2016.08.03
電通と組んだ攻めすぎ広告で話題の近畿大学。「でも授業がショボけりゃ意味がない!」と調査をした結果…
- Kindai Picks編集部
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「また近大か!!!」
世界初・マグロの完全養殖成功で狼煙を上げてからはや16年。
日本で初めてネット出願100%へと舵を切ったり、度重なる広告賞の受賞、Tokyo graffity編集部による大学案内の制作、銀座と梅田でのマグロ居酒屋の営業、「ド派手入学式」でのつんく♂さんの衝撃のスピーチなどなど、毎年何かと話題に尽きない近畿大学さんですが……
今年もこちらの広告でやらかしたことが話題です。
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怖い。
公式サイトも怖すぎる。

http://int-studies.kindai.ac.jp/
正気の沙汰ではない。
これ、2016年からスタートした新設の国際学部のポスターなんですが……
巷では「昭和のヤクザ映画のポスター」とか言われてますね。
ちなみに近畿大学医学部のサイトはこんな感じでした。

http://www.med.kindai.ac.jp/
普通!健全!すごく普通!
医学部は正気の沙汰で良かった〜〜。
あ、申し遅れました。わたくしライター兼ブロガー兼、広告業などをやっております塩谷舞(@ciotan)と申します。しおたんと呼ばれております。
27歳生まれは大阪、北千里高校(偏差値62)というところの出身なのですが、一部は国公立に、大半が関関同立に、そして2、3割が産近甲龍 に進学する…といった感じの中堅校でした。

高校時代のわたくし。(左から2番目)あんまり若さを感じられないのは何故だろう。
ぶっちゃけ私が受験生の頃は、「関関同立」(=関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学)という関西4大有名私立大学と、偏差値的にはその下と言われている「産近甲龍」(=京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)の間には越えられない壁があった印象でした。もちろん偏差値は学部によりけりですが…。
が、ここ数年近畿大学が爆発的に追い上げて「関近同立」とも言われてるんだとか……ほんまかいな。
実際に少し前から「関西大学を蹴って近大に入学」、最近は「立命館大学を蹴って近大に入学」という学生もいるとか……いや、個々人の事情もあるんでしょうけど……ほら、家が近いとか……でも、立命館のパイを奪いにいくとは、近大恐るべし……。。。。
私の知ってる関西圏の大学ヒエラルキーが揺らいでいる……。
そして。私が18歳の頃に大学資料冊子や予備校で見ていた近畿大学のポスターは、こんなんじゃなかった。

こんなマグロもなかったし…

こんなSFモノのもなかった。

赤井英和〜〜〜! も、なかった。
当時(10年前)はもっと普通だったんですよ。マジで。普通のポスターがどれだけ探しても出てこないので、記憶をもとに再現してみますね。

そうそうこんな感じ。これは、すんごい雑な作りですけどね。ECC予備校千里中央校に貼ってましたよ、こんな感じの普っ通〜〜〜のポスターが!
しかし10年が経って、わたしも今や広告業界の端くれで働く人間。いつも広告で話題の近畿大学さんに、問いたいことがあるんですわ。
話題の広告、ほんまですか?!ちゃんと事実書いてますか? バズらせたい(=ネットで拡散させたい)がために、なにかと誇張してませんか?!
いくら話題になろうと、虚偽の広告の罪は重いですからね……。しかも相手は未来のある若者。若者の将来を左右する選択の過程、嘘でだまくらかしてしまうのは非常に良くない。
ということで、この原稿が掲載されるのが近畿大学のサイト「Kindai Picks」上であろうと、広告マンシップに法って、落ち度があれば容赦なく突っ込んでいく所存です。本気やで!
まずは関西電通に行ってきたよ
今回のパンチのある近畿大学さんのポスター。どこの広告代理店が作ってるのか?!と聞けば、電通です。あぁ……そうですか…電通様ですか……(逃げ腰)。

(電通が制作されたポスターはこちらのシリーズで、日頃は近畿大学広報課の方々がキャッチコピーなど考えて制作されているそうです)
…ということで、就職活動ぶりに関西電通にやってきましたよ!(筆記試験で落ちたことは、今となればいい思い出やで!!)

