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【LIXILグループ】本気で狙うシェア世界一。変革を導くリーダーの育て方

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Kindai Picks編集部

2017.01.30

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オリジナル記事
グローバル化
LIXIL

これから企業が生き残っていくためには、グローバル人材の育成が大きな課題となる。GEでアジア人初の上席副社長となり、LIXILグループを国際的な企業に育てあげた藤森義明氏が考える、リーダー育成方法とは。

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【プロフィール】
藤森義明(ふじもりよしあき)/株式会社LIXILグループ前社長・現相談役
東京大学工学部卒業後、日商岩井株式会社(現在は双日株式会社)に入社し、カーネギー・メロン大学でMBA取得。その後、GEに転職し、ジャック・ウェルチ会長の右腕として、アジア人初の上席副社長に。2011年、株式会社住生活グループ(現在の株式会社LIXILグループ)の社長兼CEOに就任。同グループを国際的な企業に育て上げた。2016年6月、社長を退任し相談役に就任。



<2016年11月30日実施、ビジネス最前線講座『「グローバル化への挑戦」~企業と人材の変革~』より>


●企業にとって「優れた製品」より大事なもの

私はアメリカでMBAを取った後、GEで働きました。エジソンが作った会社ですね。エジソンと言えば発明ですけど、GEという会社が120年も続いてきたのは、明確な経営の理念があったからです。それは、いかに人を育てるか。企業にとって大事なのは、発明や製品よりも「人」なんです。

アメリカは資本主義で株主中心、貧富の差が激しい、競争が厳しくてドライな文化…そんなイメージを持っている人が多いと思いますが、実はアメリカの良い会社は長期的な視野を持って、人を育てることに注力しています。

GEも、グローバルで通用する人を育てるために、1950年代にはニューヨークのクロトンというところに大きな研修所を建設し、何十億・何百億という規模のお金をかけて人を育てる方針を固めています。


●経営とは、変革を起こすこと

なぜ人を育てるのと言うと、それは「変革」をもたらすためです。私がGEにいた頃は、20世紀最も優れた経営者だと言われているジャック・ウェルチがいて、「変革者は世界中にいる」「変革する人は育てることができる」と言っていました。つまり、変革というのはカリスマ性のある一部の人だけがもたらすのではなく、きちんとプロセスを追っていけば誰でもできるということです。

そもそも「変革」とは何か。それは今とは全く違う新しい世界にみんなを連れていくことです。そのために必要なのは「ここにいちゃいけないんだ」という現状に満足しない気持ち。日本にいると、美味しい食べ物があって、安全で、サービスが行き届いていることを実感しますが、だからといって「ずっとこのままがいい」と思ってしまうと変革は起きません。

また、新しい世界にみんなを連れていくためには、なぜその世界が良いのか、どうしてそこに行かなければならないのかを、他の人にもわかってもらう必要があります。最初から「よし、わかった」と言ってついてくる人は20%くらいしかいませんから。「そんなバカな!」「絶対行きたくない!」という人が10%くらいで、残りの70%くらいの人は「どちらとも言えないからちょっと様子を見よう」といった反応をします。

100人の組織であれば、100人とも同じ船に乗り込んで、みんなでそこに向かって行かないと大きな変革は起こせません。だから、ちゃんと伝えて、全員で行動する。これがビジネスで一番大事なことであり、変革を起こすことが経営であると言っても過言ではないと思います。




●リーダーに必要な3つのS

では、変革を起こすリーダーには、どのようなことが求められるのでしょうか。それは3つのSで表すことができます。


・Speed(速さ)
・Simplicity(簡単さ)
・Self-Confidence(自信)


まず第一にスピード。「まだ時期じゃない」「もう少し様子を見よう」と言ってぐずぐずしていると、変革は起こせません。それからメッセージは簡単に。みんなが理解できないことを言っても、誰もついてきません。そして自信。「ここに行けば必ず面白いことがある」「自分たちの夢が叶うんだ」…そういった話をする時、本人が本気でそれを信じていなければ、誰も一緒に行きたいとは思いません。


