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Kindai Picks トップ勤続64年、バンカラ学生の母勇退!!近大理容最後の一日。

勤続64年、バンカラ学生の母勇退!!近大理容最後の一日。

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Kindai Picks編集部

2017/01/16

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大学
学生ライター
オリジナル記事
近大理容室

近大東大阪キャンパス内にある理容室が閉店することになりました。理容室の常連客でもあった学生ライター西山くんが、閉店にともない最後のリポートをしてくれました。

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■おばちゃん、ありがとう



「お客さんに迷惑をかけたらアカン。まだまだやるつもりやったけど、体力が、、、。やり尽くして寂しさは抜けちゃった」

近大理容の名物おばちゃんが12月22日、惜しまれながらも勇退しました。体調不良のため12月1日からお店を臨時休業していました。

引退の理由は「体力の限界」。名横綱・千代の富士と同じように、あの元気なおばちゃんにも現役を退く時が来たのです。おばちゃんは、90歳の誕生日まで1カ月を切ったこの日、89歳でハサミを置きました。

近大理容に勤めて64年、みんなから愛されたおばちゃんの最後のカットに密着しました。


■おばちゃん、最後の出勤



多くの報道陣がおばちゃんの取材に駆けつけました。おばちゃんと近大理容の64年の歴史は、それだけ価値があるということでしょう。おばちゃん89歳にして、初めてのテレビ取材だそうです。新聞記者さんもおばちゃんの話に興味津々。

「最近まで、ずっと自転車で行っててん。今は、こんなん(手押し車)がいるけど。それで、8時半から18時まで店やってて。多いときは、1日に30人くらいは来てたんちゃうかな」

おばちゃん最後の出勤は、さながら参勤交代。多くのギャラリーを引き連れて37号館にある3代目の近大理容へ向かいます。本当につい最近まで、颯爽と自転車でキャンパスを走り抜けるおばちゃんを何度も目撃しました。


応援部OBの田中さん。おばちゃんの周りには、いつも笑顔があふれます。

「伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は学生時代2年生ぐらいまでは、来てたな。高砂親方(元大関・朝潮)は、あんまり来んかったね。手バリ(手動のバリカン)でスポーツ刈りをやってたわ」

多くの部活生もおばちゃんのお世話になってきました。応援部からも、感謝状と花束が贈られました。


■おばちゃん、最後のお客さんを迎える



仕事着に着替え、おばちゃん最後のカットが始まります。最後の散髪は、相撲部の3年生・関くんです。


いよいよ、最後のカットが始まります。



「お客さんと会話すんのが楽しかったな。いい子(彼女)できたかとか、今はおれへんねんとか、そうゆう恋愛の話も切りながらようしたよ。バイトの話とかもね」

おしゃべりしながら、カットは進みます。こだわりの水牛のクシと愛用のハサミを使っての最後の散髪です。



「昔はようお客さんが来てたけど、今はあんまりやな。誰も来ん日もあって、そうゆう時は“坊主”って言うねん(笑)」

多くのカメラの前でも、おばちゃんはいつも通りです(笑)。報道陣も思わず笑顔に。こうしたやりとりが、多くの近大理容のファンを生んできました。



「これは打ち粉って言うねん。ハサミを滑らすためと、髪の凸凹がよくわかるようにすんねん」

今では、見る機会が少なくなったこの光景も理容室ならでは。



カットも仕上げに向かいます。おばちゃんの手際の良さは健在。



ここからは、顔剃。顔を傷つけないように、おばちゃんも真剣な表情に変わり、職人モードに。



顔剃が気持ちいいのか、関くんも目を閉じてリラックス。89歳の職人の刃物の巧みな扱いに記者たちも驚いていました。



もちろんシャンプー付き。学生は、これだけサービスがついて1,500円。これが45円の時代もあったそうです。



このレジスターも使われるのは今日が最後。店には歴史を感じさせるものがたくさんあります。



この表情、とても気持ち良さそうです。三方向からカメラで撮られる関くん。



「めっちゃ良くなったやん」と相撲部の仲間からも大好評。想像を超える良い仕上がりに、仲間も関くんの頭を触らずにはいられません。



「久しぶりに店開けたから、道具も揃ってへんし物足らんかったな。けど、自分なりの形はできたと思う。みんなええって言ってくれたし」

素直な感想がおばちゃんの人柄をよく表しています。このあっけらかんとした感じが、おばちゃんの魅力です。



関くん:「おばちゃん、さっぱりしました。長い歴史がある近大理容の最後のお客さんになれて、光栄です。ありがとうございました」

最後のお客さんの関くんとおばちゃんががっちり握手。おばちゃんも大仕事を終えて、晴れやかな表情に変わりました。


■おばちゃん、最後は100点満点



「疲れたから座らして(笑)。27、8から始めて、こない長いことやるとは思ってなかったね、びっくり。最後の散髪は点数つけるなら100点やな」

カメラの前でも変わらずに堂々としているところが、本当におばちゃんらしいです。



「長くやってこられた秘訣は、規則正しい生活かな。食事も好き嫌い無いし。先月、ベッドから落ちてから体がむくんで入院して、先生に仕事辞めてまえって言われた。それでも、80代になるまでは病気一つせずに、休まずやって来たんやで」



関くんもカメラに囲まれて照れながらカットの感想を話します。11月に行われた西日本大学相撲大会の結果は個人3位でしたが、相撲でもこんなふうに注目される日が来るといいですね!



この日、約3週間ぶりに回ったサインポール。ずっと回り続けて来たサインポールも今日で役目を終えます。みんなに愛されてきた近大理容と名物・おばちゃん。多くの人が集まって笑顔で最後の時を迎えました。


■おばちゃん、ほんまにありがとう



おばちゃん64年間ありがとう!! 大学から感謝状と花束贈呈



清水理事長:「おばちゃんには、卒業してからも10年間ぐらいは、毎朝シャンプーしてセットしてもらいに通ってたな、安いから。自分の名前で感謝状を渡すなんて夢にも思ってなかった」



おばちゃんに引導を、そして感謝状を渡したのは学生時代からのヘビーユーザー・清水由洋理事長。10年間毎朝とは、単純計算で2000回近く。さすがは清水理事長です。表彰式では、過去の学生時代の話題で、おばちゃんと大いに盛り上がりました。



「みんなに世話になって、ええ思い出やった。90歳でもやってるつもりやったけど、89やから家で毎日楽しくゆっくり過ごすわ。ケーブルテレビで時代劇見とくわ(笑)」

僕も最後に花束をおばちゃんに渡しました。12月に入って休業と書いた紙が店先に貼ってあるのを見たときは、心配になりましたが、こんなに愛されたおばちゃんの最後の仕事を取材できて本当に良かったです。

[div style="border-style: solid ; border-width: 1px; border-color: #CCCCCC; padding: 10px 5px 10px 20px;"]おばちゃん(1927年1月8日生まれ)の同級生
・エリザベス女王(1926年4月21日)
・渡邉恒雄(1926年5月30日)― 読売新聞グループ本社主筆
・マリリン・モンロー(1926年6月1日−1962年8月5日)
・江沢民(1926年8月17日−2002年11月15日)
・小柴昌俊(1926年9月19日)― 物理学者・天文学者。2002年ノーベル物理学賞受賞
・フィデル・カストロ(1926年11月25日−2016年11月25日)― キューバ前国家評議会議長[/div]

【ライタープロフィール】
西山諒(にしやま・りょう)
卒業式の特別ゲストが誰か楽しみです。
経営学部4年

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