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キャンパスライフ

2026.10.03

未来の医療を支えるために。看護教育の新たな一歩

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
おおさかメディカルキャンパス
看護学部

2026年4月から近畿大学に待望の看護学部が誕生しました。看護学部長の小松浩子、近畿大学病院看護部長の青木真理、看護学部1期生としてこの春に入学した久保田智大の3名をお招きして、真新しい「おおさかメディカルキャンパス」で座談会を開催。看護の「今」と「未来」を語ってもらいました。

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小松 浩子(こまつ ひろこ)
近畿大学看護学部 学部長
1955年、大阪府堺市生まれ。徳島大学教育学部卒業後に淀川キリスト教病院勤務。その後、千葉大学大学院看護学研究科修士課程、聖路加看護大学大学院看護学研究科博士課程修了。聖路加看護大学(現:聖路加国際大学)教授、慶應義塾大学看護医療学部学部長、同教授、日本赤十字九州国際看護大学学長を経て現職。聖路加国際大学名誉教授、慶應義塾大学名誉教授。 学位:博士(看護学)、専門:がん看護学、ジャンル:医療・健康/がん医療

教員情報詳細

青木 真理(あおき まり)
近畿大学病院 看護部長
1969年、大阪府堺市生まれ。 1990年近畿大学附属高等看護学校 第1学科を卒業し、近畿大学病院に入職。1999年近畿大学医学部堺病院へ異動。2016年認定看護管理者資格を取得し、同年近畿大学病院へ。 2021年大阪府立大学大学院 経済学研究科 経営学専攻 修士課程修了。2023年より現職。

久保田 智大 (くぼた ともひろ)

近畿大学看護学部 1年生
2007年、兵庫県生まれ。2026年3月神戸学院大学附属高等学校を卒業。 同年4月近畿大学看護学部に入学。将来、災害時の最前線で救命救急に携わることを目指している。

「人の役に立ちたい」—それぞれが看護を志した原点

——まず最初に、看護の道を志したきっかけを教えてください。

小松
小松
私は小さい頃から、人のお世話をするのが大好きな子どもでした。小さい子と遊んだり、仲間と活動したりするのが大好きで、その頃から人のお世話をすることが自分の取り柄だと思っていました。大学に進学する時に、教育か看護に進もうと考えており、人と関わる仕事がしたかったということですね。そこで、最終的に選んだのが看護でした。看護のおもしろさというのは、人と関わる時に生じる「心」だと思います。さまざまな考え方や、影響を及ぼしてくれる患者様がいて、おもしろさと同時に難しさを感じることもあります。

青木
青木
私は高校3年生で進路を決める際に、どうしようか悩んでいました。1つは美容の職に就きたいと考えていましたが、母からは「手に職を付けたほうがいいよ」と言われていました。そんな時に小学5年生の時に観たドラマ「小児病棟」(原作・江川晴)を思い出しました。桃井かおりさんが看護師役で、重い先天性の障害を持って生まれてきた赤ちゃんとの関わりを描いたドラマでした。その赤ちゃんを看護師がケアして育てていくのですが、次第に愛情が芽生えてきて、どう最期を迎えるかが描かれていました。あのドラマが看護の道に進んだ、1つのきっかけになりました。 いい仕事だと考えながらも、現実はとても難しくて、覚悟がいる仕事だとは感じていました。ただ、親戚にも看護師がいたので、お話を聞くことがあったんですね。看護の道を選んだのは、そういう機会に恵まれていたからだったと思います。

久保田
久保田
僕は野球をしていて、高校では礼儀やチームワークの大切さを学んで、365日朝から夜まで一生懸命にやれる環境で野球をさせてもらっていました。野球選手になりたいという夢はあったのですが、高校ではサブ(控え選手)でした。もともとコミュニケーションをとることが好きで、自分の体力・精神力を生かしながら人とかかわっていける医療職に携わっていきたいと思っていました。そんな時に見たのがドラマ「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」で、救急医療に関わりたいという思いが芽生えました。



1期生が語る、近大で学びたいと思った理由

——久保田さんにお聞きします。そのような思いを抱くようになった中で、新しくできる近大の看護学部を選んだ理由はどんなポイントがあったんですか?
久保田
久保田
正直なところ、他の医療系大学の進学も考えてはいましたが、たくさんの人と関わりながら勉強がしたかったので、総合大学である近畿大学がいいなあと思っていました。最終的には大学病院が新しくできて、看護学部が新設されるというのを聞いて、ここに決めました。もともと近大病院があった大阪狭山市のほうには見に行っていたんです。新しくできる「おおさかメディカルキャンパス」は、実際には学校見学はしていなくて、YouTubeやホームページで何を学べるのかを調べていました。実際に来てみると、めちゃくちゃきれいで看護実習室や設備も整っていて、想像以上でした。受験期から学びたいと思っていた場所で自分がやりたいことを学べるんだと思うと、とてもワクワクしています。先生からも、「学生時代からこんな最新の器具で勉強できるのがうらやましいよ」と言われています。

