ち大関・朝潮(現高砂親方)や横綱・旭富士(現伊勢ケ濱親方)を輩出した大学相撲の名門。現在も幕内で宝富士らが活躍。2015年度は、石橋広暉、玉木一嗣磨、池川勇気が近大史上最多となる3人同時入門を果たす。7月の名古屋場所では、卒部生の志摩ノ海が初の十両昇進。現役生も5月の全国大会で準優勝するなど、近大でもトップクラスの強さを誇る部活。


もこみちを超える!?これが近大相撲部・男の料理だ

ちゃんこ作りが始まる朝8時、相撲部の寮を直撃しました。


この日のちゃんこ番、一年生の中西翔(なかにし・かける)くんがお出迎え。

――おはようございます!今日はよろしくお願いします。


はい。こちらこそ、よろしくお願いします。

――なんだか、眠たそうですね。

そうですね、ちゃんこ番の一年生は朝から1人で29人分の昼のちゃんこを準備しないといけないので大変ですね。相撲部の伝統で一年生がちゃんこを作るんですけど、今一年生が7人なので、週に1度のペースで当番が回ってきます。


野菜をザクザク切っていきます。

――使う食材の量も多いですね。

相撲部なので量がすごいですね。今日は木曜日なので『水炊きちゃんこ』ですが、白菜は3玉、しらたきは8袋も使いますね。だから、切るのが大変で全てを切り終わるのにめっちゃ時間がかかります。野菜だけで30分はかかりますね。料理自体は簡単なので助かりますが。

――どうやって作り方を覚えましたか?

入学したての頃は先輩についてもらって教えてもらいました。日曜日以外、月から土曜日まで6種類のちゃんこを作るのが相撲部の伝統です。でも、当番は週に1回なので、火曜の『醤油ちゃんこ』、水曜の『塩ちゃんこ』、月木の『水炊きちゃんこ』しか作ったことがないです。金曜の『すき焼き』、土曜の『味噌ちゃんこ』が回ってきたら同期に分量などを教えてもらって作ります。

――秘伝のレシピは口頭伝承なんですか?

先輩に聞いたのを代々作っているので途中で作り方とかがもしかしたら変わっているかもしれません。水の量も一定ではなく、調味料の分量も決まってますが、ちゃんこ番の人の好みで味が週によって違ったりしますね(笑)。それでも、レシピは大昔の大先輩から引き継がれていると思いますよ。



――しらたきは袋ごと切るんですね。

こうするとバラけずに切れて時短になります。こういうテクニックも知らず知らず身についてますね。しらたきだけで8個も切らなといけないので、楽なやり方は大切ですね。


各曜日の使う食材、キャベツ×4などは相撲部ならではの数字が並んでいます。

――大学に入る前から料理はしてましたか?

自分は近大附属高校の相撲部出身で、夜ご飯を作るお手伝いはしていたので、少しは料理ができる状態で入部しました。でも、高校の相撲部が寮で寮母さんに作ってもらっていた場合は、大学に入って初めて料理をする人が多いですね。ちゃんこだけじゃなくて、おかずも作らないといけないので、クックパッドのレシピを見ながらなんとか作っています。“一年生は全員クックパッドアプリをスマホに入れている。”これは相撲部あるあるですね(笑)。


相撲部の一年生にとってクックパッドは生命線。(クックパッドの運営さん、そうらしいですよ!)

――今までにどんなおかずを作りましたか?

唐揚げや生姜焼きの他にチキン南蛮、卵焼きを作りました。一年生の時に、料理を覚えるので、女子の皆さん!相撲部は料理ができる男たちです(笑)。先輩から卒業して社会人になり、一人暮らしを始めても、この経験が役立つと聞いています。料理ができるようになるのは本当にいいですね。


大根2本をひたすらおろしていく。所要時間はなんと20分。結構かかります。

――大根2本は大変そうですね。

これが『水炊きちゃんこ』では一番ツラい作業です。ポイントは、無になってやることですね(笑)。考えながらやると辛くなっちゃいます。


山盛りの大根2本分の水炊き用のおろし。山盛りです。


つけつゆの味付けはポン酢を3本投入

――速水もこみちさんのオリーブオイルを遥かに凌駕するポン酢の投入っぷりですね。

これが男の料理だって感じですね(笑)。高いところから入れましょうか?フフ。キャップを取って入れているので、レベルが違いますね。


あっという間に開いた味ぽん。一本はキャップを取るのに失敗。


切ってキレイに並べられた野菜たち。見た目も美味しそうです。

――ちゃんこの鍋も大きいですね。水の量はどうやって測るんですか?

フフ。これぞ秘伝というか、長年使っているので鍋の色が変わっている境目まで水を張ります。

――単純だけど合理的な知恵ですね。それにしても、水を入れると重そうですがガス台まで運べるんですか?てっきり台に置いてから、水を入れると思っていました。

相撲部なのでパワーがあるから大丈夫です!


私も持ち上げてみましたがとても重くこぼしそうなので運ぶのは断念しました。


肉々しい、サイドメニューも充実!!

