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2021.11.01

IT人材育成 未来へ挑戦(久多良木健 近畿大情報学部長に就任予定)

読売新聞

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情報学部
情報学研究所

近畿大が来年4月、最先端の情報技術(IT)を学べる情報学部を東大阪キャンパス(大阪府東大阪市)に創設します。初代学部長に就任するのは、ゲーム機「プレイステーション」の生みの親として知られる元ソニー副社長の久多良木健氏です。「学生の好奇心を刺激し、個性を伸ばす教育に取り組む。未来を担う人材を育成したい」と意気込みを語りました。
*本記事は2021年9月25に読売新聞に掲載された記事をWEB用に編集したものです。

「妄想力」伸ばす


日本の教育には以前から思うところがあった。小さい頃は好奇心が旺盛で、自由に考えを膨らませる「妄想力」や「想像力」も豊かだ。でも、小学校に入ると、たとえユニークな考え方や答えを思いついても、あらかじめ決まった解答を求められる。これでは常識にとらわれない新しい発想に蓋をされ、せっかくの芽もしおれてしまう。

学習も多くの知識を詰め込む暗記型中心で、自ら考える力を伸ばすカリキュラムになっていないのではと感じる。この国では、人と違う考え方や既存のコンセンサス(意見の一致)を乱すやり方は抑制されがちだ。一様な考え方を共有し、みんなで協調して漸進する社会に適した人材が生まれやすい教育になっている。均質な大量生産が求められた高度成長期ならよかったかもしれないが、今はグローバル化が進み、世界中の知の融合によるイノべーションが一段と加速している時代。従来型の教育方針だけではブレイクスルー(飛躍的進化)は生まれにくい。今の日本には、思考力、妄想力を生かして果敢に挑戦する人材が必要だ。

大学の客員教授として教壇に立つ機会もあり、物おじせずに自分の意見を言える海外の学生と、手も挙げられない日本の学生の違いを感じ、何とか現状を変えたいと思っていた。そんな折、近畿大からオファーをいただいた。重い役割で「いいかげんにはできない」と何度か辞退したが説得され、日本の教育を変えていこうと腹をくくった。

主体性磨く



研究室間の垣根が取り払われた一体空間。2階と3階研究室はフロアを超え連続する。

情報学部は定員330人。1年次から1クラス10人のゼミを開く。教員と学生がコミュニケーションを取りやすく、主体性を磨く少数教育を大切にしたい。

学部の施設はオープンスペースを志向し、建物内の壁を極力取り払った造りになっている。研究室や学部の垣根を越えた交流やディスカッションが生まれやすくするためだ。コロナ禍で感染対策を徹底しながら、授業の合間に学生や教員が自由に語り合う時間を大事にしたい。カリキュラム以外にも、自然発生的に学びにつながるエキサイティングな環境を目指す。大学としては初めてとなる「eスポーツ」用施設も設ける。ゲームにとどまらず、世界中の学生と交流の輪も広げていきたい。

実社会で活躍する僕の友人を引っ張ってきて特別講義をしてもらうことも考えている。学生が思わず身を乗り出すような授業をしたい。受験勉強の影響で、暗記型になっている頭の中を一度解きほぐしてあげる必要がある。好奇心を刺激し、学生の個性をさらに伸ばしたい。大学はいろいろな学びができる楽しい場所だと感じてほしい。

可能性は無限



generation Zを惹きつける「e-sports」。多様なイベントの開催も可能なフレキシブル空間

目指すのは「未来への挑戦」だ。15学部を擁する総合大学の強みも生かして、他学部とのコラボレーション(共同研究)や周辺地域との連携にも、自由な発想で、積極的に取り組む。

はるか未来の夢からバックキャスト(逆算)して今、何をすべきかを考える。可能性は無限に広がっている。進化を求めて楽しくチャレンジできる学生を育てたい。

くたらぎ・けん
1975年電気通信大電子工卒、ソニー入社。93年に社内ベンチャーでソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)を設立、ゲーム機「プレイステーション」の開発を主導した。SCE社長、ソニー副社長を歴任。
東京都出身。71歳。


(2021.09.25 読売新聞 大坂朝刊)
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