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雑学・コラム

2017.02.17

若い人ほど効果大。病気知らずの身体を手に入れる、とっておきの方法

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
KINDAIサミット
健康

【川端克宜/アース製薬代表取締役社長×伊木雅之/医学部長×池上博司/医学部教授×西本博嗣/ノーリツ鋼機代表取締役社長CEO】
高齢化とともに注目度が高まる予防医学。製薬、保険、医師、それぞれの立場から病気にならないための方法を紹介する。

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●スピーカー
川端克宜/アース製薬株式会社 代表取締役社長
1994年に近畿大学商経学部を卒業し、アース製薬株式会社に入社。役員待遇大阪支店長、取締役ガーデニング戦略本部長を経て、2014年には42歳の若さで代表取締役社長に就任した。今最も注目されている若手経営者の一人。

伊木雅之/近畿大学医学部 学部長
1980年、奈良県立医科大学卒業。1984年、同大学院修了。大阪医科大学衛生学公衆衛生学教室助手、福井医科大学環境保健学助手・講師・助教授を経て、近畿大学医学部へ。専門は、骨粗鬆症や悪性腫瘍の臨床疫学研究。

池上博司/近畿大学医学部内科学教室 主任教授
1981年、大阪大学医学部卒業。1985年、同大学院医学研究科修了(医学博士)。その後、米国ハーバード大学ジョスリン糖尿病センター研究員、大阪大学助教授などを経て、近畿大学医学部へ。日本体質医学会学会賞など受賞歴多数。

●モデレーター
西本博嗣/ノーリツ鋼機株式会社 代表取締役社長CEO
1993年、近畿大学商経学部を卒業し、ノーリツ鋼機株式会社に入社。創業者・西本貫一氏の秘書などを務め、2006年に一旦退社したが、2009年には同社改革のために復帰。2010年に代表取締役社長に就任した。

*肩書きはセッション開催当時のものです


<KINDAIサミット2016 第2部分科会B「高齢化社会から見る予防医学の可能性~健康立国日本を支える~」より>


●自分自身のことを正しく知るのが、健康への第一歩。

西本:予防医療と言えば、まずは生活習慣の改善ですよね。

池上:私が生まれた1956年と比べると、糖尿病の患者数は50倍くらいに増えています。その間、私たちの体質や遺伝子が変わったわけではない。何が変わったかと言うと、生活習慣です。逆に言えば、生活習慣を変えるだけで糖尿病患者は50分の1に減らせるわけです。

西本:具体的には、どんなことが大事ですか?



伊木:病気によって多少は異なりますが、基本は「運動」「栄養」「休養」の3つですね。この3つを良くすることが、いろいろな病気を防ぎ寿命を延ばすことに繋がる。厚生労働省が「健康日本21」という活動の中で標準体重維持の目標を掲げているのですが、中年男性は過体重の人が多く、ここ10年間は全く改善されていません。伝えるだけでなく、実際にやってもらうためのきっかけが必要だと感じています。

川端:運動するにしても、みんな同じように運動すればいいわけじゃない。人によってどういう運動をすればいいのかという基準がオープンになっていないんですよね。

西本:私も最近、自分の健康のことを考えないといけないなと思って、まず食事を改善したんです。炭水化物や糖質を摂らないのが話題になっていますが、あまり極端なのも良くないなと思って、栄養士の人に相談したんです。そして栄養バランスの良い食事を三食等間隔で食べましょうとか、炭水化物は少なめにしましょうみたいなアドバイスをもらってその通りにやってみたら、それだけで体重は4キロくらいすぐに減りましたね。

川端:栄養士に相談しようと思うところがいいですよね。そこに行きつかない人が多い。

西本:次にジムに行ったら、まずは身体の状態を測定しましょうと言われて、運動しながら筋肉の動きや心拍数、血圧を測ってもらったんです。そうしたら「普通の人は心拍数が90から100に上がると脂肪が燃え始めて痩せていくけど、西本さんは激しい運動をすると脂肪が燃焼せずに血液中の成分だけが燃焼するのでただ疲れるだけです」って言われて。つまり私の場合は、心拍数を維持しながら緩やかな運動をするのがいいそうなんです。

池上:何を食べたらいいとか、こういう運動がいいとか、そういう情報はたくさんありますが、それが本当に自分に当てはまるのかは個別に判断しないといけません。あとは極端にやる人が多いですね。本当は現状を把握して、一割増、あるいは一割減といったところから始めないといけないのですが。

川端:私が使っている万歩計はスマホと連動して、友達とデータを共有できるんですよ。「今日は川端さん2,000歩しか歩いてないね」「あいつは1万歩いってる」みたいなことがわかるので、競争意識が出てきて結構歩くようになりました(笑)。こういうIoTの活用が今後は課題になりますね。

伊木:私たち医師が診察をする時は、家で測定した血圧をノートに書いてきてもらうのですが、血圧計がインターネットで繋がれば、自宅での血圧を病院で見られるようになりますね。病院に来てから測定すると血圧が高くなってしまう人もいるので、家庭で測るのが大事なんです。

池上:24時間、血糖値をモニタリングしてスマホで見れるというのは、もうすぐ出るはずです。こうやって自分で自分の身体の情報を認識するのは、すごい健康のモチベーションに繋がります。

西本:やっぱり、自分自身のことを正しく知るのが健康への第一歩ということですね。

池上:そうすることで、大学病院は高度先進医療をするという本来の目的に特化できますし。

川端:今はまだ、「病気になったら病院に行って薬もらう」という考え方が当たり前ですけど、本当は発病することが先にわかれば、薬に頼らなくても自分で十分治せるわけですからね。そういったことが、今後は求められていくのではないかと思っています。


●健康診断の結果よりも、身体の”変化”に注目すべき。

西本:これからの超高齢化社会に向けて、私たちは何をすべきなのでしょうか?



