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米国では年間100人以上が死亡。恐怖の強毒外来種「ヒアリ」とは

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オリジナル記事

2017.06.19

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大学
研究

強い毒を持つ外来種のアリ、「ヒアリ」が、神戸、名古屋に続き大阪港でも発見された。1日2000〜3000個の卵を産むとされる女王アリと、巣とみられる穴も確認され、環境省は注意を呼びかけている。
アナフィラキシーショックによる死亡例もあると言われるヒアリとはどんなアリなのか?
その特徴や生態について、近畿大学農学部の早坂大亮先生に聞いてみた。

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【PROFILE】
早坂 大亮 (ハヤサカ ダイスケ)
近畿大学農学部 環境管理学科 講師
専門:生態学、生態毒性
生物多様性や生態系に及ぼす人為の環境改変による影響の評価とその対策について研究。民間企業(日本工営㈱)在職中は、数多くの環境影響評価事業や自然再生事業に携わる。

■強毒を持つアリが、日本を襲う

疑問
6月18日、強い毒を持つ外来種のアリ、「ヒアリ」が神戸市のポートアイランドのコンテナヤードで見つかったというニュースを見ました。

早坂先生 5月26日に兵庫県尼崎市で、中国広東省から貨物船で運ばれたコンテナの内部にて、国内で初めて発見されました。今回は、約100匹がアスファルトのはがれた亀裂部分にいたとのことですが、ヒアリはアルカロイド系の強い毒を持つ南米原産のアリで、重篤な場合死に至ることもあり、極めて危険性が高いので注意が必要です。


■ヒアリってどんなアリ?

疑問 尼崎市での第一発見者は、輸入業者の方だと聞きましたが、ヒアリは私たちが普段よく見るアリとは全く違うのでしょうか?

早坂先生 ヒアリは赤茶色で、体長2.5~6ミリ程度。全体は赤茶色で、腹は黒っぽい赤色をしています。


疑問 中国からのコンテナが一時保管されていた場所の近くで見つかったそうですが、中国にいるアリなのですか?

早坂先生
ヒアリは南米原産です。中国にも北米をはじめとするその他の国にも、物資の移動にともなって「非意図的に導入」されたものと考えられています。
非意図的とは、アライグマやウシガエルなどのように、元来、人間が望んで導入した外来種とは異なり、決して人が好んで運び入れたものではありません。だからこそ、非意図的に侵入してくる外来種の対策というのは日本でも頭を悩ませているのです。

今回の場合は中国に非意図的に導入され定着したヒアリの一部が、日本への積荷などに紛れ込んで「二次的に」やってきたのではないでしょうか。





■海を越えて侵入し、生態系を変える、恐るべき外来種。

思案 今回、約100匹が発見され、殺虫剤をまいて緊急防除をされたとのことですが、ヒアリが日本で増殖する可能性はあるのでしょうか?

早坂先生 ヒアリは侵入地において港湾や工業地帯、宅地など人工的な環境を好み、森林など生態系が安定している地域ではあまり侵入成功できないのではないかと思います。この理由として都市部ではヒアリの競争相手があまり多くなく、また、ゴミなどのえさ資源が豊富にあることが挙げられます。
さらに、ヒアリは本来、熱帯気候である南米に生息するため、寒冷地においては越冬できないと考えられますが、都市部や宅地では、冬でも暖房施設や稼働している工場の暖かい場所などが点在するため越冬も可能になると考えられます。そのため、万が一女王アリ(翅アリ)が侵入し越冬できてしまうと、繁殖期に結婚飛行して各地へ広がる可能性があります。
翅のないアリなら巣の広がりも面的なものとなるため防除対策も比較的とりやすいですが、翅アリの場合、どこに飛んでいくかがわからないため、点の広がりとなり、結果、防除を難しくしてしまいます。
その危険性を理解しているからこそ、神戸市は早急に対策本部を設置し、周辺での生息調査を強化したり、徹底的な防除作業を進めているのです。



ショック
アリなのに、とても怖くなってきました・・・。


早坂先生 1948年に世界的な協力関係のもと設立された、国家、政府機関、非政府機関で構成される、自然保護に関する世界最大のネットワークである、IUCN(国際自然保護連合)が発表している、「世界の侵略的外来種ワースト100」にヒアリは指定されています。また、このリストには他に4種類のアリが含まれています。世界でもっともヤバい生物の20分の1、すなわち5%がアリということを考えると、アリという生物のもつすごさや危険性がお分かりになるかと思います。
さらに、ヒアリについては、日本の法律である「外来生物法」においても、「特定外来生物」に指定されています。

アリは地面だけでなく植物体でもたくさん見られる生きものです。そのため、万が一ヒアリが日本に定着してしまった場合、今後、農作業やガーデニング中など私たちにとって身近なさまざまな場面においてもヒアリにバッタリ遭遇...などという危険性も否定できません。
安易に考えていた結果、思いがけず咬傷被害が発生...というようなことが起こらないよう、一人ひとりが常に気にかけて行動していくことが重要です。


■もし、ヒアリに刺されたら…?

ショック ヒアリに刺されると、どのような症状がでますか?


早坂先生 人が刺されると、やけどのような激痛が走ります。毒針で何度も刺すほど、非常に攻撃性も高いアリで、かゆみや動悸(どうき)などが引き起こされ、アナフィラキシーショックによる死亡例もあります。

周辺の緑地帯や芝生の土には触らず、刺された場合は20~30分間安静にし、容体が急変すれば直ちに病院を受診しましょう。

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