Kindai Picks

Kindai Picks トップ受験、仕事、スポーツに。心理戦に強くなる5つのポイント

受験、仕事、スポーツに。心理戦に強くなる5つのポイント

合格祈願

Kindai Picks編集部

2017.01.23

2227 View

tag
オリジナル記事
コラム
受験

センター試験が終わり、受験生は二次試験に向けて追い込む時期だ。受験勉強において最も大切なのは、自分をコントロールすること。そこで近大の心理学者が、受験生が不安や焦りと向き合い最後まで全力を出し切るためのポイントを伝授する。

.


1、「やることリスト」を作る



勉強中、つい「あの問題集もやらないと」「全然予定通り進んでない」「このままじゃ受からないんじゃないか」「他の人はもっと勉強しているのに自分は全然ダメ」といった不安が頭に浮かんで、集中できなくなってしまうことってありますよね。また、「願書書かなくちゃ」「マークシート用に鉛筆をたくさん買い込んでおかないと」「消しゴムもそろそろ新しいの用意しないと」など、ちょっとしたやらなければいけないことが気になることもあります。

脳にはワーキングメモリーと呼ばれている記憶の作業スペース、もしくは脳のメモ帳のようなところがあり、計算式を解くときも記述問題を考える時もそこを使います。しかし、不安にせよ、ちょっとしたやらなければいけないことを気にすることにせよ、別のことを考え出すと、このワーキングメモリーの一部が使われてしまい、十分に集中力を発揮することができなくなってしまいます。

そんなとき集中力を発揮するためにまず役に立つのが、何かやるべきことを思いついたら、それをすぐに紙に書き出すことです。それは些細なことでも、心配事でもなんでもいいです。それらが脳のメモ帳であるワーキングメモリーに居座ってしまっているから勉強の邪魔をするわけで、本当のメモ帳に書いてしまうことで、ワーキングメモリーを勉強のために使うことができるようになるのです。

いますぐ勉強机の上に「やることリスト」を書くための紙を置きましょう(もちろん、ポストイットに書いて貼るのもOKです)。


2、やったことを確認する

心理学の世界では、「やることでやる気が出てくる」と言われています。つまり、自分がやったことを確認すれば、達成感が得られ、次のやる気に繋がっていくということです。

目安としては10分~20分ごとに「これをやった」と思えるようにするのがお勧めです。そのためには、やはり些細なこともすべて「やることリスト」に書いておくことが大切です。また、例えば「問題集を5ページやる」と書くのではなく、「問題集を1ページやる」と5つに分割して書いておけば、達成感を得られる回数が5倍になりますよね。
 
その際、問題が解けたかどうかを気にする必要はありません。「やった」という事実をこまめに確認することで、やる気の好循環を生み出しましょう。私はやることリストをぐりぐりと真っ黒に消すことで、あー、今日も仕事した、と自己満足してやる気を好循環させています。


3、ルーティンを作る



受験勉強をするときに、一番心のエネルギーを使うのは勉強を始める時です。無理やり「やろう!」とか「やらなきゃ」と思うと、それだけで心のエネルギーを使ってしまいます。やる気というのは、「お通じ」みたいなもので、頑張って出そうとしてもなかなか出ません。出そうとしすぎると、切れたりします(汚い話ですいません)。野菜を食べたり、適度な運動をしたり心がけることで自然なお通じがあるように、勉強に対するやる気も、ルーティン化して自然に出るようにすることが大切なのです。

そのためには勉強のし始めのルーティンを決めておくといいですね。例えば勉強のし始めは、自分が得意な科目の問題集や語句の勉強から行うことをルーティンとして決めておき、だんだんやる気が出たところで気が重い苦手科目になだれ込むのがいいでしょう。そんな勉強し始めのルーティンも書き出しておけば、そこで達成感を得ることができ、さらにやる気を出すこともできるでしょう。
 
さあ、あなたの「勉強に取り組むときのルーティン」を作りましょう。


4、不安や焦りを認め、勝とうとしない

人は、何かを考えないようにしようとすると、余計にそれを考えてしまうことが研究で明らかになっています。例えば、私が「シロクマのことを一切考えないでください」と言ったら、読者のみなさんはシロクマのことを頭のどこかで思い浮かべてしまうはずです。そして、その時点でシロクマのことを思い浮かべないようにするためにワーキングメモリーが使われてしまうのです。

ですから「そうやってやめようとすることを、やめる」のが大事。不安や焦りを打ち消そうとするのではなく、ありのままで受け入れて、やるべきことを淡々と進めていく。これが大事です。
 
同様に「絶対に合格しなきゃいけない」などといった気持ちも勉強の邪魔になります。スポーツ選手にメンタルトレーニングをすると、自信を持てたり、競技に対する不安が軽減されたり、集中力が高まったりします。でも唯一私たちの常識と違う心理的変化があります。それはメンタルトレーニングをすると、勝利意欲が下がるということです。

スポーツ選手のいい精神状態というのは、「勝ってもいいし負けてもいい、自分の持っている実力を全力で出せればいい」という状態です。そしてそういう恐れのない、開き直った状態でスポーツ選手は結果的に勝つことができるのです。これは受験にも全く同じことが言えるだろうと思います。


5、緊張解消法を知っておく



試験当日も、「失敗したらどうしよう」「できるかな……」「何とかリラックスしないと」と、いろいろ考えてしまうと問題を解くことに集中できません。

まずは脳のエネルギーを無駄に使わないよう、開き直りましょう。大事な受験なんだから緊張するのは当たり前。自分が緊張していることを認めてください。

とは言え、緊張を解くための方法を知っておくことも安心感につながりますので、2つ簡単な方法をお伝えしたいと思います。ひとつめはベタですが深呼吸です。特に息を吐く方に集中してください。私たちの身体は、息を吐くことで心拍数が下がる仕組みになっているのです。心拍数が下がる、つまりドキドキを押えることで、より心を落ち着かせることができます。そしてふたつめは深呼吸をする際に、一旦わざと身体に力を入れてから抜くことです。「力を入れる→抜く」という状態を対比させることで、よりリラックスを実感できます。


最後に…

繰り返しになりますが、良い状態で受験を乗り切るためには、余分なことを考えないことで、脳のワーキングメモリーを勉強や問題を解くことだけに使うことです。そのために、頭によぎったことは紙に書き出し、終えたことは確認し、淡々と勉強できる流れを作り、不安や焦りを受け入れて合格することだけにこだわり過ぎず、緊張解消法を知っておく。

残りあとわずかですが、受験生のみなさんが自分の持っている力を出し切れるよう、心理学をうまく使っていただけたら嬉しく思います。最後まで諦めずに頑張ってください!


【プロフィール】
杉浦健/近畿大学 教職教育部 教授

研究テーマは「やる気」、そしてやる気の根源である「自己の捉え方」など。また、やる気の出る「授業作り」や「働く意味」についても研究。スポーツ心理学、教育方法学、キャリア教育、自己心理学など多方面からアプローチしている。

記事を読む

最新の記事