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2016.05.26

ゲームをオリンピック種目に。―学生の頂点を極めた近グダムが描く「eスポーツ」の未来―

Kindai Picks編集部

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OB・OG
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eスポーツ
ゲーム

2016年3月、東京にて行われた「PlayStation4×コール オブ デューティ ブラックオプスⅢ」全国大学生対抗戦において、近大生で結成された「近グダム」が昨年に続き優勝を勝ち取った。圧倒的な実力で連覇を果たした彼らに「eスポーツ」の魅力と将来の展望について聞いた。

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シューティングゲーム「コール オブ デューティシリーズ」とは?
戦争をテーマとしたファーストパーソン・シューティングゲーム。2003年の発売以来、臨場感ある演出などが人気を呼び、これまでに最新作「コール オブ デニューティ ブラック オプスⅢ」を含む、シリーズ7作品をリリース。反射神経や手の動き、作戦力などが必要不可欠なゲームで、「eスポーツ」としても楽しめると人気を集めている。
公式ホームページはこちら

近グダムとは?
近畿大学の現役大学生6人で結成されたゲームチーム。昨年開催された、ゲームソフト「コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア」の全国大学生対抗戦出場を機に結成。結成間もないながら全国優勝を勝ち取る。さらに今年はメンバーを増員し、チーム力を強化。圧倒的な練習量、スキル、作戦力を持って、今年度の「コール オブ デューティ ブラック オプスⅢ」全国大学生対抗戦でも全84チームの中から勝ち抜き、見事連覇を達成。現在は就職活動のかたわら、学内初のゲームサークルの公式化を目指し奮闘中。


【メンバープロフィール】

ミルヒナ
理工学部情報学科 4年
得意分野:司令塔

ミナス
理工学部情報学科 4年
得意分野:サポート

ゆだってぃ
理工学部情報学科 4年
得意分野:オフェンス(切り込み隊長)

バレンタイン
理工学部情報学科 4年
得意分野:分析

くっすん
理工学部情報学科 4年
得意分野:後方支援

イチコ
工学部電子情報工学科 4年
得意分野:オフェンス

【Twitter】
近畿大学FPS@BO3大学生対抗戦
@KindaiFps



▼CoD全国大学生対抗戦 近グダム【近畿大】紹介PV(YouTube)





リアルな運動能力や研究力がゲームの勝敗を分ける


取材中も笑いが絶えないメンバー。遠慮がいらない友達同士だからこそ、競技においても信頼性が生まれるのも納得のいく仲の良さだ(メンバー左から、ミルヒナ、ミナス、くっすん、ゆだってぃ、バレンタイン)


―「PlayStation4×コール オブ デューティ ブラックオプスⅢ」の全国大学生対抗戦の優勝、そして2連覇おめでとうございます。まずはチーム「近グダム」のメンバー紹介をお願いします。

ミルヒナ 「メンバー6人のうち、5人が大阪キャンパスの理工学部。1人が広島キャンパスの工学部電子情報工学科の4回生です」


―大阪と広島ですか。

バレンタイン 「そうなんです。でも広島キャンパスのメンバーとはSkypeで通信し、練習をしているので、距離は関係ないですね」


―どのような経緯で結成されたんでしょうか?

ミルヒナ 「元々は同じ学年、学科の友達同士だったんです。たまたま同じゲームをしていたので、去年開催された大会への参加をきっかけに結成しました」

くっすん 「他大学のチームはSNSで全メンバーを募集してたようで、ほぼ友達同士でチームを結成するというのは僕らだけだったみたいです」

ミルヒナ 「広島にいるイチコは、チーム結成時にツイッターで募集をかけた時に出会って。彼はもともとはこのゲーム内では結構な有名人で、名前だけは知っていて。まさか同じ近畿大学とは知らず驚きました」


―今回、2連覇を達成した「PlayStation4×コール オブ デューティ ブラックオプスⅢ」はどんなゲームなんでしょう?

ミルヒナ 「FPS(ファーストパーソンシューター)というシューティングゲームで、1人称視点で自分が使っているキャラと同じ目線でプレイするんです」


―このゲームの面白さ、魅力は?

