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「世界に通用する近畿大学へ」新学長就任会見で渡されたバトン。

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2018.04.27

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3月28日、近畿大学学長塩﨑均の退任および新学長細井美彦の就任に関する記者会見を行いました。さらなる飛躍の期待とともに、バトンを受け取ったのは細井美彦新学長。ふたりの記者会見の様子をお届けします。

2期6年間の任期中、精力的に活動し続けた塩﨑均学長。主な実績として、2013年に梅田のグランフロント大阪に養殖魚専門料理店「近畿大学水産研究所」をオープン。2014年から5年間、一般入試のべ志願者数日本一を達成し続けています。

同年7月に東大阪キャンパス整備計画「超近大プロジェクト」を始動したほか、2016年4月にはベルリッツコーポレーションとの産学連携で国際学部を設立するなど、近年の近畿大学の発展を力強く支えました。

プロフィール
塩﨑均
1944年12月18日生まれ。1970年、大阪大学医学部卒業後、西ドイツ・ハイデルベルグ大学に留学し病理学を学ぶ。近畿大学医学部附属病院長、近畿大学医学部長などを経て2012年、近畿大学学長・近畿大学短期大学学長に就任。任期満了により学長退任後、4月1日より近畿大学名誉学長を務める。


細井美彦
1956年5月14日生まれ。1979年、京都大学農学部畜産学科卒業。1987年、京都大学大学院農学研究科畜産学専攻博士後期課程修了。専門は生殖生理学。近畿大学生物理工学部教授、学部長などを経て2014年、近畿大学副学長に就任。4月1日より近畿大学学長・近畿大学短期大学学長に就任。



多くのメディアが集まる中、塩﨑均学長の挨拶から記者会見がスタート




塩﨑:お集まりの皆さまはじめ、多くの方々のおかげで、6年間いろいろな形で活躍させていただきましたこと、改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。学長に就任して2期6年間、やりたいことは全部やったという思いです。

「それまで医学部という狭い領域にいた」と語る塩﨑学長は、当初から大学をひとつに束ねるコンセプト「オール近大」を掲げました。

全学部長を集めた昼食会を開いて顔と名前を覚え、全国の研究所・実験場をめぐり、近畿大学のすべてを網羅することから6年間の歩みをスタート。この地道な取り組みが、のちに大学全体をあげて取り組むさまざまなプロジェクトの下地となりました。



塩﨑:「オール近大」を意識して取り組むきっかけとなったのが、福島県川俣町の復興支援です。学長に就任した前の年に東日本大震災が起こったことから、とにかく全ての学部を集めて「東日本大震災の復興に役に立つような研究テーマを出してくれ」と始めたのです。

産官学で取り組んだ「近大マグロ」、国際学部の開設といったプロジェクトも、近畿大学の名を広く知られる好機となりました。

塩﨑:6年間があっという間に過ぎました。新学長となる細井先生は、これまでもずっと近畿大学の教育関係で中心になっていましたし、国際化に関しても、彼が世界中走り回ってくれた実績があります。ご覧の通り非常に温和な方で、若い力で革新的に取り組んでくださると期待しています。教職員をはじめ皆さまの支えがあってこそ、私が思っていた通りの世代交代ができたと満足しています。ありがとうございました。



「6年間を引き継ぎつつ拡充したい」新学長細井美彦の挨拶


続いて、細井美彦新学長が今後の展望について語りました。



細井:お話があった通り、塩﨑先生は学長に就任された頃から「近畿大学はバラバラに学部やキャンパスがあるのではない、近畿大学はひとつである」と「オール近大」を掲げてきました。私も、先生が今まで取り組んでこられたことを十分に継承し、ただ引き継ぐだけでなく、さらに充実させていきたいと思っています。

具体的には、ロシアとの学術交流や国際学部の躍進などを契機に、近畿大学全体をますますグローバル化していきたいと語りました。

細井:多くの大学に「大学の門は開いている」という考えがありますが、近畿大学は塩﨑先生がこの6年間取り組んできた「大学の門から飛び出していく教育・研究」を心がけつつ、世界に通用する近畿大学を目指したいと思っています。
まだまだ力不足ですが、時につまずきながら近畿大学とともに歩いていく所存です。これからもどうぞよろしくお願いいたします。



質疑応答


記者1:(塩﨑学長へ)4月以降はどうされるのですか。

塩﨑:正直言ってちょっとゆっくりしたいですね(笑)。というのは冗談で、名誉学長を拝命しましたし、理事としてそのまま残らせていただくということですので、今後も微力ながら、近畿大学発展のために少しでもお手伝いできればと思っております。

記者2:(細井新学長へ)今後は地域連携も強化していく考えでしょうか。

細井:地域連携とグローバル化をうまく合わせたプログラムを進めていきたいと思っています。まずは東大阪という地域の特性を生かし、産学協同の教育をコンセプトに中小企業とのコラボレーションを考えています。学生が働きながら企業に教育をしていただく。大学で身につけた基本的な学問の力を生かし、現場にある問題点を解決することで問題解決能力を養ってほしいのです。



