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2018.11.07

ボランティアって無償奉仕なの?! 学生ボランティア団体の代表が、その意味と意義を見つめ直してみた

Kindai Picks編集部

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東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集をきっかけに、「ボランティアとは? 無償奉仕とは?」と、ボランティアの在り方を問うような議論が生まれています。そこで、今回は学生ボランティア団体「大和」の代表を務める僕が、ボランティアの本当の意味と意義について考えてみました。

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こんにちは、近畿大学国際学部3年の秋内大典です!

東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集をきっかけに、「ボランティアとは? 無償奉仕とは? そもそも、商業目的なイベントにボランティアを使うのはどうなのか?」と、思いを巡らせた方も少なくないのではないでしょうか。

しかし一方で、「災害や貧困など、心から助けを求めている人や地域が多い。という現状は忘れてはいけない」と、僕は思います。

僕は子どもの頃から、テレビで戦争や紛争、貧困などの様子を見るたびに「どうしてこんなに悲しい事が起こるのか」と思っていました。また、生まれた国が違うだけで、環境のせいで勉強が出来なかったり、生活が脅かされて苦しむ子ども達がいます。

子ども達の力になりたい。世界を変えたい。

そういった思いから、学生ボランティア団体「大和」を立ち上げました。そして、今はアフリカに学校を創る準備をしています。


国内のボランティア事情と学生団体の状況




ところで、ボランティアの語源、ご存知ですか?

そもそも、ボランティア”とは、ボランタス(Voluntas)という、自由意思を指したラテン語や、フランス語のボランティ(Volunte)という、喜びの精神。英語のボランティア(Volunteer)=志願兵という言葉がベースになっていると言われており、日本では、自分の意思で自発的に行なう社会参加活動のことがボランティアだとされています。

ちなみに、日本でボランティア活動が活発になったのは、広辞苑にボランティアという言葉が記載されるようになった、1970年頃と言われています。また、1995年の「阪神淡路大震災」では、かなり多くのボランティアスタッフが導入されたため、この年をNPO元年と呼ぶようになったそうです。

当時、一日平均3万人もの人が被災地に集まりました。地震発生から、3か月後には合計して約117万人もの人々が誰かのために動いたのです。

現在、ボランティアセンター(地区または職場や学校においてボランティアに関する事務を行い、ボランティアの活性化を図る組織)が把握しているボランティア人口は約740万人です。つまり日本総人口の6%に当たる人がボランティアに参加しているのです。国内のボランティア団体数は、2004年4月の約12万。それと比較し、2015年4月には約26万に増加しています。


引用元:KINVUSA

そして現在、われらが近畿大学にもボランティア団体が約10団体! 内、4団体がここ3年の間に設立されています。しかし、ボランティアと一括りに言っても、団体や個人で信念や個性が違い、強みもそれぞれです。

今回の記事では、皆さんにボランティアの在り方を知ってもらうため、近大のボランティア団体「KINVUSA(キンビューサ)」「APOLLO」の2団体にインタビューをしました。


活動を通して多様な地域の人たちと繋がりを作る




近畿大学には「IVUSA」の支部「KINVUSA(キンビューサ)」があります。今回は代表の立田直人さんに日々の活動について伺いました!

国内でも、最大級の規模を誇るボランティアインカレサークル「IVUSA」ですが、創立のキッカケは何ですか?


「IVUSA」というボランティア団体は、1992年に国士舘大学で行った「夢企画」という団体が前身なんですよ。コンセプトは、学生達の夢の実現を大学がサポートするというものでした。その中で「ラオス小学校建設活動」や「北海道南西沖地震災害救援活動」、そして「多摩川清掃大作戦」といった、ボランティア活動が元となり、更なる活動を目指して「IVUSA」が組織化されました。

現在は「IVUSA」もしくは「KINVUSA」として、どの様な活動をしていますか?


幅広い活動を続けたことで、「IVUSA」が全国的に有名になり、現在は「国際協力」「環境保護」「地域活性化」「災害救援」「子どもの教育支援」の5つの分野を軸に活動を行っています。

なるほど、団体の規模を大きくすることで、取り組むボランティア活動の規模も大きくできますし、目的意識の違うメンバーがいても、それぞれの目的や信念に合わせた活動を選べる。それでいて、1つの団体として活動できるという大きなメリットがありますよね。

そうですね。支部が全国に散らばっているというのも、賛同してくれる多くの人が組織の一員になり、広範囲でボランティア活動に取り組める理由の1つでもありますしね。

ちなみに活動は国内と国外、どちらに重点を置いているんですか?