——小松さんが学生の頃と、今とではだいぶ環境は変わっていますか?
小松
小松
私が大学に入学したのは、もう50年以上も前のことです。まだ、看護系の大学は国立と私立を合わせても8校くらいしかありませんでした。そういう時代です。それが今は300校を超えています。徳島に行くのは初めてでしたが、母の郷里で地縁の者もおりましたので、何だか懐かしいという思いで徳島大学を選んだ記憶があります。母のルーツがそこにありました。教育学部の中に看護の課程があったのですが、教育と看護の両方を兼ね備えていれば、学部の中で学べることも増える。土台として、とてもおもしろいと考えておりました。



新しいキャンパスから始まる、未来を見据えた学び



——青木さんは近畿大学附属高等看護学校のご出身で、卒業後に近大病院に入られています。
青木

青木
看護の職に就くと決めてから、シンプルに家から通えるところだったんです。ただ、選んだ道を後悔したことは1度もなかったですね。看護はすごくおもしろいお仕事で、人の人生に、他人の私が入っていく。そんなお仕事って、なかなかないですよね。近大病院が、昨年11月に大阪狭山市から近大病院が堺市に移転してからは、とても立地が良くなりました。駅から雨に濡れずに来ることができるんです。 狭山での50年はとても愛着がありますけど、不便な点も多くありました。「おおさかメディカルキャンパス」に移転してからは、動線が良くなったことで、すごく働きやすくなりました。具体的には現在の病棟はスタッフステーションが真ん中に配置されていることで、看護師が全体を見渡すことができ、どこからでも動けるようになりました。患者さんの目線で動くこともできますし、最新の設備も導入しているので、「これを使ったらとても便利だよね」と、みんなの仕事の満足感が上がっているんです。こちらに引っ越してからの離職率も下がっているという現状もあります。

「おおさかメディカルキャンパス」オープニング記念式典のテープカットセレモニーの様子。(ご登壇者の左から2人目が小松看護学部長、右から2人目が青木看護部長)


小松
小松
私は堺市の出身ですが、生まれて1年しか住んでおりませんでした。それでも祖父母が堺市におりましたので、私にとっての堺市は故郷そのものでもあるのです。幼少時代には長期の休みがあれば祖父母の家に行っては、大和川で遊んだ記憶もございます。祖父母を看取るのも堺の地でさせていただきましたし、大学にいた頃も就職は大阪がいいと考えておりました。 実は私は近大と縁があったわけではないのです。大学・大学院の恩師である小島操子先生(18年春に瑞宝中綬章を受章)が近大の関係者と交流を持たれていて、「看護学部ができるので」とお話をいただいたのがきっかけでした。私は九州の大学で学長をしておりまして、任期が終わりに近づいており、「ぜひ近大の新しい学部で力を発揮したらどうですか?」とお誘いをいただいた次第でございます。近大に呼んでいただけたのは光栄ですし、私にとっての堺市は故郷ですから、これが「最後の仕事の地」だと思っております。 小島先生は昨年、お亡くなりになられたので、近大看護学部の開学をお伝えすることができなかったことが、とても残念です。


2026年4月4日に開催された看護学部の開学部式で、新入生にメッセージを贈る小松看護学部長。

男性看護師が活躍する時代へ。 広がる学びの可能性

——そんな背景があったのですね。学生にとっても、近大で学ぶことへの思いはありますか?
久保田
久保田
入学時に再認識したことがありました。他の大学では経験できないような豪華な開学部式で、アナウンサーの笠井信輔さんが来られて特別講演をしてくださいました。笠井さんは悪性リンパ腫のステージ4で闘病生活を送った経験があり、抗がん剤治療の経験と看護師とのお話をしてくださいました。そのお話が、自分にはだいぶ響いたんです。患者さんを励ましながら入院生活を送ってもらい、退院後も背中を押せるような存在になりたい。笠井さんの生の体験談は初めて聞くことばかりでしたし、自分も心に寄り添える看護師になりたいと思いました。

青木
青木
これまで近大には看護学部がなかったので、本当にこの学部が開学するのを待ち望んでいました。(久保田さんに向かって)来てくれてありがとう。

久保田
久保田
東大阪キャンパスも活気がありますけど、「おおさかメディカルキャンパス」も医学部とコミュニケーションを取りながら学ぶことができるのがメリットだと思います。看護学部は119人がいて、そのうち男性が14人だけですが、とても仲がいいんです。まだ、入学して数か月しか経っていないですが、「絆」がある印象です。入学前のオリエンテーションから交流が深まって、今では昼休みになるとみんなで集まって課題をやったり、全員で助け合いながら学生生活を過ごしています。とてもいい雰囲気の中で学ぶことができて毎日が楽しいです。

