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雑学・コラム

2025.08.30

【専門家に聞いてみた】クリエイター・しなこさんが発症した「クインケ浮腫」とは?

Kindai Picks編集部

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クインケ浮腫
大塚篤司
皮膚炎

クリエイターのしなこさんが8月26日にSNSで、化粧品による「クインケ浮腫」発症を公表されました。そこで皮膚科医の近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授の大塚篤司先生に「クインケ浮腫」について聞きました。

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大塚 篤司 (おおつか あつし)

近畿大学医学部 皮膚科学教室 主任教授
専門:アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎を含む皮膚アレルギーの診断、病態機序、治療法、皮膚悪性腫瘍、とくに悪性黒色腫に関すること、免疫チェックポイント阻害剤を専門にしています。
教員情報詳細



そもそも、クインケ浮腫って?

クインケ浮腫とはどのような病気か教えてください。

大塚先生
大塚先生
クインケ浮腫は、皮膚や粘膜下に突然限定された範囲にむくみが出現する病気です。血管性浮腫という別称もあります。まぶたや口唇、舌、のどなどに多く、数時間から数日で自然に消退することが多いですが、咽頭や喉頭に及ぶと呼吸困難や窒息を引き起こす危険があり、場合によっては命に関わることもあります。アレルギーや薬剤、遺伝性の補体系異常など原因は多様で、治療方針もそれによって大きく異なります。

発症するとどの部位に、どのような症状が出ますか?

大塚先生
大塚先生
まぶた、口唇、舌、咽頭、手足、外陰部に限局した腫れが突然出現します。腫脹部は赤みよりも膨らみが目立ち、通常かゆみは強くありません。圧迫感や違和感を伴うことが多く、まぶたや唇が腫れると容貌が大きく変化します。

重症化するとどうなりますか?

大塚先生
大塚先生
最も危険なのは咽頭・喉頭浮腫です。急速に気道が閉塞し、呼吸困難や窒息死に至る可能性があります。遺伝性血管性浮腫では腸管に浮腫が出て強い腹痛を伴うこともあります。重症化時には抗ヒスタミン薬やステロイドでは効果が不十分なこともあり、適切な特異的治療薬の投与や緊急気道確保が生命を救うために不可欠です。

人にうつりますか?

大塚先生
大塚先生
クインケ浮腫は感染症ではないため、人から人へうつることはありません。アレルギー反応や体質、遺伝性の補体系異常などが原因で、接触によって感染が広がる病気ではありません。従って、一般的な隔離や消毒といった感染対策は不要です。むしろ患者本人の生活習慣や薬剤使用歴の見直しが再発予防には重要です。

代表的な原因を教えてください。

大塚先生
大塚先生
原因は大きく三つに分けられます。
①アレルギー性:食物(甲殻類、ナッツなど)、薬剤(抗生物質、NSAIDsなど)、昆虫刺傷や化粧品による接触が代表的です。
②非アレルギー性:遺伝性や後天性のC1インヒビター異常でブラジキニンが過剰に働く場合。
③薬剤性:ACE阻害薬によるものが有名です。化粧品の場合、添加物や香料に対する過敏反応で発症することがあります。

発症しやすい人の特徴はありますか?

大塚先生
大塚先生
アレルギー性では小児から成人まで幅広く発症しますが、アトピー体質や薬剤アレルギーを持つ人で起こりやすい傾向があります。遺伝性血管性浮腫は家族歴を有する人にみられます。ACE阻害薬による血管性浮腫は中高年で高血圧治療を受ける方に多く、一部の研究では遺伝的な背景や地域により発症頻度が高いとも報告されています。

もし発症したら?

発症したら、まずどうすべきですか?

大塚先生
大塚先生
軽度で呼吸困難がなく、腫脹が限局している場合は安静と冷却で経過観察できます。ただし舌や咽頭の腫れ、呼吸苦、声のかすれ、強い腹痛がある場合は救急受診が必要です。過去にアナフィラキシーを起こしたことがある人はアドレナリン自己注射を準備し、症状が出たら速やかに使用します。症状が進行する場合はためらわず救急車を呼ぶことが重要です。

医療機関ではどのような治療が行われますか?

大塚先生
大塚先生
アレルギー性であれば抗ヒスタミン薬やステロイドを投与し、重症例ではアドレナリン注射を用います。一方、遺伝性やACE阻害薬によるものではヒスタミン薬やステロイドは無効で、C1インヒビター濃縮製剤やブラジキニン受容体拮抗薬(イカチバント)を使用します。呼吸困難を伴う場合は気道確保が最優先であり、場合によっては気管挿管や気管切開を行うこともあります。

予防と生活上の注意

再発を防ぐために注意すべきことは?

大塚先生
大塚先生
原因が特定できる場合は、それを避けることが最も重要です。食物や薬剤アレルギーが原因なら摂取・使用を控え、薬剤性では原因薬を中止します。遺伝性の場合は専門医の管理下で治療薬を備え、発作時に迅速に対応できるようにします。ストレスや疲労、感染なども誘因となるため、体調管理も再発予防に役立ちます。

日頃から気をつけた方がいいこと、予防法はありますか?

大塚先生
大塚先生
普段からアレルギー歴や服薬歴を記録し、医療機関に正しく伝えることが大切です。特にACE阻害薬を使用している場合は血管性浮腫のリスクを理解し、異変があれば早めに医師へ相談します。遺伝性の患者では家族も含めて教育を受け、緊急時の対応法を共有しておくと安心です。旅行や外出時には発作時に備えた治療薬や医療情報カードを携帯すると良いでしょう。

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