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2015.10.09

あのカリスマ英語講師が語る!!英語学習に決定的に足りていない2つの要素とは(東進ハイスクール 安河内哲也講師)

Kindai Picks編集部

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教育
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自己啓発

「英語なんて言葉なんだ。こんなものやれば誰だってできるようになる!」東進ハイスクールのCMでそう言い切り、一躍有名になった安河内氏。今では日本における英語教育の第一人者とも言えるほどの活躍をしている。キャンパス内にすべての会話を英語で行う施設「英語村」を持ち、2016年度からは1年間の留学がカリキュラムに組み込まれている国際学部を新設する近畿大学が、安河内先生に「日本人が抱える英語学習の問題点」や「英語を学ぶ意義」について聞いた。

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「完璧な英語」を追い求めるな!


ー安河内さんは、講師として多くの学生や社会人に英語を教えてきたと思いますが、ズバリ英語学習のポイントは何でしょうか?


そもそも間違った英語学習をしている人が多いんですよね。社会人になっても中学や高校でやったのと同じ受験英語のやり方で英語を勉強しているから伸びないんです。まずは細かい文法を完璧にマスターしようとしてしまう。

僕も大学2年生のときにアメリカに留学しましたが、最初は「完璧な英語しか話してはいけない」と思っていたので全然コミュニケーションが取れませんでした。
でも、よく聞いてみたら現地の人たちはいろいろな意味でデタラメなんですよね。


ー現地の人は、文法なんか気にしてないんですね。


そうなんです。それよりも話す内容の方が大事。それに気づいてからは僕も文法の完璧さを追い求めなくなり、英語でコミュニケーションが取れるようになりました。2ヶ月でそこまで変化したので、おそらくこれは英語力が伸びたということではないと思います。気持ちの切り替えだけで、劇的に話せるようになったんです。

みなさんにも「完璧でないと英語は話してはいけない」という思い込みを捨てて欲しいですね。文法は最初に一通りサクッとやっておいて、あとはちょこちょこ見直すくらいで大丈夫。文法を英語学習の中心に置くのは絶対にダメです。


ー他に従来の英語教育について問題だと思っていることはありますか?


意味調べと全文和訳ですね。もう、僕が総理大臣になったらどちらも法律で禁止したいくらいですよ。この2つをやめて、中高生がその時間を言語活動、つま「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能に使うだけで、日本の経済は良くなるんじゃないかなぁ(笑)。英語って、もっと効率良く学習できますからね。


音を使って英語を身を学習し、海外で実践せよ!


ー安河内さんの考える「効率の良い学習」とは?


これまでの英語学習にはプラクティス、つまり練習が欠けています。多くの人は「ルールは学ぶけどスキルは身につかない」という状況に陥っていて、その架け橋になるのがプラクティスです。


ー例えばどういうことですか?


ピアノを習うときって、まずは楽譜の読み方を理解しますよね?それは大事なことです。でも、楽譜の読み方が分かったからと言って、弾けるようになるわけではない。ずーっと頭だけ使って楽譜を読んでいてもスキルは身につかないんです。弾く練習をしないと。


ーそれは英語で言うと、誰かと話をするということですか?


それもありますが、自分で勉強するときにもプラクティスはできます。それが私がお勧めしている「音読学習」です。静かな図書館で黙々と頭と手だけを使っていても、話せるようになるはずがありません。英語の学習時間の半分以上は、音を使ってください。参考書も絶対に音源がついているものを選びましょう。

音源を聴きながら少し遅れて発音する「シャドーイング」や、聴き取った文を書き出す「ディクテーション」なんかは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。他にも、とにかく速く発音する「加速トレーニング」や、声に出して、意味を考えながら紙に書く「音読筆写」と呼ばれるものもあります。

文章を読んで和訳したいときも、紙に書かなくていいので、まずは英語で発音して次に日本語も口に出して言う、というのを繰り返してください。書くことが目的化してはいけません。


ー「英語力」というもの自体を見直さないといけないのかも知れませんね。


その通りです。日本語に訳せる、目で読んで理解できる、並べ替え問題が解ける…こういったことができても、それは英語力とは言いません。耳で聞いて理解できるようにする事が大事なのです。「読むのも大事じゃないか!」と言う人もいると思いますが、大丈夫です。耳で聞いて理解できる英語は、目で読んでも楽勝で理解できますから。