池上:健康な状態で80歳まで生きようと思ったら、綿密な身体のメンテナンスが必要です。しかも、それを年老いてから始めるのではなく、若い時からちゃんとしておかないといけない。あとは認知機能や身体昨日が低下してきたら、それ以上悪化しないよう阻止する。今は明らかに悪くなってから「介護でどうサポートするか」という話になっていますから。

伊木:介護の原因として一番多いのは脳卒中で、続いて認知症骨折となっています。癌は2人に1人がなる怖い病気ですが、介護の原因にはほとんどならない。それよりも脳卒中なんです。となると、一番大切なのは血圧の管理で、そのためには減塩が大切です。昔は最高血圧が130でも大丈夫だと言われていたのですが、最新のエビデンスでは120にした方がいいことがわかっています。

西本:そのためには、自分の血圧をチェックしないとダメですね。

伊木:みなさん健康診断を毎年受けられていると思いますが、あれは自分の身体が老化していく様子を把握することはできません。血圧は問題ないと思っていても、20代の時と比べるとやはり違うはずです。そういう「変化」を測れるようになればいいなと思っています。

川端:たしかに、体重計に毎日乗っていると、数値が悪くなった翌日は意識して歩いたりしますね。

西本:今はどの家庭にも体組成計があると思いますので、そういうのを使って自分の身体をチェックする。そして、その情報をもとに栄養指導をしてもらうために病院に行くとか?

池上:健診センターに行くといいかもしれませんね。あと、近畿大学病院は7年後に「健康村」というのを作りますので、そちらもぜひ利用してください。

西本:頭でわかっていても、悪い生活習慣をやめられないという人も多いと思います。そういう人はどうすればいいんですか?

池上:難しいのですが、例えば病院で診察する時は、ちょっと数値が良くなった時にしっかり褒めること大切ですね。糖尿病の先生は大体怒るんですよ、「また上がってる!」って。それやると絶対ダメですよ。



川端:私の会社でももちろん健康診断をしていますが、中には受けない人もいて、そういう人たちはみんな「おれは健康だ」「今まで一度も病気になったことがないから大丈夫だ」と言うんですよ。そういう人に、なぜやらないといけないかを納得させることが一番大事なんじゃないかと思います。

西本:平均寿命ランキングが下位の地域って、共通して健康診断や人間ドックの受診率が異常に低いんですよ。こういった情報も使って、きちんと啓蒙していくことが大事ですね。


●まずは自分の健康に関心を持つことから。

西本:では、ここからは会場にいる方から質問を受け付けたいと思います。

質問者:私の親族は糖尿病になっている人が多いのですが、癌のように遺伝子が関係あるのでしょうか?

池上:糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があって、後者は明らかに遺伝子が関係しています。その遺伝子を持っていたら必ず糖尿病になるというわけではありませんが。

そもそも日本人は糖尿病になりやすいんです。欧米では太っている人は多いのですが、糖尿病は多くありません。でも、日本人がハワイやロサンゼルスに移住して彼らと同じ食生活を送ると、日本に住んでいた場合と比べて2倍くらい糖尿病になりやすくなる。それくらい日本人は糖尿病になりやすい体質なので、本来は全員が気をつけなければならないんです。

質問者:個人が健康に気を使うようにするためには、どのような啓蒙活動をしていけばいいでしょうか?例えば、会社で運動会などを行うのは効果的ですか?

西本:人が何かの行動を起こすためにはいくつかのステップがあって、一番最初は無関心な状態なので、まず関心を持ってもらわないといけません。そのためには、先ほどの繰り返しになりますが、まず自分の身体の状態をわかってもらうことが大切です。運動会というのもすごくいいアイデアですね。「昔は100メートル15秒で走れたのに、今は25秒もかかる」とか、そういう身体の変化が見えてきますから。



あとは、健康への取り組みにインセンティブを与えるのも大事ですね。ノーリツ鋼機は、2016年の11月に保険会社を設立して、健康になればなるほど保険料が安くなる保険を作りました。健康診断の結果をスマホで入力すれば「健康年齢」が算出されて、実年齢が46歳でも健康年齢が35歳なら35歳の保険に入れるんです。

私は親族を早くに亡くしてるので、ここは強く言いたいのですが、本当にいつどうなるかわかりません。これをきっかけに自分の身体と向き合って、できることから行動を始めていただければと思います。

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