2023.10.26
家にある椅子とテーブルでも体の負担のない作業環境を作るには?人間工学の専門家に聞いた
- Kindai Picks編集部
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アラフォーのワーキングマザーさんから、とある相談が近大に届きました。「在宅ワークにも快適な、ダイニングテーブルと椅子の条件を知りたいんです」という疑問に、人間工学の先生たちが答えてくれました!家でパソコンを広げて仕事をする人に必見です。
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日常の疑問に、近畿大学の専門家の先生たちが答えてくれる「それってなんなん?相談所」。
さて、今回の相談内容は……?

毎日、家でパソコンを使って仕事をしているので、質問者さんの気持ちがすっごくわかります!
私の場合は作業用のデスクと椅子はあるんですけど……。家事をしながら、子どもの宿題を見ながらとなると、リビングで作業をすることもしばしば。それですぐに体を痛めてしまいます。
ということで……在宅ワークにも快適な、ダイニングテーブルと椅子の条件を教えてもらいに生物理工学部がある近畿大学和歌山キャンパスにやってきました!

依頼者のKさんとは初対面だったのですが……
川口・Kさん:えっ服装かぶってる!?(照)
打ち合わせしてないのに、まるで名コンビのような衣装。

きっと、私たちの悩みは解決する! 幸先がいい感じがします!

そうです、かね?
それでは、いざ、人間工学の先生たちがいる研究室へ!
人間工学って、椅子とどういう関係があるの?

今日は、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。
先生たち:よろしくお願いします。


先生たちは人間工学のプロということですが……椅子とはどういったご関係で?

ああ、じゃあ一人ずつ自己紹介がてら、どんなことを研究しているかお話ししましょうか。

生物理工学部 人間環境デザイン工学科 生物理工学研究科 准教授

私は、コンピュータ・シミュレーションを使って、製品の設計や改善するための研究をしています。椅子に関しては、筋力が弱ってる老人でも使いやすい補助椅子の研究をしています。

僕は、人間工学と心理学を使った安全のための研究をしています。

生物理工学部 人間環境デザイン工学科 准教授

メンタル面から、人間工学に基づいて、作業効率や安全性を上げるお話ができたらと思います。

僕は、障害者や高齢者の方が使いやすい車椅子などの開発をしています。スイッチ一つでも、操作しやすくするにはどうしたらいいか? 認識しやすいデザインは?
そういう感覚を探求するのも、人間工学の一つです。

生物理工学部 人間環境デザイン工学科 講師

つまり、わかりやすく簡単に言うと、人間工学とは……?

人間の体や構造を理解して、より快適に過ごせるような環境作りや、道具を作る学問のことです。身近なところで言いますと、体に負担がかかりにくい椅子や、高さを調整できるテーブル、長時間使っても疲れにくいシャープペンシルなどもそうですね。

へ〜。私たちが何気なく使ってるものの中にもたくさんありそうですね。


人間工学って、もともとはヨーロッパの産業革命がきっかけで発達したんですよ。

そんなに歴史が長いんですね!

そうなんです。当時は、いかに工場労働者たちの生産性を上げるかが重要視されてました。そのためには、工場労働者たちの心と体の特性を理解して、働きやすい環境や使いやすい道具を揃えないといけない。体格や力は人それぞれですが、みんなが作業しやすい作業台や読み違えが起きにくい計器などを作ってきたのが人間工学の始まりです。


当時の労働者は、体を動かす人たちがメインでしたが、今はデスクワークの人が増えましたよね。時代とともに労働者の働き方も変われば、人間工学の対象も変わります。

まさに私たち! 在宅ワーカー!
高機能チェアは、買わなくてもいい?

在宅ワーカーがより働きやすい環境作りを考えると……やっぱり人間工学に基づいた高機能チェアがあった方がいいんでしょうか?
値段が高いものばかりで、3年くらい悩んでるけど……。

いや、買わなくていいと思いますよ。僕も持ってないし。


えっ!? 持ってない?

私も高機能チェアは持ってないですね。大学から支給されたこの椅子は、最新の高機能製品でもないし皮張りの贅沢品でもないと思いますが、お気に入りです。25年間使っています。高さも調整できるし、アームレストもあるし、ちょうどいいんですよ。


先生方は、そこまで椅子やテーブルにこだわりがないんですね。意外です。

人間工学の専門家、人間工学的な椅子使ってない説……!


持ってた!!

やっぱり高機能チェアって、いいものですか?

そうですね。機能性が高くて自分の体に合った高さに調整できるので楽になると思いますよ。

でも、お高いんでしょ?

まぁ、そうですね、それなりの金額はしましたね……。

…………(じとー)

…………(じとー)

ただ、人間工学の理論を知っていれば、高機能チェアを買わなくても作業環境は改善できますよ……!