バレンタイン 「反射神経、手の動きの繊細さ、相手の考えを読み抜く力がめちゃくちゃ必要なんです」

ミルヒナ 「そうそう、このゲーム、上位にいる人たちって昔スポーツをしていた人が多かったりするんですよ。僕らも全員ラグビーやバスケ、サッカー等の経験者です」


―リアルな運動センスが力になるなんて意外です。

ミナス 「あと日々の研究と戦略も重要ですね。大会のルールが決まっているので、それを守ったうえで自分たちの弱点をなくす、何をされても勝てるように練習して。自分たちのプレイを研究もされるけど、それ以上に僕らも研究してるんで」

ミルヒナ 「もちろん、個々の能力も」

くっすん 「お互いに支え合って、悪い部分を修正していったことも勝因かな」

ミルヒナ 「あと、例えゲームであっても一生懸命やる。そうすれば結果は出るんです。たかがゲームって言われるかもしれないけど、本気で取り組んだっていうのが今回の2連覇にも繋がってると思います」



この日の取材、広島のイチコはSkypeにてトークに参加してくれた。(左からミルヒナ、ミナス)


賞金100万ドルやオリンピック。拡大する世界のeスポーツと動き始めた日本。



―最近では競技性の高いゲームのことを「eスポーツ」と呼んで、新しいスポーツとして認める動きがあるようですね。

ミナス 「そうなんです。最近では国内でも、日本プロeスポーツ連盟が設立されて、法務省が外国人プロゲーマーに興行ビザ(アスリートビザ)を発行する方針を打ち出したり、eスポーツを本格的な競技として認識し、世間に浸透しつつあります。しかも、そのeスポーツの大会を主催する「eGames」という団体が2016年8月5日から行われるリオデジャネイロオリンピックと並行して、「eスポーツのリオ・オリンピック」の開催を発表していて。世界的には認知度はもちろん、スポーツ性も認められている印象があります。海外では賞金が100万ドルの大会なんかもあって、日本との進展に差を感じますね」


―まさにプロスポーツの世界ですね。

バレンタイン 「そうなんです。最近のスマホゲームにありがちな課金制度がメイン、お金で育つゲームではなく、実力の世界。競技性が極めて高いんです」


―eスポーツの世界では、日本はどのレベルにあると思いますか?

ミナス 「全体的にはまだまだだと思います。予選の良いところまでは行くっていうくらいで」

ミルヒナ 「実は、格ゲー(格闘技ゲーム)だと日本もめちゃくちゃ強いんです。でも、戦略が肝となるMOBA系はまだまだ弱い。『コールオブ~』も世界から見ると、まだまだレベルが低いのが現状ですね」
※MOBA=マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナの略。敵味方の2つのチームに分かれたプレイヤーが、敵チーム本拠地の破壊を目指すゲーム。


―みなさんのご家族の反応はどうですか?

くっすん 「優勝してニュースに載った時は、それまではゲーム=遊びっていう認識だったのに、“(日本一になれるなら)すごいね”って言ってもらえて。でも、eスポーツはただのゲームとは違うってことは全く伝わっていないですね。大会前、夜中にSkypeで作戦会議とかしていると“いい加減にしろ”って怒られたり」

ミナス 「ゲーム中はSkypeで会話をするんですけど、スポーツと一緒で連携プレイの時にはつい大きな声が出ちゃうんですよね(笑)」


―まずは、学生らしく勉強を頑張ってというのが親の本心かもしれませんね。

ミルヒナ 「安心してください。全員単位修得済みですよ(笑)」


―すばらしい!ちなみに今回の大会では賞金が出たそうですが。

ゆだってぃ 「僕は就活に使ってます。バイトが出来なくなる分、この賞金はありがたいですね」

くっすん 「僕はゲーム関連に。趣味のゲームの環境を良くしたいですね」

ミルヒナ 「僕は前回の賞金と同じく、ラブライブに全額注ぎ込みます!(笑)」



練習の積み重ねで、コントローラーの消耗も早いと出費が早く、出費がかさむとか。


ゲーム=遊びというイメージを変えたい。優勝の先にあるもの



―優勝したことで得たもの、周りの反応などはいかがですか?