小松
小松
看護系大学の中でも、近大は割合としては男性が多いほうだと思います。大学によっては2・3人しかいないところもあります。今回、14名が入学してくれたのはすごく良いことだと感じております。非常にやる気のある学生が多く、通常であれば講義で学生は後ろのほうの席に座ることが多いと思います。でも近大の看護学部に入ってきた男子学生は、1番前の席に陣取って目を光らせながら講義を聞いています。それにはとても感心しております。お疲れの様子の時もございますけれど、いつも一生懸命にやってくれていますから、そんな日はあえて見逃しています(笑)。 学部長室はオープンにしておりますので、いろいろな飛び込みの相談を受けることもございます。「ここをこうして欲しい」ですとか、「誰々先生はどこにいますか?」ですとか、学生の声を聞くことができます。学生とは一緒に学んでいく存在だと認識しております。前任校の慶應義塾では「半学半教」という理念があります。教えている私たちも、学生から学びながら、学生の反応を見ながら、自分たちの個性を出せるようにできればいいかな、と考えております。厳しいところは厳しく。ただ、できるだけ「個」の存在というものを重視しております。

青木
青木
男性の看護師さんは、優しい人が多い気がします。私たち以上に気が利くなあという男性看護師もいます。例えば、患者さんが寝ている時に足元が冷えないように、そっとお布団をかけてあげたり。圧倒的に女性が多い職場で、覚悟を決めて入ってきてくれているので、細かいところにも気が利く人は多いと思います。

新設の看護学部には14名の男性が入学。久保田さんは、同期の男子学生について「とても仲が良く、全員で助け合いながら学生生活を過ごしています」と語ります。雰囲気の良さが伝わってくる写真は久保田さん提供。

患者にも学生にも寄り添う、育てたい看護師像

——人材育成の部分で、学生や若い看護師に期待していることはありますか?
青木
青木
看護部長としては、人を大切にすること、対話を多く持つことを意識しています。患者さんはもちろんですが、スタッフに対しても同じです。笠井(千秋)前副病院長から引き継いでいるものがあります。時代が移り変わる中で、私たちの想像を超えることもありますが、若い人たちは純粋に看護が好きで集まってくれている。なので、とても期待しています。 今の子たちを見ていると、「自分はもっとできるはず」と理想を高くもち、できない自分にしんどくなっていることがあるんです。でも、最初はできなくて当たり前なんですよ。臨床に出たら、できないことのほうが多いんです。「自分はできるはず」という理想と、「やっぱりできなかった」という現実のギャップに直面しても、うまく乗り越えていってほしいんです。

小松
小松
そうですね。前看護部長の笠井さんをはじめとして、近大はとても人を大事にされています。常に患者さんの目線を大切に熱意のある医学部の先生方がいて、看護部も常に患者さんのことを考えてケアをしておられます。学生には、悩みがあればそれを共有しながら、できるだけその人の良い面が出るようにかかわりたいと思っています。 特に実習に出ると、緊張をして思わぬ自分が出ることは、どの学生にもあることです。患者さんからお叱りを受けたり、「こんなはずじゃなかった」となることもあります。でも、それが成長のきっかけになります。学生にとっては「ああしたら良かった」などと悩むこともあるとは思いますが、まだ若いうちは驚いたことも、苦しんだことも、1つの経験です。特に臨床はリアリティーのある場所ですので、自分のまだ経験のないところを先輩のナースに受け止めてもらいながら、伸ばしてもらうことが大切だと思います。 ITが進化している時代には、医療の現場でITに関心のある男性が得意とすることを発揮できる環境があります。ぜひ、そのモデルとして男性の力を発揮していただきたい。もちろん女性にも言えます。近大の看護学部は男女に関わらず、元気で底力のあるナースを育てていきたいと思っています。

「専門・認定看護師会」の様子。2か月に一度、専門看護師・認定看護師が集い、スペシャリストとして院内外への貢献活動の在り方を検討しています。(左奥が青木看護部長)

災害医療の最前線へ。 DMATを目指す1期生の挑戦



——久保田さんは、どういう看護師になりたいですか。
久保田
久保田
僕は救命医療に携わりたいです。災害の専門性の学びに特化して、大学院への進学も考えています。近大病院も災害拠点病院として、DMAT指定医療機関になっているので、人のために駆け回れる看護師になりたいですし、何年か経験を積みながらDMATの隊員に入りたいと考えています。DMATの隊員として、今後予想される南海トラフ地震のような災害等が起こった際に救命にかかわる身として貢献できる人材になりたいです。医療従事者として、必要とされる場所で働きたいです。

小松
小松
日本看護協会の秋山智弥会長にも開学式で「近大に期待しているよ」というお言葉をいただいております。災害現場に出向いていくDMATの隊員を育てたいというのはもちろんです。近大の看護学部は今・これからの時代に合っていると思います。

青木
青木
DMATの隊員は、やる気とともに覚悟がないとできない仕事です。災害の最前線に飛び込んでいくんですから。やりがいはあると思います。

久保田
久保田
はい。災害時の救命医療に関わりたいと思って近大に来たので、過程を大事にしながら日々発展していく医療を学び続けて、自身の適性の幅を広げていきたいです。4年間このキャンパスで学んで、一人間としてより成長していきたいと思っています。

青木
青木
堺市に「おおさかメディカルキャンパス」が移ったからには、地域の皆さまにも頼りにされる存在になりたいですね。




取材:西尾彰彦
文:益子浩一(株式会社SUN LOGUE)
写真:栗山朋久
編集:株式会社アド・ダイセン

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