ぜひ、体の負担を減らすための人間工学の理論を教えてほしいです!
体の負担をかけないためには、やっぱり姿勢が大事!

姿勢よく作業をすることは、体に負担をかけないために、まず第一に大切なことです。

やっぱり姿勢は大事なんですね。ちなみにKさんは、いつもどのように作業をされてますか?

リビングのダイニングチェアとテーブルでやってます。



先生方、アドバイスなどありましたら、ぜひ!

足の裏がちゃんと床についてますよね。すごくいい状態です。

どういうことですか?

足が浮いてる状態だと、疲れやすいので。まっすぐ座った時に、「足が地面にすべてついた状態で太ももが座面に軽く触れている」のがベストな座り方です。


そうなんだ……。家のリビングチェアは、ここまでしっかり足はついていないかも。

僕も、ちょっとよろしいですか?

どうぞ!

人間工学の理論では、目線の10〜15度下にパソコンがあると、疲れにくいです。

視界の高さはパソコンスタンドで、調整できますね。


あと気になるのが……ボソ

どうぞ! どうぞ!

姿勢をよくするには、もう少し大きいキーボードがいいです。


えっキーボードの大きさなんて関係あるんですか?

あります。厳密に言えば、キーボードの大きさが大事というよりも、人間にとって自然な姿勢で操作できる形状をしていることが重要です。
この小さいキーボードでは、腕や手首を窮屈に中央に寄せて操作しなければならないので疲れますよね? 手首の関節に負担がかかります。

あ、たしかに。小さいと、体がギュッと縮こまってしまうかも。

人間はリラックスした状態で机の上に腕を乗せるとき「ハ」の字になりますから、その姿勢のままキーの操作ができるように設計されたキーボードがあります。それをエルゴノミックキーボードと言いますが、腕や手首への負担が軽減されるのでおススメです。

Kさん、どうですか?

たしかに、疲れにくいかもしれないです。

姿勢も大事だけど、姿勢を変えることも大事。

姿勢が大事なのはわかるんですが、私、どうしても集中するほど、おかしなポーズになっちゃうんですよね。
気が付いたらダルシムみたいになっちゃって……。


それはものすごく体を痛めそう……。

まぁ、ずっと姿勢よく作業なんてできないですよねぇ。仕方ないですよ。

え、いいんですか? そんな簡単に諦めちゃって。

姿勢はもちろん大事ですが、もう一つ大事なことがあります。
それは、「同じ姿勢を取り続けないこと or 姿勢を変えること」です。

か、変える⁉

それだけ長時間、同じ姿勢で作業し続けることは、体に負荷を与えるんです。エコノミー症候群も、ずっと動かないことから、血液の巡りが悪くなって起こる症状ですよね。

寝返りも打った方が健康的と言われてるでしょ? 寝たきり状態のままだと床ずれ(褥瘡)ができることもあります。

たしかに! 動かないことって、思っていた以上に不健康なことなの……?

そうなんです。椅子から立ち上がるだけでも姿勢が変わります。ついでにスクワットしてジョギングもしてくればもっと健康的です。だからもう、


よーし辞めよう! これ読んでる人、今すぐ働くの辞めよー!

……え? え?

うそです。もう、先生がそんなこと言わないでください。

そうでした! ちなみに授業や会議で動けない場合は座ったままかかとを上げ、つま先に力を入れるような動きでもよいですね。
今ある家具を工夫して作業環境をよくしたい!

(ゴホン)気を取り直しまして……。大政先生と島崎先生は、家ではどのように作業をされてるんですか?

僕はKさんと同じく、ダイニングテーブルで作業してるんですよ。

えっそうなんですか!?


でもリビングで作業するの、疲れますよね?

疲れますねぇ。コロナ禍で在宅ワークになったとき、授業のたびに腰が痛くなりましてね。分厚いクッションを買って低めの椅子を使って、体の負担を減らしました。

クッションはなんとなくわかるけど、低めの椅子……?

ダイニングテーブルは職場の机よりも低いんですよ。私の場合2cm低かった。それに合わせるために椅子を低くしようと思ったんです。それに、うちの椅子のクッションは薄くて長時間座ってると、お尻が痛くなるんですよ。
なので、お尻が痛くならないようにまずは分厚いクッションを椅子の上に置きます。すると、クッションを使う分、椅子の高さが高くなります。低い机と高い椅子では、体に負担がかかってしまいます。そこで、低すぎて使っていなかった椅子を引っ張り出してきました。もしなかったら、椅子の足をノコギリで切っていたと思います。


なるほどー!

これならKさんの家でも、取り入れられそうじゃないですか?

そうですね! クッションと椅子一つ変えるくらいなら、リビングの雰囲気も変わらないし、お金もそこまでかかりませんし、アリですね!