ミルヒナ 「チームの公式ツイッターに入団希望者からメッセージが来たり、校内で声をかけられたりもしました。連覇したときは、ツイッターで『◎◎大学と近畿大学のどちらに行くか悩んだけど、近グダムのメンバーになりたいから近畿大学に入ります!』ってメッセージも来て」


―それはすごい!そういえば、今大会のスポンサーであるソニーの社長が「有望選手をスカウト(採用)したい」なんて言葉もあったようですが。

ミルヒナ 「自分たちも入社できるならぜひと思っているんですが…なかなか連絡がこないですね(苦笑)」


―将来はやはりゲーム関連の仕事が理想ですか?

ミナス 「僕は『ファミ通』のような、プレイする側ではなく発信する側であるメディアに携わりたいです」

くっすん 「就職ではなく、本気のプロゲーマーの道を考えていますね」

ミルヒナ 「“オリンピックにゲームを入れたい”という夢があって。そのためには日本人のゲーム=遊びっていうイメージを変えないといけない。そういうイメージを変えられる仕事に就きたいと思っています。ゲームを作るではなく、発展させたいんです」


―今回の結果も、進路選択への刺激になりそうですね。

ミルヒナ 「そうですね。大会ではゲームを通して、いろんなことを学んでいます。全国1位になる、それは何においてもすごいことだと思っていて。就活では、ゲームで勝ったことではなく、その過程をしっかりと伝えています」

バレンタイン 「僕はこの大会を機に、デジタルマーケティングや、分析をして宣伝に活かせるような仕事に就けたらと思うようになりましたね」


―今回の大会を経て、賞金のほかに得たものはありますか?

ゆだってぃ 「コミュニケーション能力が上がりました(笑)。高校くらいまでは人見知りも激しくて」

ミナス 「このゲームにおいて1番大事なのは、敵の状況を仲間で共有すること。そうなると声の掛け合いが必須なんですよね。日頃から声を出すのも良い練習になる。コミュニケーション能力もそうですけど、声量もとてつもなく上がりましたね(笑)」



サバイバルゲームを画面上で展開するようなゲーム内容。メンバーらがコントロールする俊敏な動きに、取材陣はついていけず…。


目標は近大初のeスポーツサークル。オレたちが伝説をつくる!


―最後に、今年2連覇となりましたが、もちろん来年も参加…

全員 「します!」

ミルヒナ 「近い夢としては公式サークルを作りたくて」

ミナス 「僕達はいま4年生、来年には全員同時に卒業しちゃうんで、もしサークルができたら、『近グダム』としてこの連覇が続く可能性もあるなって」

ミルヒナ 「サークルがもしできたとしても、入部した人たちの実力や意志を自分たちが認めない限り、絶対に近グダムの名前は渡したくない。『近グダム』を最強のままで終わらせたいんです。オレたちはこのチームを無敗の王国やと思ってやってるんで!」


―みんなアツい!

ミルヒナ 「eスポーツはネットさえ繋げば、誰とでも交流ができる。キャンパスを越えて仲間と戦うことができると思うんです」

バレンタイン 「近大初のインターネットコミュニティサークル。しかもそのサークルがeスポーツ大会でさらに連覇を重ねたらカッコイイよな」

ゆだってぃ 「フットサルやテニスみたいに、広い場所を借りたりしなくていい。オレたちは場所を選ばなくてもスポーツができる。それがeスポーツの魅力の1つです」


―夢は広がりますね。

ミルヒナ 「eスポーツをオリンピックにする夢の前に、大学生活はあと1年しかない。やれることをやって、近畿大学はゲームも強いっていう証を作って学生生活を終わらせたいですね。近大史上、類を見ない伝説と共に卒業したいと思います!」



就活に力を入れつつも、来年の大会でも連覇を狙うと宣言してくれたメンバー。チーム加入を希望する新入生も多く、公式サークル化への夢も膨らむ

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