どちらとも言えません(笑)。国内はもちろんですが、海外事業も多くあって、例えば「カンボジア学校建設」だったり、「中国緑化活動」だったり。あくまで場所は二の次で、活動を通して「多くの国・多様な地域の人たちと繋がりを作る」事に重きをおいています。


引用元:KINVUSA

様々な活動を通して多くの人と繋がるって、すごい良いですね。多様な未来が拓けるような気がします。


まさしくその通りです。



ででは最後に、ボランティアの醍醐味を教えてください。



熱意は人を動かせるという実感です。僕たち学生は知識が豊富とは言えないし、支援内容も限られてきます。けど、若くて元気な学生がたくさんいるので、少しずつでもやれることを見つけて行きたいんです。実際、たった1人の学生の「琵琶湖の生態系を守りたい」という熱意から始まった取り組みが、結果的に行政、地域住民、そして学生600人をも巻き込んだケースがあるんです。このように熱意はいつか誰かに伝わり、社会を動す源になるんじゃないかと思います。

学生の熱意が自然環境を守ったんですね! 本当に素晴らしい事ですね! 今日はありがとうございました!



ムーブメントに携わった全員がワクワクできるように




続いて、ミャンマーに継続的な支援を行うボランティア団体「APOLLO」の中川敬さんにお話しを伺いました。

よろしくお願いします。早速、「APOLLO」の理念を教えてください!


理念は学生自らムーブメントを起こし、そのムーブメントに携わった全員がワクワクできるような活動を行うこと。そして、社会に必要とされる学生になることですね。

“活動を楽しむ”というのは新しい視点ですね! ボランティアって支援内容だけが注目されがちですし、楽しいというイメージは持たれづらいですよね。「APOLLO」さんの創立には、どのような経緯が?

きっかけはTVですね。番組に出ていた国際ボランティアが輝いていて……誰かのために頑張れるってすごいなって! かっこいいと思いません?? 僕もそんなかっこいい人間になりたいと考え、自ら作ってしまいました(笑)

考え方がかっこいいですね! 中川さんは人の為に何かを頑張れるんですね。その動機で団体を作るところも素晴らしいですし、お話を伺っていてワクワクします!

ありがとうございます(笑)。もちろん、本分は支援ですけど、やっぱり楽しみながらボランティアをするとモチベーションが上がるし、それが結果として活動メンバーが行う支援内容を向上させることが分かりました。

ワクワクって人から人へと伝染しますもんね。ワクワクのおかげで色んな人が笑顔になったら素晴らしい! 勉強になります。活動する上で意識している事はありますか?

活動はメンバーがいてこそ成り立つので、メンバーを大切にすることが1つ。それと、「APOLLO」でのボランティア活動を、自分の将来に繋げたいです。

「APOLLO」さんの具体的な活動を教えてくれますか?



今はミャンマーに図書館を作るプロジェクトが中心です。




引用元:APOLLO

なぜ、ミャンマーに図書館を?



ミャンマーで支援活動をする団体が少なくて、僕らのような新参者でもアプローチしやすかったんです。また、ミャンマーの子ども達が図書館で本を読み、“外の世界に触れる”機会が増えたら、もっとワクワクしてくれると思いました。

子どもたちがワクワクすると、未来が楽しいものになり、その影響でまた大人たちもワクワクできる……と?


その通り! こうやって話しているだけでワクワクしません?(笑)



してきました(笑)。では最後に、これまでの活動で何が1番印象に残ったのか、お聞かせください。


募金活動をしている時、見ず知らずの人たちが僕たちにお金を託してくれたんです。さらに、この支援金を元に行った活動で子ども達、さらに先生達がすごく喜んでくれました。あの経験は忘れられません。本当に、いろいろな人のおかげで活動ができるし、子ども達への支援も行える。ボランティアを通じて人と人の繋がりの大切さを学んでいます。


引用元:APOLLO

実際にボランティアをするスタッフ同士だけでなく、活動を通じて出会う方々とも繋がり、学びがあるんですね。ぼくのボランティアへのイメージも新しくなりそうです。今日はありがとうございました!


いかがでしたか?

東京オリンピック・パラリンピックで導入されるボランティアについて、『ブラックボランティア』の著書で知られる、本間龍さんの発言が話題になり、ボランティアの在り方が問題視されました。しかし商業目的とは違う、災害支援や貧困地域での活動など、世の中には必要なボランティアがたくさんあります。



貧困や紛争など、世界中の悲劇的なニュースに触れる機会が増えていることもあり、皆さんの中には「自分にも何かできないか」とモヤモヤしている方もおられるのではないでしょうか?

ぜひ、自分が正しいと思う事をしてみてください。誰かの為を思って行動できれば、立派なボランティアだと僕は思います。

あなたの熱意はボランティアを通して繋がった人々に伝わり、あなたひとりの思いから、別の何かに進化するかもしれません。

あなたのワクワクは、関わった人をもワクワクさせ、その周りもワクワクさせるかもしれません。

そんな、いい事の「和」が少しずつ広がってくれればな、と思います。


(終わり)


ライタープロフィール
秋内 大典(あきうち だいすけ)
近畿大学国際学部 3年
ボランティア団体、「大和」を設立し、アフリカに学校を創ろうと日々奔走中。世の中の貧困や、戦争、飢餓などを無くすことが夢。


編集:人間編集部

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