2026.10.13
AIを使い過ぎるとなぜ疲れる?専門家が解説する「AIハイ」の原因と対策

- Kindai Picks編集部
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AIを使えば、仕事はもっと速く、効率的になる。そう考えて活用する人が増える一方、使い過ぎによって心身に負担がかかるケースもあります。今回は、AIの使い過ぎによる体調不良を経験した情報学部情報学科講師の大谷雅之と、医学的な視点からその状態を考察する医学部脳神経内科教室講師の田港朝也にインタビュー。AIの活用で生じる負荷や、健康的に付き合うためのヒントを、それぞれの専門分野から解説します。
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大谷 雅之 (おおたに まさゆき)
近畿大学情報学部情報学科 講師
専門は、複数の自律型AIの協調による問題解決や人間活動のサポート、その影響の分析。水産研究所と連携し、水中ドローンをAIで自動制御して生け簀の近大マグロを自動追尾・撮影する研究も行っています。
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田港 朝也 (たみなと ともや)
近畿大学医学部内科学教室(脳神経内科部門) 医学部講師
遺伝学的解析に強みを持つショウジョウバエモデルを用い、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄小脳変性症(SCD)の病態解明・治療薬開発に取り組む。現在はこれと並行して、臨床の最前線に立ちつつ、スマホ動画とAIを用いて神経症状の定量評価を目指す神経デジタル解析(文科省SPReAD事業採択)を牽引。
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AIは“超高速の部下”?専門家も陥ったマルチタスクの罠
ーどのようなきっかけでAIを使い始め、体調不良を感じたのでしょうか?
ーAIを使うことで、具体的にどのような変化がありましたか?
一番疲れたのは「AIに作らせること」ではなく「確認すること」
ー 仕事が速く進むのなら、負担も減りそうですが?
ー 複数のAIを同時に使っていたことも影響していたのでしょうか?
すると、「どのAIに何を投げたか」が分からなくなり、混乱するようになりました。AIによって作業そのものは速くなっているのに、自分の頭の中では処理しきれなくなっていたんです。
情報のプロが伝授!AIを健康的に使いこなす3カ条
ディスプレイから目を離し、資料を読む時間に充てたり、あるいはお茶を淹れたり、トイレ休憩をしたりするなど意識的にリフレッシュしましょう。
2「AIなら一瞬!」と誤解しない
「AIを活用すれば劇的に効率化する」と思いがちですが、実際には、出力結果のファクトチェックや修正に多くの時間を要します。検証の時間も含めたスケジュールを組むことが重要です。誰かにAIを使った仕事を依頼する際にも十分に配慮しましょう。
3検証作業もAIと分担する
AIの生成物に最終責任を持つのは人ですが、検証のプロセスをAIと分担することは可能です。校正・バグ出しなどの1次チェックを別のAIに行わせることで、検証作業の負荷を軽減できます。
“AIハイ”に注意!疲れも高速化?
ーこのような不調を、医学的にはどのように考えられるのでしょうか?
AIを使う行為の実態は、タイピングやクリック、音声入力などによるデスクワークです。PCを使ったデスクワークで脳が物理的に傷つくような症例は、今のところ報告されていません。そのため、AIそのものが特異的な病態を生み出すとは考えにくいと個人的には感じています。
※脳や脊髄の神経細胞が徐々に失われ、認知機能の低下や運動機能の障害を引き起こす病気の総称。
ー では、AIを使い過ぎることで疲れたり、集中力が低下したりすることはあるのでしょうか?
AIが速くなるほど、人間の判断も増えていく
ー なぜAIを使うと、そこまで疲れてしまうのでしょうか?
ー つまり、AIが速くなったことが、逆に人間の負担を増やすこともある?
脳神経内科のプロが伝授!不調を感じた場合の対処法
マルチタスクによる認知負荷が原因だとすれば、いったんAIから距離を置き、タスクの量を減らすのがいいと思います。
2周囲に相談する
在宅勤務など一人で作業していると、不調をこじらせてしまう方もいるかもしれません。我慢せず、早めに周囲や医療従事者に相談してください。
3上司も状況を把握する
上司は、AIによってどのような負荷が生じ得るのか知っておくことが大切です。メンバーの様子を定期的にモニタリングし、“AIハイ”に陥っていないか気を配りながら、業務量が過多にならないよう適切に調整することが必要です。
AIを健康的に使い続けるために
AIは、仕事を効率化し、これまでできなかったことを可能にしてくれる強力なツールです。一方で、そのスピードに合わせて人間まで働き続ければ、知らないうちに負担が積み重なる可能性があります。
「AIを使えば仕事が速くなる」だけではなく、
「AIを使うことで、自分の判断や確認の回数は増えていないか?」
と立ち止まって考えることも大切です。
便利なAIを長く、健康的に使い続けるために。
AIの進化に合わせて、私たち自身の「休み方」や「働き方」も考えていきたいところです。
取材・撮影:陸風社 執筆:近畿大学広報室
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