●最速でグローバル化するためのLIXILの戦略



LIXILは、窓ガラスのサッシを作っていた「トステム(東洋サッシ)」、トイレの「INAX」、システムキッチンの「サンウエーブ」など、5つの会社が合併してできた企業です。今までは家を作る時に、トイレやキッチン、窓枠、お風呂、洗面台、庭、屋根など、それぞれ別のショールームに行く必要があったのですが、これらが一箇所ですべて揃うようになりました。

でも、5つもの会社が合併すると、派閥による権力争いが起きることもありますが、LIXILは外部の私に声をかけた。これまでとは全く違う考え方や人事制度を取り入れよう、そのためには元のどの会社にも属していなかった人に任せようと。

私に与えられた使命の一つは、LIXILをグローバルな会社にすることです。トステムもINAXもサンウエーブも高いマーケットシェアを持っていましたので、合併すればダントツでシェアを取れます。でもそれは、人口が減少していく日本国内での話。これからはグローバル化しなければ生き残ることはできません。

ただし、海外進出する時にゼロからブランドを作って広めていこうとすると20年はかかります。そこでLIXILは、それぞれの国でシェアや利益率がトップクラスの会社を買うことに。例えば、アメリカでは「アメリカスタンダード」という衛生陶器でトップの会社を、ドイツでは「グローエ」という世界中にブランドが知られている水栓金具の会社を買収しました。


●リーダーを育てる2つの軸



そのために必要なのは、やはり人の育成です。これまでの日本企業の研修制度で一番問題だと思うのは、役職が与えられるタイミングで急にマネジメントやリーダーシップについて教えるという点です。必要になった時に初めてその教育を受けても、いきなり変わることはあり得ない。本当は、会社に入った時から「リーダーシップとは一体なんなのか」を教えていかないといけないんです。

さらに、グローバルで通用する人を育てるためには、社内でも競争させることが必要です。その時大事なのは、「どういう人が評価されるか」という明確な評価基準を決めておくこと。LIXILでは大きく分けて2つの評価軸があります。

まずは結果。ただし、結果そのものよりも、「結果を出す力」を評価します。例えば、どういった戦略を作るのか、どんなプロセスで物事を進めていくか、そして良いチームを作れるか。たまたま勝った人を評価するのではなく、こういった「勝つための力」を持っている人を評価するということですね。

そして、もう一つの大きな軸が「リーダーシップ」です。LIXILは、リーダーシップのある人を、5つの項目で定義しています。

・多様性を受け入れ、お互いに尊敬するチームづくりができる人
・結果を出すための戦略を作り、決定し、行動する人
・お客様の声を聞き、製品に対して圧倒的な精力を傾けられる人
・エネルギーがあり、他人を惹きつける人
・イノベーションやリスクを取ることを恐れない人



こうやって評価軸を明確にすれば、結果は出せるけど他人を惹きつけられない人にはこういう教育をしよう、リーダーシップはあるけどなかなか結果が出ない人にはこれをやらせてみようといった適切な育成・配置転換が可能になります。ただ「リーダーシップを大事にしよう」と言うだけでは変わりません。こうやって一つのルールを決めることで、社員を動かすことができるんです。


●これからの時代を読む4つのポイント

組織を率いたり自分のキャリアを構築したりする上で、考えなければならないのは「20年後〜30年後の世界がどうなっているか」です。それはおそらく、次の4つの要素で決まるでしょう。

・第4次産業革命
・グローバル化 vs 保護主義
・中国ナンバーワン
・人口動態

今ある仕事の多くは、30年後にはロボットやAIに取って代わられる。世界は必ずグローバル化していく。イギリスのEU脱退やアメリカ大統領選挙でのトランプ氏勝利といったナショナリズムの流れはあるものの、グローバル化することは変わらないでしょう。そして中国がナンバーワンに近づいてきた。アフリカ以外のほぼすべての国で老齢化が進む。

そんな中で、私たちは何を学び、どういった行動を取るべきのか。それを考えることで、組織マネジメントやキャリア構築のスタートラインに立つことができるのです。

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