――鍋に火をかけましたが、次はおかずですか?

生姜焼きと唐揚げの肉を切っていきます。水が沸騰するまで、おかずの方を作ります。

――肉も量が多いですね。

毎日おかず用に、鶏肉と豚は用意されていますね。今日は『水炊きちゃんこ』の分も合わせて、鶏4kg、豚2kgありますね。


調理された総重量6kgのお肉たち。お肉のパックからはみ出てます。

――もこみちタイムがまた始まりましたね。料理酒もみりんも唐揚げの下処理に先ほど同様に大量投入しましたけど、生姜チューブも豪快にいきますね。

入れるの楽しいですね。一般家庭では、こんなに入れることはないでしょうね。


生姜チューブもドバーと入れちゃいます。

――ちゃんこ番は稽古に出られませんが、練習するのとちゃんこを準備するのとどちらがいいですか?

ちゃんこ番の方がいいですね(笑)。稽古は、厳しいっす。本音が出ちゃった。


お肉を笑顔でモミモミ。


豚バラをバラしていきます。

――豚も豪快にバラしていきますね。

手がベトベトになりますね。そのまま、お鍋に入れたら塊になるのでしょうがないっす。

――3口同時で調理するんですね。器用ですね。時短主婦も3口はやってなさそうです。

唐揚げ用の油の入った鍋を加熱しつつ、後の2つの中華鍋で生姜焼きを作ります。


3口同時で一気に調理していきます。

――素朴な疑問なんですが、持ち手は暑くならないんですか。

手がぶ厚いので大丈夫です。でも、だんだん熱くなってきました。熱くなったら、チラシを巻いて対応します。もう、限界ですね。熱いっす。


チラシを巻いて調理を続けます。生活感が溢れています。

――チラシを巻いたら大丈夫ですか?

これで以外と熱くないですよ。


ちゃんこ鍋の調理に戻り、バラした肉をお鍋に入れていきます。

――お肉を先に入れるんですね。

先に入れてしばらく沸かして、出汁をとってそれから練習が終わるタイミングに合わせて野菜は入れていきます。


唐揚げもじゃんじゃん揚げていきます。


相撲部員に聞く、猛暑を乗り切る方法!!

――調理開始から2時間経ってようやく、ほぼ出来上がりましたね。

疲れました。火を使うのもあって、暑かったです。しばらく涼みます。


ひと段落したのでクーラーの下で休憩。

――今年は猛暑と言われてますが、相撲部ならではの暑さ対策はありますか?

・・・ひたすらしのぎますね。敷布団は冷感のカバーをつけたり、シーブリーズでしのいでます。あとは、動かずじっとすることですね(笑)。動くと暑いので。

――今年も暑いですが、夏仕様の冷やしちゃんこがあったりしますか?

ないですね。まだ2か月しか経験してないですけど、一年中一緒だと思います。夏はクーラーをかけて涼しくして食べます。冬も変わらないと思います。


ちゃんこ番のプライド。よりおいしく食べるために・・・


レンジの上と中におかずをセットしてスタンバイ。

――レンジ中と上に置いて稽古終了の電話を待つんですね。

こうしておけば、すぐに温められます。やっぱり、ちゃんこ番として一番美味しい状態で料理を出したいですね。


お鍋の中も黄金色になってきました。


唐揚げやつけつゆも配膳して扇風機の前で電話を待ちます。


稽古終了の電話がかかってきました。

レンジの加熱ボタンを押したり一気に準備を加速させます。


野菜を入れてちゃんこ作りはゴールへ向かいます。


野菜にも火が通っていい感じに仕上がりました。


11時半過ぎ、稽古を終えてみんながクラブセンターの道場から帰ってきました。


中村壮希キャプテンが早速出来上がったちゃんこをいただきます。鍛え上げられた筋肉に目がいきます。

――キャプテンが思う近大相撲部ちゃんこの美味しさの秘訣はなんですか?

稽古がきついからこそ、ちゃんこも美味しく感じる。これが美味しさの秘訣だと思います。

――ちゃんこの伝統は何かありますか?

少しずつ変わっていっている所もあると思いますが、来客が来た時は『塩ちゃんこ』を出しますね。一番味に自信があるというのもあり、※『塩ちゃんこ』は昔から代々受け継がれている伝統の味だと思います。

※クックパッドには載っていない、伝統の『塩ちゃんこ』レシピはページの最後に!!


相撲部では、お茶をどんぶりでサーブします。


鍋を囲んで相撲の話や授業の話など和気あいあいとお話ししながらちゃんこを食べます。


当番の中西くんも先輩が食べた後でちゃんこをいただきます。

――ちゃんこのお味はどうですか?

いつも通り出汁が出ていて美味しいです。唐揚げも自分で作ったので余計に美味しく感じます。生姜焼きもとろみが出ていて美味しいです。


デザートもたまについてきます。みんな美味しそうに、スイカを頬張っていました。


美味しそうに食べる姿は、とてもかわいらしいです。


全員が食べ終わるとすぐに夕飯の準備に取り掛かります。午後からは授業があるため、夕飯の準備をしてから大学にいきます。この日は、イカリングと茹でトウモロコシ。トウモロコシの茹で時間ももちろんクックパッドで調べます。


ちゃんこの後片付けは一年生全員が協力してテキパキと行います。裸はやっぱり夏の定番!?


