ラウンド1　「エントリーシート」～盛ってナンボ！の世界～


――就活の際、エントリーシートや面接時に話を盛ったり、ウソをついたことはありますか？

パンダ　多くの就活生は、ほとんどウソに近い状態じゃないですかね？先輩からは「ウソはダメだけど、1を10に盛るのはOK」とよく言われました。僕は、学部でTA(ティーチングアシスタント)をしていましたが、これは非常勤職員扱いです。それを「非常勤講師」と書いたりしましたね。かわいい「盛り」ですけど、深く掘られないようにしながら面接を有利に進めました。

キリン　僕は元々プロスポーツ選手になるつもりやったんです。海外でプロになろうと思って、某国のプロテストを受けました。そのテスト、本当は日本で開催されていたんですけど、それを､現地で受験したという話にしちゃいました。

――そんな話しちゃったら、現地のことを詳しく聞かれるのでは？

キリン　そこは現地にいる人に話を聞いて､それなりに答えられるようにしておきました(笑)。

マンドリル　僕は体育会の部活をやってたんですけど、2年生の時に先輩に勧められて試合に出たのを「大学代表で出ました」って言ったり。試合結果は散々だったのに「好成績を収めました」って言ったりも。大学代表って言葉には、かなり食いついてもらえました。就活は「みんなが盛った状態でスタートラインについてる」って思った方が絶対いい。


ラウンド2　「SPI」～正直者がバカを見る？～


――SPI(企業が学生に対して行うWEBでの適性検査)はどんな感じでした？

ブタ　僕は自分でやりましたが、メガバンクと製薬会社はSPIの替え玉で受験している人が多いって聞きます。

シマウマ　東大生が全WEBテストを解いた解答がネットで流れてましたからね。

パンダ　あれ、すごいよな。

ブタ　でも、WEBテストがある場合、最終試験で抜き打ちテストがあるからね。WEBと最終試験であまりにも差があればバレる。

ウサギ　私は全部自分でやったよ。人に頼って落ちたら腹立つけど、自分でやったら自分の責任やから納得できるやん？

キリン　俺は人事の人と仲良くなったんだけど、その人からも替え玉受験を勧められた。おまけに出題内容について、数学はこんな感じとか、漢字は四字熟語とか色々教えてくれたわ。帰ってからその情報を友達に流したわ。

ウサギ　わぁー。もう正直者がバカを見るって感じやん･･･。

――替え玉が当たり前になっている現実･･･。採用試験の制度そのものに、改善の余地がありますね。。


ラウンド3　「SNS」～こっそりOB訪問実施！～


――就活においてSNSは有効活用している？

ブタ　同じ企業を受ける学生同士はLINEグループを作って情報共有とかするよね。

キリン　金融系の会社の面接ではその場でテストを受けさせられるので、別日程とかの情報を全部収集していくのが大事やな。

ブタ　僕も、まず自分が面接に行く前に、面接に行った人から情報を吸い上げてましたね。

パンダ　某就活サイトでは「こんな問題が出た」という書き込みもあるんですよ。でも、悪意のあるやつは他人を蹴落とすためにウソ情報を流してる。

ブタ　本当の情報と比較しても分からないので、結局疑心暗鬼に陥る。後になるほどデマ情報が増えるんです。

――その状況を、企業側は知らないんですかね？

パンダ　いえ。それは人事もちゃんと見ていて、「SNSには書くな」って言われるよね。グループごとに出題を変えて、どのグループが情報を流したか分かるようにしている会社もありますよ。一方で、某地銀ではフェイスブックで「いいね！」してくださいって言われる。実はそれはフェイスブックで学生を特定して情報を得るためだから怖い。

ウサギ　「いいね！」したら一次面接免除だったり。フェイスブックに登録してない人はその場で「はい、登録してください」って言われたりしてたね。

ブタ　だからフェイスブックは公開範囲を調整したり、ツイッターも非公開にしたり。学生側もバカじゃないから、しっかりセキュリティ対策してる。

シマウマ　逆もまたしかりじゃない？企業説明会では社員の人っていいことしか言わないから、会社の人の名前を記録しておいて、家に帰ってからフェイスブックで調べたりした。“こっそりOB訪問”やな。




ラウンド4　「プライベート」～就活で終わった恋～


――就活中の友達付き合いに変化はありましたか？

パンダ　ずっと一緒に過ごした友達でも、就活が始まったらLINEとかあまりしなくなりました。就活の会話を避けたいから。自分が内定をもらっている状態で聞いたら、嫌みになりそうな気がして。

ウサギ　私は就活の影響で彼氏と別れた。私が最終面接にいくつか通っているのに、彼はゼロ。言いにくくて黙ってたら先生や友人経由で耳に入ったみたいで「俺は一つも内定もらってないのに」って逆ギレされました。「言った方がよかった?」って聞いたら「それも腹立つ」っていうし。



シマウマ　就活って人変えるよね。でも結婚する前にそんな一面がわかってよかったかも。

マンドリル　自分もバイト先の後輩と別れた。ちょうど就活時期に付き合い始めたせいで、彼女と会う時間を作るために説明会をすっ飛ばしたりしていた。「この状況はあかん」と思ってデートをキャンセルしだしたあたりからぎくしゃくし始めて、結局別れました。


エピローグ　～後輩へのメッセージ～


パンダ　自己紹介はどこでも聞かれることなので、あらかじめ考えてワードでまとめておいたり、といった下準備をちゃんとしておけと言いたいです。

キリン　いまやってることを全力でしてほしいな。就活って自分をどれだけ知ってるかが大事やと思うので、自分が頑張っていること、続けていることをほんまに本気で取り組んでいたら武器にできる。そしてそれを主張すること。就活がゴールじゃなくて、入ってから自分が何をしたいのか、そこまで考えて何かできるところを見つけられたら成功かな。

マンドリル　自分がやってきたことに対して自信を持ってほしい。留学とかボランティアができなくても何かしら打ち込んできたことがあったと思うので、それを自信につなげてほしい。落ちたときに、自分はあかんと思うだけやなくて、自分の悪いところにしっかり向き合って次のステップにつなげてほしい。自分と向き合う勇気が大事です。

ブタ　情報戦を制して。化かし合いは世の常なので、化かされていることを前提で情報の収集と発信をしてほしい。不安も多いと思うけど、思うよりもさっさと行動して、模試を受けるような感覚で興味のない企業を受けてみるのもいいと思います。


いつまでも話が尽きない程、みなさん本当に楽しく語っていただき、大盛り上がりだったこの座談会。
だまし合いの面接に、替え玉が横行すると言われるSPI試験と、就活の闇は深いことを実感。日本特有の「新卒一括採用」というシステム自体に疑問を感じつつも、とにかく明るく、一喜一憂の就活ストーリーを語る彼らは、間違いなく社会人への一歩を踏み出していた。
就活は、世間の荒波にもまれて、イヤなものも見て、色々感じて。でもそんな中で、彼らは大きく成長したに違いない。
就活は、楽しんだもの勝ちだ！