でも、読むことや訳すことだけが目的化すると、文を分解して逆から訳したり、発音を無視して勉強することに慣れてしまって、スピーキングには使えないんです。リスニングもできるようにはなりません。


ーすぐに音読を始めた方が良さそうですね(笑)


僕は帰国子女ではありませんし、留学もしたことがありません。でも正しい種類の音読を組み合わせて学ぶことでここまで英語力を伸ばしてこれました。受験生でも偏差値が30くらい伸びることはザラにありますね。もちろん社会人だって、音読トレーニングを習慣化すれば、すぐに実践の中で英語を使えている感覚というのが分かってくるはずです。


ー留学は必要なさそうですね。


いや、そんなことはありません。僕はたまたまお金がなくて留学できませんでしたが、できるなら絶対にした方がいいです。もちろん海外勤務でもいいですし、どうしてもお金や時間が厳しければ旅行でもいい。やっぱり「生きた英語」に触れて、英語でコミュニケーションが取れたときの喜びを感じるのが何よりも重要です。


日本人は、英語を学ぶときに一番大切なものが欠けている





ー安河内さんは講師として英語を教えるだけでなく、音読学習そのものを普及する活動もされているそうですね。


間違った方法で英語を学んでいても、できるようにはなりませんから。正しい音読学習で英語ができる人を増やすのが僕の使命なんです。


ーそう思ったのは、何かきっかけがあったからですか?


みなさんは、なぜ英語を学ぶのでしょうか?おそらく、テストのためやキャリアのためと答える方が多いでしょうね。でも、僕は30年以上英語を学習してきて、いろんな国を訪れ、「なぜ英語を学ぶのか?教えるのか?」という問いに対する答えを、やっと見つけることができたような気がしています。


ーその答えとは?


英語って、世界を見渡すと、現実問題、アメリカ人やイギリス人の言語ではないんですよ。実は世界で英語を話す人のうち、半分以上はネイティブではありません。日本人もみんな学校で英語を学びますし、同じようにヨーロッパ人やアフリカ人だって英語を学んでいます。世界のどこに言っても、ほとんどの場合、英語で話すことになるんです。

世界にはたくさんの戦争をしている国があって、人と人がいがみあっています。その理由のひとつは、彼らがお互いに「あの人たちとは違う」と思っているからだとおもいます。でも、本当はみんな同じ人間です。私にも、イラク人、アメリカ人、イギリス人、韓国人、オーストラリア人など、たくさんの友達がいますが、髪の色や肌の色は違っても同じような悩みや喜びをもった人間なんですよ。直接話ができるなら、その当たり前のことがわかるはずなんです。

聖書にある「バベルの塔」の話はご存知ですよね?


ー人類が天に届く塔を作ろうとした、あの話ですか?


そうです。結局、神様は怒って、再び人類が協力しないように言語をバラバラに分けてしまいました。でも、長い年月が経った今、僕たちは再び共通の言語を持つようになりました。それがたまたま英語だったんだと思います。

英語をマスターすれば、お互いに理解し合えるし、一緒に住むことだってできる。英語で、多くの国の人が、直接コミュニケーションをとることができるようになれば、私たちは世界を変えられると思います。だから僕は、もっと多くの人に英語をマスターしてほしいと思っています。

日本人は、どうも英語の解説を読めば英語ができるようになると思っている人が多い。やらされてる感がある。何でもそうですが、自ら求めてやらないと身につきませんよね。「英語を学ばないといけないから仕方なくやるか」ではダメなんです。結局、英語も最後はハートなんですよ、ハート。


PROFILE
安河内哲也(やすこうちてつや)
財団法人実用英語推進機構代表理事
東進ハイスクール英語講師

1967年福岡県生まれ。少年時代はアメリカ映画や洋楽を好み、英語に対する興味が高まっていった。1989年に上智大学外国語学部英語学科を卒業。その後、複数の予備校で英語の講師を務め、現在は日本を代表する超人気講師に。TOEIC990点、TOEICスピーキングテスト200点、TOEICライティングテスト200点、実用英語検定1級、国連英検特A級、通訳案内士、1級小型船舶操縦士免許を取得している。現在は、一人の講師として現場での英語教育を続ける一方で、文部科学省の有識者会議や講演などを通じて。「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能修得を目指す実用英語教育の普及活動を行っている。

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