かつて私を落としやがった電通様の社内。5年も経てば堂々と入れます。
そして会議室に現れた電通マン。

!!!でで〜〜〜ん!!!
日下慶太(くさかけいた)さん大阪生まれ。神戸大学ご出身です(近畿大学じゃないんですね)。見たからにヤバい人のようなオーラが出ている日下さんですが、過去に手がけられた広告実績はこちら。





「これ、覚えてる!!!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そう、これらは全て、4年前にネットでもテレビでもめちゃくちゃ話題になった大阪・文の里商店街の町おこしPRポスターなんです。その仕掛け人が日下さん(制作は若手クリエイターたち)。はいはいはい、なるほどなぁ〜〜〜!
どうやら、バズるポスターを作るのがお上手な日下さん。
しかし、バズらせたらええっちゅうもんでもないですからね!!!
ということで、厳しめにお話を聞いていきたいと思います。














学生時代はバックパックで旅するのが好きで、ロシアでスパイ容疑で軟禁されて尋問されたり、アフガニスタンでタリバンと自転車を二人乗りしたり。そんな生活からいきなり、電通に入社。資本主義のド真ん中で働きはじめました。そして、鬱になってしまったんです。



((長くなるので割愛しますが日下さんはロシアでスパイをしていた訳ではありませんでした ))









僕が企業の広告制作で培った力は、地方に還元出来るんやないか、とずっと考えてました。そして商店街の広告にも繋がったんです。


ぼくは若手の教育担当だったのですが、彼らがフラストレーションを貯めてモチベーションが落ちてしまっている状況をなんとか出来ないか、とずっと思っていて。それで、商店街では「オモロイもん以外は認めへん」という約束の上で、若手に自由に案を出してポスターを作ってもらったんです。



本当に嬉しそうに笑う日下さん
日下:振り返ってみると、「中間チェックを入れないで全て任せてもらう」というのが、上手くいった原因でもありました。






近畿大学国際学部のトップページ、凄すぎる…( ; ゜Д゜)
— 山添玉基【大学受験英語/小論文講師】 (@yamazoe_tamaki) 2016年5月25日
言ってることは正論だと思うけれど、このオドロオドロしさがブッ飛んでる(笑)(^_^;) pic.twitter.com/PyzgmffkwX
★★★★★★5000リツイート越え!!!!★★★★★

これぶっちゃけ、内容はけっこう誇張してません? ここだけの話。




実際、関西学院大学だったらこんな昭和のヤクザ映画みたいなポスターにならないでしょう?

manabi.benesse.ne.jp/daigaku/school/3694/より
関西学院大学。映画「阪急電車」でも登場するオシャレでお金持ちでお賢いお大学。




最後に記念撮影。やっぱり昭和のヤクザ映画の宣伝にしか見えない。
日下さんのお話を聞いて、いかにこの広告が実直な気持ちで作られているか……ということはわかりました。ヒアリングを重ねた上で制作されていることもわかりました。電通様にも人の心、日下さん。いい兄ちゃんだったなぁ……。
が。
この広告を作ったのは、学生さんが入学する前なんですよね。
学生さんが入学した今現在、本当に広告に見合った授業がされているのでしょうか?
実際のところは大学の授業なんて寝てる人も多いし、ましてや近大は進学校でもな(ry
続いて近畿大学に行ってきたよ

やって来ました近畿大学。
大阪の東の方にありますが、かなりデカい。西日本で一番デカいらしいです。全敷地はおよそ385万平方メートルあって、西日本最大の広さを誇っているそうですが、日本一の北海道大学はおよそ6億6000万平方メートルで敷地内で遭難者が出るレベルらしいので、そこと比べるとまぁ狭いですね。
そして中に入っていくと……

綺麗すぎて目がやられる……

私の行ってた大学と全然違う……
(母校に申し訳ないので大学名は伏せますが気になる人は「塩谷舞 大学」で検索してください)
そして授業が始まるまでの間、しばし広報部で時間をつぶしていたのですが、この壁なんやこれ