島崎先生は、在宅ワークをするときに工夫してることってありますか?

うーん、そうだなー、あっ!


パソコン画面をリビングのテレビに繋げて仕事をしてます。画面と距離も取れるから目も疲れにくいですよ。


おおー! すごい!

Kさん、これは、使えそうですね!

ぜひ、取り入れたいです!

豊田先生も、ぜひ体に負担をかけない工夫を教えてください!

リクライニングや高さを調整できる椅子と、フットレスト(足置き)を組み合わせるのはおススメです。

おお! やっぱり、いろいろ調整できる方がいいということですか?

その通りです。その時々で楽な姿勢に変えられることが大事です。例えばお尻が痛くなれば、痛みを逃がす別の姿勢を取る必要があるので、そのための工夫が必要です。

でも、リクライニングや足置きを使ったら、寝そべった姿勢になりませんか?

それって姿勢が悪いんじゃ……。

たしかに、やや寝そべった姿勢になりますが、全身で体圧が分散できるので非常に楽です。日本のオフィスだと見た目がよくありませんが(笑)


在宅勤務なら別にいいか! むしろ私は積極的にやりたい。

あとは、アームレスト(腕置き)が付いている椅子もおススメします。パソコン作業中に腕がずっと空中に浮かんでいるのは辛いでしょう。

たしかに!

アームレストがないと机の上に腕を置こうとして自然と机に密着してしまい、パソコンのディスプレイとの距離が近くなりすぎてしまいます。アームレストがあればそういう行動をとらなくなるので、パソコンのディスプレイと眼の距離を離すことができます。

やっぱり、アームレストがある椅子を買った方がいいのかな?

アームレスト付きの椅子がない場合は、高さが調節できるサイドテーブル(キャスター付き)が非常に便利です。ノートパソコンやディスプレイを置いているメインテーブルの下にそのサイドテーブルを潜り込ませるように置けば、サイドテーブルがアームレストの代わりになります。

サイドテーブルの方が、リビングには合うかも!

サイドテーブルを使うなら、画面の大きいディスプレイを一緒に使うといいですよ。一般的なサイズのディスプレイだと人間との距離が近くなりすぎるので。サイドテーブルを使うことでこの距離を広げることができます。サイドテーブルは脚が伸ばせるようなものがよいでしょう。


これは、豊田式最高の作業環境ですね! 高性能チェアがほしいけど、買うのはちょっと……! という私みたいな人には、ぜひおススメしたいです。
人間工学で大切な健康的な作業のための習慣

体に負担になりにくい座り方についてたくさん教えてもらえましたね!

来てよかったです!

それはこちらも嬉しいのですが……。姿勢を変える、なんなら運動することが一番体にとっていいとお伝えしましたが、運動をしすぎるとデスクワークの作業効率が落ちて、本末転倒かもしれません。


そうだった。

でも、作業してたら体を動かすことを忘れてしまいませんか?私は在宅ワーク中に万歩計で1日の歩行量を測ったら70歩でした。

私もそんなもんだと思います。椅子は体の一部です。
先生たち:それはヤバいです。

うっ

じゃあ先生たちは、作業中、どうしてるんですか?

私は、トイレに行くタイミングで、体を動かすようにしています。

トイレ⁉

私ね、測ったんですよ。大学勤務してる時と、在宅ワークしてるときの、トイレに行く際の移動距離を。そしたら驚きの結果になりましてね……。

さすが研究者……!

気になります!

大学のトイレまでは50歩。
そして、在宅ワークのときのトイレまでは……なんと、10歩!
「50歩100歩」というと大して差がない時の決まり文句ですが、50歩vs10歩ですよ。

5倍も違う!

うちなんて、家めっちゃ狭いから、リビングから2スキップでトイレに着いちゃいますよ。

どこの家もトイレまではそう距離はないはずです。なのでね……


それなら私もできるかも!

締切が迫っていてもトイレには必ず行くから、「トイレのときは多めに歩く」って決めてると、忘れにくいかもですね!
島崎先生は、体を動かすための「自分ルール」はありますか?

そうだねー。そもそも僕、いろんなところで仕事してるから。


え?

子どもを寝かせるときは、寝転がりながらすることもあるし。
電車でもよく仕事してますよ。膝の上にパソコン置いて。

え?

あと、キッチンで、立ちながら仕事したり、会議に出ることもあります。
コッソリ料理してますよ。


え?

え?