皿洗いは、1時間ほどかかるそうです。4限の授業開始(14:50~)に間に合うように、時間との戦いです。皿洗いを担当した関口健太郎くんは、入学して5kgほど体重が落ちたそうです。一年生は、環境の変化で体重が落ちてしまうのも相撲部あるあるの一つ。


お別れは相撲部界隈ではおなじみの近大ポーズ。そして、仕事を終えた中西くんに最後のインタビュー。

――これでちゃんこ番の仕事が終わりましたがどうでしたか?

やっと終わったって感じです。大変でした。この一年を乗り切ったら、来年からは当番がなくなるので頑張ります。

――今日はありがとうございました。

こちらこそ、朝早くからありがとうございました。


取材こぼれ話

その壱 伝説のシェフ編


相撲部が誇るシェフ・谷岡倖志郎

相撲部では、夕食は先輩につく「部屋子」と呼ばれる後輩が料理を用意するのが慣習。時に、先輩から無茶振りをされることも。その要望に、柔軟に対応出来るのがシェフ・谷岡。過去には、クックパッドを駆使して見事エビチリを作り上げ、部内では伝説になっているとか。本人は「クックパッドを見たら余裕ですよ」と涼しい顔。近大附属高校の相撲部時代から、料理の才能を発揮。サイゼリヤで食べたドリアがふと恋しくなり、寮のオーブンを使い一から完成させたという。自作のチャーハンにも、絶対の自信があるらしく「自分で作ったほうが美味しいと感じる。他のヤツが作ったのはうまくない。自分のは卵を入れた瞬間にパーっとやるから、めっちゃパラパラ」と豪語する。1年生ながら、団体戦のメンバーに入るなど本業の相撲も器用にこなす。

その弐 ちゃんこを食べると何キロ太る?


キャップ・中村。食べる前にも体重を計りましたが、どうなっているでしょう。


124.6kg→127.5kgに2.9kg↑も!一食で一気に増量。

――3kgも増えましたね。

水分もとっているのでそれぐらいだと思います。僕は近大の相撲部に入ってから、近大ちゃんこを食べて5kgぐらい体重が増えました。それでも、やっぱり稽古で動くので体重を増やすのは大変ですね

余談ですが、私もちゃんこを5杯と、唐揚げ生姜焼きを2回お代わり、ご飯も2杯食べていざ、計測。ちゃんこはあっさりしてて、お腹いっぱいになってもついつい箸が進んで、食べ過ぎてしまいました。
63.30kg→64.55kgに1.25kg↑増えました。おそらく、人生最大の増量。本当にお腹が膨れました。近大相撲部の伝統のちゃんこはとても美味しかったです。

みなさんいかがでしたか?
取材を通して、全員料理ができたり、意外とマッチョだったり、凄腕シェフがいたりと、相撲部のこれまで知らなかった魅力を再発見することができました 。豪快な調理の中に、計算された時短テクや作業のコツが詰まっていて、男の料理の真髄を見た気がしました。みなさんも少し相撲部に対するイメージが変わったのではないでしょうか。よかったら近大相撲部イチオシの『塩ちゃんこ』を作ってみてくださいね。レシピは15人前ですけど(笑)


【ライタープロフィール】
西山 諒(にしやま・りょう)
個人的な名古屋場所の注目ポイントは、石橋と玉木のクセ毛のざんばら頭。
経営学部経営学科ITビジネスコース4年


▼その他の西山くんの記事
「近大で生きさしてもらって、幸せや」 近大理容室と名物おばちゃんの半世紀


近大相撲部メイキング【ちゃんこ鍋】タイムラプス動画




クックパッドには載っていない伝統の味!
相撲部1番人気の伝統『塩ちゃんこ』のレシピ


材料(15人分)

■スープ
 水 約35L
 創味シャンタン 缶半量※
 塩 お玉1~1.5杯※
 鶏ガラ粉末 1袋

■具材
 白菜 1.5玉
 ほうれん草 3袋
 えのき 4袋
 しめじ 3袋
 もやし 4袋
 ちくわ 2袋

■肉団子
 豚ミンチ 250g
 鶏ミンチ 250g
 卵 3個
 木綿豆腐 1丁
 パン粉 適量
にんにく 適量
 生姜 適量
 醤油 適量
 塩コショウ 適量

※創味シャンタンと塩は味をみながら調整

作り方

1.沸かした水に創味シャンタン、塩、鶏ガラ粉末の調味料を入れる。
2.豚と鶏のミンチなど肉団子の具材を混ぜる。パン粉は、ミンチの表面が隠れまで入れる。

3.切った野菜とちくわ、豚と鶏の合挽きミンチで作った肉団子を入れが火が通ったら完成。



以 上!
(な、なんてシンプル・・・)

追記:水、塩、創味シャンタンの分量は、野生のカンで作られているのであくまでも目安です(笑)

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