ずらっ!!!!!
そして中でも気になるのがこちら。「2015年 PRアワードグランプリ コーポレートコミュニケーション部門 最優秀賞」ですが……


「電通と博報堂を撃破し大学初の受賞」
過去にここまで電通をライバル視しておいて、手が差し伸べられればしっかり受け取る。近大すごい。節操がない。(良い意味です!)
さらに、広報部の棚にはこれでもかと並びまくる、広告賞の受賞トロフィー……過去に私はバスキュールという制作会社などで同じような風景を見ましたが、ここは大学です。おかしいでしょ。

と、広告の話はもういいんです!大事なのは現場です。授業です。
新設でピッカピカの国際学部に殴り込みやで!!!!
はいこちら!国際学部の校舎の中にやってまいりましたよ。

フォントがおしゃれか!
こちらのお姉さんに案内していただきました。国際学部職員の岡さんです。ほんわか〜




http://www.mdn.co.jp/di/articles/2248/より
参考までに、これは株式会社グリーのオフィスです。似てる。
そして教室に入ってみると……








※英語が聞き取れないので通訳してもらっています。恥ずかしい。



でもそれって、自分の英語力がどんなレベルなのか、誰より上で誰より下なのか、クラス分けによって一目瞭然ってことですよね。私、前に勤めてた会社で英語の授業があったんですけど、途中でクラス落ちちゃって、めっちゃ凹んだんですよ。「Upperクラス」から「Lowerクラス」に……そのときのショックといったら……。





英語での自己紹介を求められて「アイム、ア、ブロガー!フロム、トーキョー!」と話す私。恥ずかしい。




















ベルリッツと提携することで、社会人になってからもビジネスで本当に通用する英語を学べるようにしているんです。こんな感じです。

http://int-studies.kindai.ac.jp/about/feature/berlitz/より

日本なのに、まるで海外にいるみたいな「英語村」
国際学部のカリキュラムも校舎もすごすぎてカルチャーショックを全身に受けヨレヨレだったのですが、最後に案内されたのがこのオシャレカフェみたいな「英語村」。
正直もうお腹いっぱいなんですけど、入ってみるとしましょう。

中を見渡すと……

外国人率が高め?

モノポリー(英語)。

雑誌(英語)。

私の大好きなNARUTO、我愛羅と戦う巻(英語)。
そうです。ここ「英語村」に足を踏み入れたら最後、英語しかありません。英語しか喋っちゃだめなんです。中にはカフェもあって学食みたいなのですが、オーダーを伝えるのも全て英語!(日本語だとオーダーが通りません!)
この英語村は2006年、10年前からスタートしています。国際学部が出来るずっと前からあったんですね。
この英語村で働くスタッフは全員英語を話す外国人!

広報部の横山さん曰く「ここに毎日通ってると、TOEIC100点くらい上がりますよ」とのこと。
モグれそうなので、近所の方はモグってみてはいかがでしょう。(あかんか…)
英語がスゴい近大は、マグロも美味い
電通も、国際学部も、英語村もご紹介いたしましたが、い、いかがだったでしょう……?
広告とマグロばっかり話題の近畿大学ですが、あの広告を見て入学した学生さんたちはみんなバリバリビシビシ英語スキルを高めまくっておられました。彼ら・彼女らの海外追放まであと3ヵ月。みんなでっかくなって帰って来るんやろうな……。
最後には、梅田のグランフロントにある近大が運営する居酒屋「近畿大学水産研究所」にて近大産の、養殖のマグロなどをいただいた訳でした。最&高に美味しかった…。

広報がスゴい。中身もスゴい。学生は元気。先生も元気。校舎はキレイ。授業はスパルタ。マグロは美味い。
取材後の、素直な感想はこちらです。
近畿大学まじやばい
— 塩谷 舞(しおたにです!) (@ciotan) 2016年5月13日
本当に、まじやばい。10年後には世界のビジネスシーンで近大卒のビジネスマン&ウーマンたちが、ものすごい活躍してる気がします。ああ恐ろしや、ナニワのマンモス校・近畿大学。
これ、すべてが新設のスタートアップというならまだしも、組織としては100年近く前からある老舗大企業みたいなものですからね……。どんな改革やねん。。。
ひとつ欲を言えば水泳の入江選手(近大卒)をもっと広告に出して欲しいし、そのポスターをもらいたいし、家に貼りたい。私から言えることは、それくらいですね……。
ではでは、またお会いする日まで! ライターの塩谷がお届けしました。またね!
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