また、私たちと東大阪がたゆまず続けてきた教育体制を今度はロシアに展開します。近畿大学の世界展開力で、日本のものづくりの力をロシア社会で生かせるようなプロジェクトを進めています。また、地域協働、そして国際的な協働によって、ローカルとグローバルの両方を推進し、このモデルを中心に、近畿大学の次の教育を探っていきたいと考えています。

記者3:(細井新学長へ)世界大学ランキングでは、近年日本の大学が低迷気味ですが、近畿大学にはランキングを上げるための具体的な目標はありますか。

細井:ランキングは流動的なものですから、我々は我々の基準で、と思っております。また、ランキングを上げることのみが重要ではないと思っておりますが、ランキングというのはとても良い客観指標になりますので、もし我々が教育研究に手を抜いたのであれば相対的に地位が落ちてくるでしょうし、それを続けることによって地位が上がっていくだろうと思っています。去年よりも今年が相対的にどれくらい上がったか、下がったかを見て、我々のシステムの基準にしたいと考えています。

記者4:(細井新学長へ)塩﨑学長の取り組みを充実させる中で新しいことをしていきたいというお話がありましたが、実際に構想されていることがあれば教えてください。

細井:たとえば、近畿大学の大きな改革のひとつにアカデミックシアターの開設があります。そこのビブリオシアター内にACT(アクト)という小さな部屋があり、今はその中で自学自習をしたり、先生方がいろんなプロジェクトを引っ張ってくるという形でやっていますが、今後、たとえばそこにリベラルアーツ教育を絡めることなどを構想中です。「ものを考える力をつけよう」というわりに、ものを考える力をつけるシステムがどこの大学も弱ってきている気がしますので、リベラルアーツと施設をうまく組み合わせた教育を考えていきたいと思っています。



また、国際共同研究を支援する体制を作っていこうとも考えています。グローカルな体制とともに、大学が世界に対して大きくアピールできるようなシステムを作らなければならない。そのために大学の先生方に世界へ出て行ってもらうことも重要ですが、私学として限られたところもありますし、大阪というポイントもありますので、まずは先生方にブリッジになっていただこうと思っています。共同研究を通じて先生方が世界のさまざまな場所との架け橋になり、学生たちがそのブリッジを通ってグローバル化される。能力ある学生たちに次の段階へ進んでもらえるようなシステムを作り上げていきたいと考えています。

記者5:(細井新学長へ)近畿大学といえば、ずば抜けた広報戦略にインパクトを覚えていますが、今後広報戦略としてやってみたいことはありますか。

細井:広報戦略は非常に優れていると思います。ただ、今の広報戦略は近畿大学93年間の歴史の積み重ねの中にあるものを上手に見せていってくださっているのだと感じます。研究成果が出るには10年、20年、30年と時間の経過が必要です。30年前から取り組んだ先輩方の研究リソースが現在、皆さまのお目にかかっているということですね。ですから、塩﨑先生がたくさん植えてくださった苗を一生懸命育ててその次の世代へ、皆さまのお目にかかるような大きな仕事に育てていけるよう、準備していきたいと思っています。

先生が育てた中で、たとえばバイオコークスはこれから注目されるだろうと期待しています。今はコスト面の課題がありますが、どんな研究にも最初は問題点があり、それが改善されることによって突然実用化されることがあります。世耕弘一先生の「海を耕せ」というひと言で始まった近大マグロの研究も、何度も“死の谷”に陥りかけましたが、さまざまなサポートがあって今の近畿大学水産研究所になっています。このロールモデルをぜひ、次の研究にも生かしていきたいですね。



記者6:(細井新学長へ)近畿大学に行けばどんな人材になれるのか、というのが学生の関心だと思いますが、大学が育てたい人材像はありますか。

細井:これは以前、塩﨑先生が「エリートではなくリーダーを養成したい」と述べられています。私たちが地域社会で生きる時にも、研究にもリーダーは必要です。もちろん専門性があり、高いコミュニケーション能力も備えていることが大切ですね。

さらに、大学の教育スピリットでもある「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人」です。この3つを備えるには非常に高い教養が求められますが、近畿大学の多彩な実学教育を通して、リーダーにふさわしい人材になっていただきたいと思います。

記者7:(細井新学長へ)今、近畿大学は受験生の人気も日本一、大学経営において全く死角なしと思われていますが、課題や弱みは何でしょうか。

細井:近畿大学には14の学部と短期大学部がありますが、この山の峰が連続していない、つまり非常に強い面と弱い面があり、谷を埋めて山脈にしなければ、というのが抽象的な回答でしょうか。特に私が重要視しているのは教育改革で、教育改革によって平均的な力を底上げしていくのが最も重要な課題点だと考えています。


今回の記者会見では、塩﨑学長の6年間にわたる功績を振り返るとともに、バトンを受け取った細井新学長によって近畿大学の新たな展望が語られました。
東大阪に根ざした産学連携とともに、世界に飛び出していくグローバル化を推進。今後も多岐にわたる実学教育を通じて、さまざまな分野で活躍するリーダーを輩出する大学を目指していきます。


(終わり)


取材・文:山森佳奈子
企画・編集:人間編集部



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