えへへ。


自由すぎる。

同じ場所でずっと座って作業をするより、いろんな場所で、作業する方が意外とはかどりますよ。

たしか、移動距離が長い人ほど幸福度が高いと聞いたことがあります。

島崎先生が証人ですね。幸せそうです。

あはは。でも、移動は気持ちの切り替えにも重要な役割を果たすことがあります。切り替えがうまくいかないとメンタルヘルスにも悪影響を及ぼしますね。


ああ、それはなんとなくわかります。

家の中は、ゲームとか漫画とか誘惑がいっぱいあります。

人によっては、仕事とプライベートの環境を切り替えないと、気持ちが切り替わらずに作業効率が落ちてしまう人もいます。

たまには外で作業するのもいいかもしれませんね。

いいですね。最近は戦争中の国のパイロットも、自宅近くの基地から遠隔で無人機を操縦して戦うそうです。

兵士まで在宅ワーカーの時代……。

でも、移動しないとメンタルがやられちゃうこともあるんですよ。家から基地まではそう離れていないので、気持ちが切り替わらない。日常と戦場が地続きに感じられてしまい、心を病んでしまう人が多いそうです。物理的な危険はないけれど、実際の戦闘機の操縦士と変わらないくらいのストレスを感じてしまうらしいです。

ええ!

遠隔で攻撃する方が命の危険が少ないのに!?

それほど移動による切り替えが、パイロットたちのメンタルに与える影響が大きいということです。これは少し極端な例かもしれませんが、環境を変えることは人間にとってとても大切なことなのかもしれませんね。

移動することって、体だけじゃなくて、心的にも必要なことなんだ……。
まとめ

今日のお話をまとめますと……。

先生たち:その通り!

染み付いた生活習慣を変えることは難しいけど、変えるためにはまず、頭と心で納得することから始めるべきだと思うんです! 今日は、そのファーストステップをクリアできたと思います!

そうですね。移動することを習慣にしたいです。

後日談 依頼者
今回一番驚いたのは、人間工学のプロの方々が、自由なスタイルで、パソコンに向かったりしておられるということ。どんな椅子で、どんな角度でパソコンに向かうのがいいのだろう? とばかり考えていましたが、ベスポジは固定できるものではないんだなと。私は仕事を始めると、自宅でもオフィスでもとにかく椅子から動きたくなくて、日中一度もトイレに行かないこともあるくらいだったんです。
しかし、先生方のお話を伺って、適度に体を動かす方が作業効率も上がると知り、今後は椅子や机などのモノだけを意識するのではなく、「動く」ことを取り入れながら、ストレスなくデスクワークできるようになりたいと思いました。
後日談 川口家

相変わらず、仕事をするとダルシムになってしまうクセが直らない川口です……。

だけど……! 少し、生活習慣が変わりました。
トイレのついでに、ストレッチしたり、家の中をグルグル回ったり、ベランダに出て休憩するようになりました。

この習慣を取り入れてから、以前より、仕事も捗るようになりました。座り続けるより、たまに動いて気分転換する方が、作業効率も上がってる感じがします。
あとは、いつか高機能チェアやサイドテーブルなどのアイテムもほしいけど……。
まずは、気軽にできることから始めようと思いました。何より、移動することは、タダでできますからね!
そして、川口家にはもう一つ、変化がありました。
小学5年生の息子はゲームが大好きで、集中すると長時間してしまいます。以前は、そんな息子への声かけに悩んでました。

曖昧な知識しかないので、適切な言葉が見つからず……。
息子に対して、微妙な声かけをしていました。
だけど、人間工学の先生たちに、「移動すること」の重要性を教えてもらってからは、子どもが納得できる声かけを、できるようになりました。

今は、オンライン文化が広がって、移動しなくても、働いたり、遊んだり、人と話すことが簡単にできるようになりました。
それはとても便利なことだけど、オンラインに頼って移動しないでいると、体も心までも、疲労してしまう……。
最高の作業環境の基本は、心も体も健康であること。
先生たちに教えてもらった知識は、自分だけじゃなくて、身体を大切にしてほしい人たちにも、伝えたいと思いました。

この記事を書いた人

川口真目(カワグチマサミ)
2010年から漫画家・イラストレーターとして活動を始める。その後、結婚し、2012年に男の子を出産。産後に働きすぎて体調を壊してから、「スキあらばゴロゴロ」をモットーに働いている。ゲームが好き。家事は嫌い。腰痛と肩こりに悩まされている。
【著書】
幻冬舎「名もなき家事妖怪」
左右社「子育てしながらフリーランス」
写真:大越はじめ
編集:人間編集部
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「外来種って悪者なの?」「お餅ってどうして伸びるの?」そんな「?」を大募集。素朴な疑問も、思わず頭をひねってしまう難題も、近大の先生や学生が一緒になって考えます。「子どもの自由研究に役立てたい」「あの研究室に潜入したい!」「◯◯について、専門家の意見を聞きたい」などなど、スタイルは不問。まずは一度、私たちに託してみてください。その道を究めたプロが、真剣かつ丁寧にお答えします。
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